
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
素早く簡単にプロ並みの仕上げが可能なレタッチソフトNik collectionの中でも、特に汎用性の高いColor Efex Pro 4は、風景写真のレタッチソフトとして私も普段からよく使用しています。
そんなレタッチソフトであるColor Efex Pro 4の中でも、風景写真のレタッチにオススメのフィルターを7つご紹介していきます。
私は普段から編集・レタッチでNik collectionを使って、これらの作品を仕上げています。
これまで編集・レタッチに時間がかかってしまっていた方や、Nik collectionでどんな作品作りができるのかを知りたいという方は、この記事を参考にしてみるといいでしょう。
≫ Nik collectionのColor Efex Pro 4の概要と主な使い方
Nik collectionのレタッチソフトの1つであるColor Efex Pro 4には、さまざまなタイプ・カテゴリーの写真編集とレタッチに使用できるフィルターが55種類の中から使用できます。
その数あるフィルターの中でも、風景写真の編集・レタッチにオススメのフィルターを、基本補正と作品作りの2つに分けてご紹介していきます。
LightroomやPhotoshopのCamera Rawでもお馴染みの写真の基本補正も、Nik collectionのColor Efex Pro 4を使って簡単かつ、より綺麗におこなうことが可能です。
写真の色味やコントラスト、彩度を調整する基礎の段階でもLightroomやPhotoshopのCamera Rawの代わりにNik collectionのColor Efex Pro 4を使うと良いでしょう。
色かぶり除去フィルターを使うと、色かぶり除去の適用量を調節するだけで、写真の色味を簡単に自然な色味に調整することが可能になります。
写真の基本補正の中でも、写真そのものの色味を決める色かぶり除去(補正)は、とても大事な調整項目ですが、LightroomやPhotoshopのCamera Rawで調整するには、色温度と色かぶり補正の2つのパラメーターをバランスよく調整する必要があるので、編集・レタッチに慣れていない方には大変な作業でした。
また色かぶりを綺麗に除去することで、写真に透明感を与えることもできるので、「なんだか写真がぼやけて見える」という場合にも、色かぶり除去フィルターを使用するのが良いでしょう。
朝焼けや夕焼けなどの写真には不必要
写真の色かぶりを綺麗に除去できる「色かぶり除去フィルター」は、朝焼けや夕焼けに染まった景色の写真はとは相性が悪いです。
そもそも朝焼けや夕焼け空は、朝日や夕日のオレンジ色に色被りをしている状態なので、この綺麗な色被りを「色かぶり除去フィルター」で台無しにしないように注意しましょう。
朝焼けの写真での比較
上の2枚は朝焼けを撮影した写真と、その写真に「色かぶり除去フィルター」を使用したときの比較になります。
「色かぶり除去フィルター」を使用したことで、綺麗なオレンジ色に染まっていた空の色が失われて、ボヤけた印象の色になってしまいました。
輝度/色温度では、写真の色温度と彩度を調整することが可能です。
露出の調整やコントラストなどの基本補正を全て終了してから、最後の色の調整に使用すると良いでしょう。
使用できるパラメーター
彩度は写真の色をそのまま濃くするので、かすみのかかった景色ではかすみのかかった部分がそのまま青くなっていきます。
逆に知覚的彩度では、人間の目で見ている色合いのままになるように、部分的に色温度も変更しながら色の濃さを調整してくれます。
彩度と知覚的彩度のバランスが大切
色の濃さの調整には「彩度」と「知覚的彩度」のそれぞれで色の濃度の出方に違いがあるので、両方を試しながら自分の思うような色の濃さになる方を使って調整をしていきましょう。
彩度と知覚的彩度の比較
彩度で色の濃さを調整した写真は、かすみのかかっている山の色が青くなりすぎていますが、知覚的彩度を使った方は、山の木々の緑色が保たれたまま全体の色が濃くなっています。
プロコントラストフィルターを使うことで、シャドー部分のディテールを保ったまま写真のコントラストを調整することが可能になります。
通常のコントラスト調整では、ハイライト(明るい部分)は暗くしてシャドー(暗い部分)は暗くするので、極端にコントラストの強い写真やシャドー部分が黒つぶれしてまうこともあります。
しかしプロコントラストフィルターでは、シャドー部分の明るさは保ったままで、全体的にバランスよくコントラスト(明暗差)が付くように調整ができるのです。
使用できるパラメーター
プロコントラストフィルターでは、プロコントラストのパラメーターを使って、理想のコントラストが付くように調整します。
プロコントラストの調整でも足りないシャドー部分の調整は、コントラスト補正を使用することで、シャド部分の引き締めをすることが可能です。
色かぶり除去フィルターと同じような効果も
コントラスはを上手く調整することで、色かぶり除去と同じように写真に透明感を持たせることが可能になるので、色かぶり除去フィルターと合わせて使うことで、より大きな効果を得ることもできるでしょう。
偏光フィルターを使うと、簡易的にPLフィルターと同じ効果を写真に与えることが可能です。
日中の強い太陽光の反射によって、彩度を失っている紅葉や葉っぱなどの被写体の色を、PLフィルターのように取り戻させることができます。
ただし、実際のPLフィルターのように反射自体を取り除けるわけではないので、あくまでも簡易的なPLフィルターとして利用するのが良いでしょう。
偏光フィルターの効果は、回転を調整することで実際のPLフィルターと同じように、その効果を適用する範囲を調整できます。
適用量では、偏光フィルターの効果自体をどれだけ適用するかを調整できるので、理想の偏光具合になるように調整をすると良いでしょう。
水面の写り込みには効果が無い
この偏光フィルターを使っても、実際のPLフィルターのように水面の映り込みを調整することはできないので、水面の映り込みを調整したい場合には、撮影の段階でPLフィルターを使うようにしましょう。
Nik collectionのColor Efex Pro 4を使うと、複雑な調整やレタッチの経験が少ない方でも、とても直感的で簡単にプロ並みの写真に仕上げることも可能になります。
ここでは、風景写真の作品作りにオススメのフィルターの使い方と、オススメの被写体やシーンを一緒にご紹介していきます。
ハイキーフィルターを使うことで、写真全体の色と明るさのコントラストを下げた作品に仕上げることができます。
ただしハイキーフィルターは、単純に写真全体を明るくするのではなく、写真内の明暗差のバランスを保ったままハイキーな写真に仕上げることが可能なので、白とびでディテールが失われるということがないのが特徴です。
使用できるパラメーター
ハイキーフィルターの効果の適用は、スタンダードハイキーかダイナミックハイキーのどちらかを使用しておこないます。
スタンダードハイキーでは、写真の明るさをそのままハイキーにするので、適用量によっては白とびをしたりシャドー部分のディテールや写真のコントラストが失われるリスクがあります。
逆にダイナミックハイキーでは、白とびを抑えながらハイキーにすることが可能なので、シャドー部分のディテールを失うことや、全体のコントラストのバランスが崩れることなく、とても自然で綺麗なハイキーに仕上げることが可能です。
ハイキーの比較
上の2枚の参考画像はダイナミックハイキーで調整したものと、スタンダードハイキーで調整したものの比較となります。
スタンダードハイキーを適用した写真は、写真全体が明るくなっているので山にかかる太陽の光芒が消えてしまっていますが、ダイナミックハイキーを適用した写真では、全体のコントラスト(明暗差)のバランスを保ったまま、写真を明るくしているので、山にかかる太陽の光芒と山並みがしっかりと残っているのがわかります。
逆光で撮影する日の出直後や日の入り前の写真や花の写真を、幻想的な印象またはふんわりとした印象に仕上げたい時にオススメのフィルター。
ローキーフィルターを使うことで、写真の色と明るさのコントラストを強めてメリハリと透明感のある写真に仕上げることができます。
ローキーフィルターでは、単純に写真を暗くするのだけではなくシャドー部分の明るさを保ったまま調整をすることも可能なので、黒つぶれのない綺麗な写真に仕上げることが可能です。
使用できるパラメーター
ローキーフィルターの効果の適用は、スタンダードローキーかダイナミックローキーのどちらかを使用しておこないます。
スタンダードローキーでは、写真の明るさをそのままローキーにするので、適用量によっては黒つぶれをしたりシャドー部分のディテールやが失われるリスクがあります。
逆にダイナミックローキーでは、黒つぶれを抑えながらローキーにすることが可能なので、シャドー部分のディテールを失うことや、全体のコントラストのバランスが崩れることなく、とても自然で綺麗なローキーに仕上げることが可能です。
基本的な風景写真全てにオススメ、特に日の出前や日の入り後の空と地面の色と明るさのコントラストを強調する写真にオススメのフィルター
ダークコントラストフィルターを使うことで、写真をドラマティックな印象に仕上げることができます。
写真全体にローキーとディテールの強調効果を加えることで、ローキーフィルターよりもさらにメリハリのある写真に仕上げることが可能になります。
使用できるパラメーター
ダークコントラストフィルターは、暗いディテールの強調を使って効果の適用量を調整していきます。
暗いディテールを強調しすぎると、その部分にノイズが出やすくなるのでノイズとのバランスを確認しながら適用量を調整しましょう。
曇りの日の写真や青空の入っていない岩山・雪山の写真にオススメのフィルター
Nik collectionのColor Efex Pro 4の55種類あるフィルターの中から、風景写真の基本補正と作品作りにオススメのフィルター7選をご紹介しました。
今回紹介した7つのフィルター以外にも、段階フィルターと同じような効果を持つグラデーション 減光フィルターや、写真にソフトフォーカス効果を与えるクラシックソフトフォーカスフィルターなど、作品作りに利用できるフィルターが沢山あります。
Nik collectionを使ってLightroomやPhotoshopでの編集・レタッチを、時間をかけずにプロ並みの写真に仕上げていきましょう。
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