冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
カメラのISO感度は上げるべき?下げるべき?迷った時に参考にしたいISO感度の考え方
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
デジタルカメラで基本的な設定の一つでもあるISO感度。
カメラのISO感度を上げると暗い場所でも明るく写真が撮れたり、シャッター速度を速くできるメリットがある反面で、ノイズによって画質が低下するデメリットがあります。
そんな使い方が難しい、カメラのISO感度の設定に関する判断基準をご紹介します。
- 大まかなカメ使用可能なカメラのISO感度の上限ラのISO感度設定の判断基準
- カメラのISO感度を上げるべきシチュエーション
- カメラのISO感度を下げるべきシチュエーション
カメラのISO感度を上げるべきか、下げて撮るべきかを毎回悩んでしまうという方は、この記事を参考にすることで、撮影シーンに合わせたISO感度の設定ができるようになりますよ。
大まかなカメラのISO感度設定の判断基準
カメラのISO感度を上げてレンズから入る光を電子的に増幅させることで、暗い場所での撮影やシャッター速度を速くして撮影することが可能になります。
しかしその反面でISO感度を上げるほど、高感度ノイズの影響で、画質が劣化していきます。
このメリットとデメリットがあるISO感度を上手く使いこなすには、次のような考えを基準にして、カメラのISO感度を上げるか下げるかを判断するのがオススメです。
- 意図しない手ブレや被写体ブレをするかどうか
- 写真の表現に必要な設定の最終的な調整
写真にとって画質はとても重要ですが、それ以上に写真自体の表現がとても重要です。
ISO感度は、自身が撮りたい表現で写真を撮るための最終的な調整項目だと考えることで、撮影シーンによってISO感度を上げるべきか、下げるべきかを判断できるようになっていきます。
意図しない手ブレや被写体ブレをするかどうか
ノイズを抑えるために、ISO感度を下げてどんなに高画質で撮影しても、意図しない手ブレや被写体ブレが起きていては、作品として成り立ちません。
ISO感度の設定は、自分の撮りたい表現に必要な絞り(F値)と露出補正をおこなった上で、意図しない手ブレや被写体ブレが起きないシャッター速度になるように調整する役割で使用しましょう。
写真の表現に必要な設定の最終的な調整
スローシャッターや長時間露光などで、意図的に被写体ブレを起こしたい時には、カメラのISO感度をシャッター速度の調整役として使用します。
絞り(F値)でもシャッター速度の調整は可能ですが、ピントの合う範囲を決める絞り(F値)は、撮影する写真の表現に大きく関係します。
写真の表現によって、背景をぼかして撮りたい場合には開放に近いF値、全体にピントを合わせたい場合には、F値をF8-16の範囲に設定した状態で、ISO感度を使ってシャッター速度の調整をおこないましょう。
ISO感度を上げるべきシチュエーション
- 暗い場での手持ち撮影
- 動いている動物や人物の撮影
- 星の撮影
暗い場での手持ち撮影
森の中や朝夕の薄暗い時間帯の撮影では、意図しない手ブレをおこなさいように、ISO感度を上げてシャッター速度を速くしましょう。
ただし、ISO感度はあくまでも最終的な調整項目なので、表現したいピントの範囲と露出(明るさ)を設定した上で、最後にISO感度を手ブレしないシャッター速度になるまで上げるのが良いでしょう。
シャッター速度の目安
手ブレをしないシャッター速度 = 1/〇〇(レンズの焦点距離)秒
他にも室内やレストランなどでの撮影も、薄暗い場所の場合にはISO感度を上げて撮影するのがオススメです。
動いている動物や人物の撮影
動いている動物や人物を撮影する場合には、意図しない被写体ブレが起きないように、ISO感度を上げてシャッター速度を速くします。
連写をする場合にも、シャッター速度が速い方が1秒間に撮影できる枚数が多くなるので、シャッターチャンスを逃さなくなります。
動物や人物の撮影では、決定的な動きを写真に撮ることが1番大切です。仮に、多少ノイズのある写真になったとしても、決定的な瞬間を捉えた写真はそれだけでとても大きな価値があります。
星の撮影
星の明かりはとても弱いので、ISO感度を上げて写真に写るようにします。
長時間露光をすることで低いISO感度でも撮影は可能ですが、30秒や1分以上の撮影では星を点として撮ることができません。
ここに見出しシャッター速度が遅い場合
ISO800 / SS 150秒で撮影
※赤道儀を使うと、長時間露光でも星を点として写すことが可能
流れた写真を撮りたいという場所には、ISO感度を下げる方がいいですが、星を止まっている点として撮影したい場合にはISO感度を3200以上に上げて10-15秒のシャッター速度で撮れるようにしてあげましょう。
星の撮影では、Rawデータで保存した写真をソフトウェアを使ってノイズ除去するのが一般的です。
ある一定のノイズは、撮影後のノイズ除去で綺麗にすると考えて、とにかく明るく星をたくさん写せるようにISO感度を高く設定しましょう。
≫ 写真にノイズが発生する原因と対策方法はこちら
写真のノイズの軽減は、Lightroomでもおこなうことができますが、より綺麗でハッキリとした仕上がりになるようにノイズ除去をしたいという方には、DxOのPureRawをオススメします。
LightroomとPureRawの比較
どちらもカメラのISO感度をISO6400で撮影した写真を、全く同じ内容でレタッチしたものですが、PureRawはノイズ除去をしても全体的にシャープ感が残っていますが、Lightroomの方はノイズが残っていて全体的にぼんやりとしているのがよくわかります。
DxOのPureRawはRawデータを直接処理する方法なので、ノイズ除去がたったの数ステップで完了し、ISO6400で撮影した星の写真でも低ISO感度で撮影したようなとても綺麗な状態に仕上がります。
>> ノイズ除去にオススメなソフトウェア DxO PureRawの特徴と使い方
ISO感度を下げるべきシチュエーション
- 明るい日中での撮影
- 意図した被写体ブレを起こす撮影
- 三脚を使っての風景撮影
明るい日中での撮影
明るくて、どんな設定でも十分なシャッター速度になる日中の撮影では、不必要にISO感度を上げずに高画質で撮影をおこないましょう。
使用するレンズの焦点距離にもよりますが、1/250秒以上のシャッター速度を確保できれば、ISO感度はISO100やISO200で全く問題はありません。
意図した被写体ブレを起こす撮影
同じ明るさの写真を撮る場合は、ISO感度を低くするほど、シャッター速度を遅くすることができます。
水流や波などを、わざと被写体ブレさせて撮りたい場合には、カメラのISO感度を下げて撮影しましょう。
ただしISO感度だけでは、狙ったシャッター速度まで遅くならない時のあるので、その場合にはF値をF16-22に絞ったり、NDフィルターも使ってシャッター速度の調整をおこなう必要があります。
◎水流や波をスローシャッターで撮るのにオススメなNDフィルター
三脚を使っての風景撮影
三脚を使うことでものすごく遅いシャッター速度でも、手ブレのない綺麗な写真を撮ることが可能になります。
このため最大限に高画質で撮影できるように、ISO感度はISO100かISO200で撮影するのが良いでしょう。
撮影のヒント
特に長時間露光では長時間露光によるノイズが発生するので、カメラの設定で長時間露光のノイズ低減をONに設定しておきましょう。※Canonカメラの場合
使用可能なISO感度の上限
使用するカメラのISO感度は、カタログ上の最大値に関係なくISO3200 ~ 6400を上限とすることで、綺麗な写真を撮影することが可能になります。
スマホやSNSといった小さな画面では、ノイズがほとんど気にならないので、使用用途によってはISO6400までISO感度を上げて撮影すると良いでしょう。
ちなみに設定可能とはいえ、カメラのISO感度をISO6400以上に上げてしまうと、ノイズの量がとても多くなり色合いにも影響がでるので、使用することはほとんど不可能といえます。
カメラの機種やシチュエーション別のISO感度の上限
同じISO感度でも、カメラの機種(グレード)や撮影する場所の明るさによって、ノイズのでる量には違いがあります。
どんな機種(グレード)やシチュエーションでも、ISO6400で綺麗に撮影できるというわけではないので、次の表を目安にして使用するISO感度の上限を決めておきましょう。
ISO感度の使用可能上限 | |||
明るい場所 | 薄暗い場所 | 星空 | |
エントリー機 | 3200 | 1600 | 3200 |
ミドルクラス機 | 3200 ~ 6400 | 1600 ~ 3200 | 3200 ~ 6400 |
ハイアマチュア機 | 6400 | 3200 | 6400 |
表はあくまでも目安なので、実際に撮影した写真を確認して、ご自身のカメラで使用可能なISO感度の上限を把握しましょう。
まとめ
- カメラのISO感度は意図しない手ブレや被写体ブレをなくすために上げる
- カメラのISO感度はシャッター速度を好きな速さになるように調整するために使う
- シチュエーション別でISO感度を上げるべきかを判断する
なんのためにカメラのISO感度を使うのか、これをハッキリとさせておくことで、各撮影シーンでISO感度を上げて撮影するべきか、下げて撮影するべきかを判断できるようになります。
ある程度判断基準が定まるまでは、この記事をブックマークしていつでも確認できるようにしておくと良いでしょう。
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