
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
とても広い範囲を撮ることが可能な超広角レンズですが、購入して実際に使ってみると上手く写真が撮れないという声をよく聞きます。
これから超広角レンズの購入を考えている人、超広角レンズを購入したけど上手に写真が撮れないという人のために、超広角レンズを使った撮影でのメリットとデメリット、さらに上手な撮り方を紹介していきます。
超広角レンズとは
焦点距離が35mm換算で24mm以下のレンズ
超広角レンズでの撮影は難しく、レンズの特徴を意識しないで撮影をしてしまうと、パッとしない残念な写真になってしまうことが多いです。
そんな超広角レンズで撮影した残念な写真には、次のような特徴があります。
超広角レンズはとても広い範囲を撮影できる分、構図の端に人や木・電線などの余計な被写体が入り込みやすくなります。
撮影中は構図の端にもよく注意をして、余計な被写体が入り込まないように気をつけましょう。
レンズズームを使って撮影する範囲を調整したり、撮影位置や高さを変えて構図を調整することで、余計な被写体が入り込むのを防ぐことが可能
超広角レンズは撮影できる範囲が広いので、空や地面・海などの面積が大きくなりやすく、結果的に無駄な空間が多い写真になりやすいです。
この写真のように空に雲はなく海に船や島のない、無駄に広いだけの空間が存在すると主題に目がいくづらくなるので、構図作りの際には注意が必要です。
特徴的な雲が出ている日、特徴的な模様のある地面があれば、それらを主題として空や地面を大きく写して撮影
超広角レンズは広い範囲を撮影できるので、あれこれと沢山の被写体(情報)を構図に組み込んでしまうと、何を撮ったかわからない写真になってしまします。
上の写真のように無造作にたくさんの被写体が存在すると、主題がハッキリとせずにどこに注目して良いか分からない写真になってしまいます。
主題に目がいくようにリーディングラインを構図に入れて主題を明確に
超広角レンズでの残念な写真の原因を理解したら、次は超広角レンズが持つ特徴を理解していきましょう。
超広角レンズに限らず、焦点距離毎にそれぞれのレンズが持つ特徴を理解することで、そのレンズの特徴を活かした印象的な写真を撮影することが可能になります。
超広角レンズはカメラに近い被写体を大きく、逆にカメラから遠い被写体は小さく写るパース(遠近感)という特徴があり、このパースによって写真に奥行きを出すことが可能になります。
またこの奥行きを上手く使うことで、ダイナミックな表現の写真を撮ることもできるのです。
超広角レンズは、人間の視野よりも広い範囲を構図に入れることが可能です。
さらにはパース(遠近感)によって生まれる奥行きと合わせることで、室内や狭い範囲の風景を広く見せるような撮影が可能になります。
超広角レンズの特徴である、パースによる奥行きと空間を広く見せる効果を最大限に発揮するための、撮影での4つのコツを作例とともにご紹介ていきます。
上の作例では、前景であるカメラに近い人とエスカレーターは大きく写り、後景であるカメラから遠い街の夜景は小さく写っていることで、奥行きと遠近感を感じる作品に仕上がっています。
前景と後景には色や形状が違う被写体を選ぶことがポイントで、逆に似たような被写体を選んでしまうと遠近感を感じづらい写真になるので注意が必要です。
前景と後景が一目で違うと分かる被写体を組み合わせる
上の作例のように超広角レンズを使うときには、撮影者である自分の足元やその立ち位置を構図に入れることで、写真を見る人に実際の撮影場所と同じような臨場感を与えることが可能になります。
縦構図またはローポジションでカメラを地面に近づけると、撮影者である自分の足元やその周りを構図に入れやすいです。
上の作例のように、道路や建物・木など長さや高さのある被写体に近づいて撮影をすることで、それらの被写体をリーディングラインとして写真を見る人の視線を特定の場所へ誘導することができます。
特定の被写体に近いて撮影をすると、超広角レンズでも全体にピントを合わせることは難しくなるので、主題を明確にしてピント合わせをおこないましょう。
パースを使ったリーディングラインの先に、主題となる被写体を配置すること
上の作例は、横幅が1メートルにも満たないとても小さ水流の写真ですが、手前の岩に近寄って撮影したことで奥行き感が生まれ、ある程度サイズ感のある渓流の写真のように見えています。
ただしレンズの最単焦点距離よりも被写体に近寄りすぎると、被写体にピントが合わなくなるので撮影位置には注意をしましょう。
ピントがうまく合わない場合は、最短焦点距離になるまで被写体から離れて撮影
Canonのデジタル一眼カメラで使用可能な超広角ズームレンズの中で、新品でも10万円以下で購入可能なレンズをレンズマウント別にご紹介していきます。
ご使用中のカメラのレンズマウントがわからない方は、下のリンクから確認できます。
該当する超広角ズームレンズはなし
※2022年1月現在
Canon純正ではなく、サードーパーティ会社のTAMURONから販売されているCanonフルサイズ・一眼レフカメラ用の超広角ズームレンズ。
焦点距離は17-35mmと、超広角から広角ギリギリまでとても広範囲をカバーしているので、構図作成も簡単におこなうことが可能。
Canon純正のAPS-C機(EF-Sマウント)専用の超広角レンズで、35mm換算では焦点距離16-29mmをカバーしている。
最小F値が4.5からと少し高めだが、全体にピントを合わせるパンフォーカスでの撮影が多い超広角レンズでは、あまり気にならないデメリットである。
Canon純正のAPS-C・ミラーレス機(EF-Mマウント)用の超広角レンズで、35mm換算では焦点距離18-35mmをカバーしている。
超広角レンズでありながら、最短焦点距離が0.15mととても短いので、前景にする被写体に近寄ってマクロのようなダイナミックな写真を撮ることも可能。
広い範囲を撮ることができる超広角レンズは、とても便利なように見えて、実は使いこなすのがとても難しいレンズの1つです。
超広角レンズでよくある失敗写真の3パターンに気をつけながら、パース(遠近感)を使った奥行きのある写真や、空間を広く見せた写真を上手に撮影していきましょう。
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