冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
【逆にチャンス!?】曇りの日だからこそ綺麗に撮れる被写体と撮影テクニック
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
天気の良い日とは違い、とても残念な気持ちになりやすい曇りの日。
せっかく写真を撮りに出掛けても、あいにくの曇り空では撮影を諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。
でも曇りだからといって撮影を諦めるのは少し待って下さい。
実は曇りの日だからこそ綺麗に撮れる景色やテクニックがあります!
- 曇りの日に写真がうまく撮れない理由
- 曇りの日だからこそ撮れる景色とテクニック
- 曇りの日は手ブレと写真のノイズに注意
この記事を参考にして、曇りの日でも楽しく素敵な写真が撮れるようになってみませんか。
曇りの日に写真がうまく撮れない理由
どんなに綺麗な景色でも曇りの日に写真を撮ってみると、上の写真のように何故かパッとしない写真になってしまうことが多いですよね。
このような「パッとしない」「残念な印象」の写真になってしまうのには、曇りの日ならではの原因があります。
陰影が弱くて立体感がない
ふだん私たちが目にしている景色には光によって作り出される影が存在していて、この影によって私たちは景色や物体を立体として捉えることができているのです。
立体感の比較
上の2枚はそれぞれ曇っていた時間帯と晴れていた時間帯に撮影をした山の写真の比較になります。
左側の写真は曇っている時間帯に撮影をしているので、強い太陽の光が当たらずに木々や山肌に陰影がほとんどありません。
一方で右側の写真は晴れの時間帯に撮影をしているので、太陽の強い光が当たって木々や山肌にしっかりと陰影ができているのが分かります。
曇りの日の写真は立体感が伝わらない
木々や山肌など立体感のある景色を写真で伝えるためには、太陽の光が作り出す陰影による立体感が必要です。
曇りの日には陰影が生まれにくいので、写真で立体感を伝えることがとても難しくなるのです。
色の鮮やかさに欠ける
私たちが景色や物に見ている色は、光の反射によって認識することができています。
光が当たる場所ではハッキリと色を認識できていても、暗くて光の弱いところでは色を認識しづらいのはこのためです。
色の鮮やかさの比較
上の2枚はそれぞれ曇りの日と晴れの日に撮影をした桜の写真の比較になります。
左側の写真は曇りの日に撮影をしているので、太陽の光が弱くて桜の色が鮮やかではありません。
一方で右側の写真は晴れの日に撮影をしているので、太陽の光がしっかりと当たって桜が色鮮やかに写真に撮れているのが分かります。
光が強すぎてもダメな場合がある
一般的には光が当たることで被写体の色は鮮やかになりますが、強すぎる光や当たる角度によっては反射をしすぎて白っぽくなることもあります。
このように反射が強い晴れの日には、PLフィルターを使用して光の反射をコントロールしてあげると、目の前の景色を色鮮やかに撮ることが可能になります。
PLフィルターの使用例
タブを切り替えて比較可能
上の比較のようにPLフィルターを使うことで、木々や水面に反射する太陽の光をコントロールできて、より色鮮やかな風景写真を撮ることが可能になります。
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真っ白な曇り空が目立つ
曇りの日に空を多く入れて撮影すると、どうしても真っ白な曇り空が目立ってしまい、主題が目立たなくなってしまいます。
曇り空が目立つ写真
上の写真のように構図の半分近くを曇り空が占めている写真では、どうしても白くて明るい曇り空に目がいってしまいます。
このため主題であるはずの「湖の景色」の存在感が弱くなってしまうのです。
人間の目は明るい方に視線が誘導される
私たち人間の目は暗い場所よりも明るい場所に視線が誘導されやすいので、構図を作るときには構図の明暗差を利用した視線誘導のテクニックが存在します。
構図を作るときには、明るい部分に主題を持ってくるように意識すると良いでしょう。
曇りの日だからこそ撮れる景色と撮影のテクニック
一見デメリットしかないように感じる曇りの日の撮影ですが、逆に曇りだからこそ撮れる景色や曇りの日の特徴を活かした撮影テクニックがあります。
植物なのどのクローズアップ写真
太陽の光が弱い曇りの日には、花や紅葉をふんわりとした印象で撮ることができます。
天気の良い日には太陽の強い光で色鮮やかになりますが、その一方でどうしても硬い印象の写真になりやすいです。
しかし曇りの日には太陽の光が雲の中で拡散されるので、花や紅葉に満遍なく光が当たって全体的にふんわりとした、柔らかい印象の写真を撮ることが可能になります。
晴れと曇りの日の比較
撮影の参考になる記事
クローズアップにはマクロレンズがオススメ
ふんわりとした柔らかい印象の写真には、被写体に近寄って大きく写真に撮ることができるマクロレンズがオススメです。
マクロレンズを使った作例
被写体を細部まで撮ることが可能なうえに背景が綺麗にボケるので、花をよく撮るという人はマクロレンズを一本持っていると良いでしょう。
森林や渓流・滝の写真
森林や渓流・滝の写真は曇りの日に撮ることで、しっとりとした印象の写真に撮ることができます。
天気の良い日には木々の隙間から差し込む太陽の光によって、主題としたい森林の中や渓流・滝が日陰の暗い部分に入ってしまうことが多いです。
しかし曇りの日には陰影が弱くなるので、森林の中や渓流・滝などが暗くなることなく、しっとりと落ち着いた雰囲気の写真に撮ることが可能になるのです。
晴れと曇りの日の比較
曇り空を主題にした写真
どんよりとした重たい雲が空にかかっている日には、曇り空を主題にして写真を撮るのもオススメです。
露出補正を使って曇り空の明るさに露出を合わせると、雲の陰影をドラマティックな写真に撮ることができるので、それだけで1つの写真として完成させることが可能になります。
ドラマティックな写真を撮ってみたいという方は、曇りの日を狙って写真を撮りに行くと良いでしょう。
曇り空を極力入れない写真
曇りの日は景色の明るさに露出を合わせて撮影をすると、どうしても曇り空が1番明るくなってしまいます。
曇りの日に景色を撮る場合は、なるべく曇り空が入らないように構図を整理して写真を撮ってみましょう。
視線が誘導されやすい明るい曇り空を少なくすることで、主題となる被写体や景色に写真を見る人の視線を向けやすくなりますよ。
天気に関係なく空の入れ過ぎには注意
雲ひとつない晴天の日でも空を構図の中に入れ過ぎると、無駄に広い空が目立ってしまい写真を見る人の目が主題にいきづらい残念な写真になってしまいます。
綺麗な青空が広がっている場合にも、構図の中に入れる空の割合には注意をしながら撮影をしましょう。
長時間露光で撮る写真
NDフィルターを使った長時間露光で撮影をすると、主題を引き立てる幻想的な写真を撮ることができます。
上の写真はND1000という減光量がとても大きなNDフィルターを使って、シャッター速度が1分以上の長時間露光で撮影した写真です。
主題となる岩島を雲り空や海面で囲むことで、流動的に写る曇り空と海面に囲まれた岩島(固定的)が、主題として引き立っているのがよく分かります。
撮影の参考になる記事
暗い場所への視線誘導がポイント
本来は暗い場所から明るい場所へと誘導されやすい人間の目ですが、この写真のように全体的に明るい構図の中に暗い場所が存在する場合には、反対に暗い場所が目立つようになります。
手ブレと写真のノイズに注意
曇りの日は晴れの日に比べると薄暗い環境で撮影をすることになるので、普段よりも手ブレが発生する可能性が高くなります。
意図しない手ブレを防ぐためにも、ISO感度を調整しながら撮影をするようにしましょう。
他にもレンズの手ブレ補正機能を使ったり三脚にカメラを固定することでも、手ブレのない写真を撮ることが可能になります。
ISO感度を高くするときはノイズに注意
ISO感度を高く設定することで手ブレを防ぐことができますが、その一方で写真にノイズが発生しやすくなります。
あまりに多く・濃いノイズは写真の出来栄えに影響するので、ノイズの量や濃さを確認しながらISO感度を設定しましょう。
どうしても発生するノイズはソフトで綺麗に除去
手ブレを防ぐために高いISO感で撮影した結果、どうてもノイズが発生してしまうとう場合には、撮影後のレタッチでLightroomやPureRawといったソフトを使ってノイズを除去すると良いでしょう。
Lightroomを既に使用している方は、「ノイズ軽減」という機能を使って写真のノイズを軽減することが可能ですが、シャープネスは失われていくので注意が必要です。
写真全体のシャープネスを保ちつつノイズも綺麗に除去したいという方は、DxOが販売しているPureRawを使うと良いでしょう。
ノイズ除去と軽減の比較
タブを切り替えで比較可能
上の2枚を比べると、ノイズ除去専用ソフトである PureRawでノイズの除去をした写真の方が、 Lightroomのノイズ軽減機能を使用した写真よりもシャープネスが残っているのが分かります。
PureRawはノイズ除去と同時にシャープが向上
まとめ
これまでは写真を撮るのには適さないと思っていた曇りの日も、少し視点を変えると撮れる写真は意外と多いものです。
曇りの日の特徴を活かすことは、写真で最も大切な光の切り取り方を理解することにも繋がります。
これからは曇りの日だからといって写真撮影を諦めるのではなく、曇りの日でも撮れる写真の撮影を楽しんでみて下さい。
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