冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
カメラのノイズが出る原因と綺麗に撮るための対処方法
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
カメラで撮った写真が全体的にザラザラとした感じになっていたり、赤・青・緑の小さな点があちこちに出ていることがありませんか?
写真のザラザラ感や赤・青・緑の小さな点は、どちらもカメラで写真を撮影する際の設定や撮影環境の条件によって発生するノイズが原因です。
- ノイズの種類
- ノイズが出やすい環境
- ノイズの除去方法
ノイズは撮影の段階でカメラの設定による対策や、撮影後にレタッチソフトで綺麗に除去・軽減することが可能です。
どんなに良いシャッターチャンスを撮った写真でも、ノイズの発生が原因で写真のクオリティを下げることにも繋がります。
ノイズが発生する原因とその対処方法をしっかりと学んで、よりクオリティの高い写真に仕上げられるようにしていきましょう。
ノイズの種類
カメラでの撮影で発生するノイズは主に次の2種類が存在していて、ノイズの種類によって発生する原因と対処方法が異なります。
それぞれのノイズが発生する原因を理解して、適切な対処方法を身につけて撮影に臨みましょう。
高感度ノイズ
高感度ノイズは、カメラのISO感度を高く設定して撮影した場合に発生するノイズです。
高感度ノイズには、さらに細かく輝度ノイズとカラーノイズの2つの種類が存在していて、それぞれノイズの現れ方に特徴があります。
高感度ノイズの特徴
輝度ノイズ → 写真全体にざらざら感が出る
カラーノイズ → 不自然な色(偽色)が出る
輝度ノイズの特徴は全的に細かな粒子が散りばめられたような「ざらざら」とした印象があり、カラーノイズは本来の色とは違う形で赤・青・緑色(偽色)が写真全体に現れます。
基本的に輝度ノイズとカラーノイズは毎回同時に発生
高感度ノイズはISO感度を高くするほど発生する
高感度ノイズは、カメラのISO感度を高く設定するほど、発生するノイズの量がや濃さが増大していきます。
ISO感度とノイズの関係
これはISO感度がレンズから入ってくる光を、電子的に増幅(明るく)していることが原因で、身近なもので例えるとスピーカーの音量を上げるほど、雑音やノイズが入って音質が悪くなるのと同じような原理です。
薄暗い場所での手持ち撮影には注意
薄暗い水族館や夕暮れ時の手持ち撮影では、手ぶれを抑えるためにISO感度を高く設定する必要があるので、その分高感度ノイズが発生するリスクは大きくなります。
このため無駄にISO感度を高くし過ぎることがないように、手ブレをしない必要最低限の高さにISO感度を設定することで、ノイズを抑えた写真を撮ることができるようになります。
- 早く動く被写体を撮影(鳥・動物)
- 薄暗い場所での手持ち撮影(水族館・森)
- 薄暗い時間帯での手持ち撮影(朝明け・夕暮れ)
長秒時ノイズ
長秒時ノイズは、10秒を超えるような長時間露光で撮影した時に発生するノイズです。
長秒時ノイズの場合には、ISO感度の設定値に関係なく赤・青・緑色の小さな点が、ノイズとして写真に発生するのが特徴です。
ちなみに長秒時ノイズは、シャッター速度やその他カメラの設定条件が同じであれば、毎回同じ場所にのノイズが発生するため、その特徴を活かしたノイズの除去方法がカメラに備わっています。
長秒時ノイズは熱いほど発生する
長秒時ノイズはイメージセンサーが熱を持った場合に、余計な電気信号を送ってしまうことが原因で発生します。
このため撮影する環境の温度や、シャッターを開けている間に発生する熱の量によって、ノイズの量が変化していきます。
ちなみに高感度ノイズと違って長秒時ノイズは、写真の一部にポツンポツンと発生するので、多少の長秒時ノイズであれば、Lightroomなどのスポット修正機能で綺麗に取り除くことも可能です。
夏場は60秒ほどのシャッター速度でも注意
長秒時ノイズは環境の温度や気温によって発生するリスクが左右されるので、気温の高い夏場は60秒程度の長時間露光でも、長秒時ノイズが目立つようになってくるので注意しましょう。
逆に気温が低い冬場であれば、カメラの機種によっては3~5分の長時間露光でも長秒ノイズのない写真を撮ることも可能です。
- 気温の高い夏場
- 3~5分を超えるシャッター速度
ノイズの除去方法
ノイズは撮影の段階でカメラの設定による対策や、撮影後にレタッチソフトで綺麗に除去・軽減することが可能です。
高感度ノイズと長秒時ノイズそれぞれの対策と除去・軽減方法を解説していくので、撮影しているジャンルなどに合わせて事前確認をしておきましょう。
高感度ノイズの軽減と除去方法
高感度ノイズの撮影段階での対策と、撮影後のレタッチソフトでの除去・軽減には次の5つの方法が存在します。
ISO感度を上げ過ぎない
当然のことですが、高感度ノイズはISO感度を上げるほどノイズの発生する量が多くなるので、撮影環境や撮影対象から判断して、必要以上にISO感度を上げ過ぎないように注意しましょう。
例えば、ISO感度以外に絞り(F値)やシャッター速度で写真の明るさを調整したり、三脚が使える環境であれば積極的に三脚を使用して、なるべく低いISO感度で撮影ができるように工夫すると良いでしょう。
高感度撮影時のノイズ低減を使用
高感度撮影時のノイズ低減を使用することで、写真を撮影する段階で高感度ノイズを軽減した写真を作成してくれます。
ただしノイズ低減が反映されるのはjpeg写真になるので、Rawで撮影してからLightroomなどでレタッチをおこなうという方にはあまり意味のない設定になります。
jpeg写真にだけ効果があるので、Raw形式のみで保存している人には意味のない設定
高感度撮影時のノイズ低減はCanonでの名称
高感度撮影時のノイズ低減はCanonでの名称なので、他のメーカーではそれぞれ別の名称で呼ばれています。
カメラのメーカーによって機能の呼び方は違いますが、基本的には「OFF」「弱め」「標準」「強め」の4段階で設定が可能となっています。
- Canon → 高感度撮影時のノイズ低減
- Nikon → 高感度ノイズ低減
- Sony → 高感度NR
- Olympus → ノイズリダクション
- Fujifilm → ノイズリダクション
Canonのカメラでの設定方法
MENU
→カメラマーク
→高感度撮影時のノイズ低減
から設定
ノイズ低減は強すぎるとシャープネスがなくなる
高感度ノイズを低減する機能は、「OFF」「弱め」「標準」「強め」の4段階で設定が可能ですが、強い設定になるほどノイズが低減される反面で、写真のシャープネスがなくなるので注意しましょう。
レタッチソフトでノイズ軽減
Lightroomをはじめ、LuminarやNik collectionといったレタッチソフトには写真のノイズを軽減する機能が備わっているので、レタッチの段階で高感度ノイズを軽減することも可能です。
ちなみにLightroomでノイズ軽減をする場合は、半自動と手動の2パターンで作業が可能で、半自動の「AIノイズ除去」を使用すると簡単で綺麗にノイズが除去されます。
AIノイズ除去の効果
上の写真はAIノイズ除去を使用する前と後の比較ですが、ざらざらした輝度ノイズと赤・青・緑色(偽色)が混じったカラーノイズのそれぞれが消えているのがわかります。
Lightroomを使うと、AIノイズ除去で簡単に高画質な画像に仕上げることが可能で、さらにはレタッチと写真の管理もできるので、写真をたくさんとる人にはオススメです。
LightroomのAIノイズ除去の詳細はこちら
センサーサイズが大きいカメラを使う
ちょうどカメラの買い替を考えている方や、高感度ノイズが発生しやすい星景写真を撮るという方は、センサーサイズの大きなカメラに買い替えるのも高感度ノイズを抑える方法の1つです。
カメラのセンサーサイズは、大きくなるほど画素1つの面積が大きくなるので、ISO感度で増幅した光がノイズに変わるリスクが小さくなります。
例えば2400万画素とは、センサーに2400万個の画素という部品が存在しているカメラのこと
⇩
同じ画素数のカメラならセンサーサイズが大きなカメラの方が1つの画素が大きいということになる
ノイズ除去ソフトを使う
ノイズのない綺麗な写真に仕上げたいという方は、ノイズ除去専用のソフトを使うのも1つの方法です。
ノイズ除去のソフトとして有名なDxOのPureRawは、Raw形式の写真限定ではあるものの、ISO感度ISO6400を超えるような超高感度で撮影した写真でも、綺麗にノイズを除去してくれます。
jpeg画像のノイズは除去できない
またカメラの高感度ノイズ低減やレタッチソフトのノイズ軽減と違って、ノイズを完全に除去した上にシャープネスまで向上するというのも、PureRawでノイズ除去をする大きなメリットと言えます。
PureRawの使用例
タブの切り替えで比較可能
上の画像は手持ちで夜景撮影した写真を、PureRawで綺麗にノイズ除去・シャープネスの向上をおこなった比較になります。
ノイズが綺麗になくなっただけでなく、東京タワーやビルのシャープネスが向上しているのが見てとれます。
\高感度ノイズを綺麗に除去/
長秒時ノイズの軽減と除去方法
長秒時ノイズの撮影段階での対策と、撮影後のレタッチソフトでの除去・軽減には次の3つの方法が存在します。
長秒時露光のノイズ低減を使用
長秒時露光のノイズ低減を使用することで、写真を撮影する段階で長秒時露光のノイズを低減した写真を作成してくれます。
長秒時露光のノイズ低減も、メーカーによって呼び方はさまざまですが、「する」「しない」の切り替えに加えて「自動」があるメーカーや機種も存在していて、基本的にRawとjpegどちらでも使用が可能です。
長秒時露光のノイズ低減はCanonでの名称
長秒時露光のノイズ低減はCanonでの名称なので、他のメーカーではそれぞれ別の名称で呼ばれていますが、設定の方法に大きな違いはありません。
「自動」がある場合には設定をしておくだけで、1秒以上のシャッター速度で撮影するときに、自動的に長秒時露光のノイズ低減がおこなわれます。
- Canon → 長秒時露光のノイズ低減
- Nikon → 長秒時ノイズ低減
- Sony → 長秒時NR
- Olympus → 長秒時ノイズ軽減
- Fujifilm → 長秒時ノイズ軽減
長秒時ノイズ低減は連続撮影ができない
長秒時ノイズ低減には、連続で撮影ができないというデメリットがあります。
これは撮影時のシャッター速度と同じ時間だけノイズ低減の処理に時間がかかるという、長秒時ノイズ軽減の仕組みが関係しています。
そのため1分を超えるような長時間露光撮影をする場合には、1枚の写真撮影にその倍の2分以上の時間がかかることになります。
何枚もの写真を続けて撮りたい場合やタイムラプス撮影の際には、長秒時ノイズ低減の使用を控える方が良いでしょう。
長秒時ノイズ低減の仕組み
長秒時ノイズ低減はノイズのある写真(通常撮影)とノイズだけを写した写真(ノイズ処理用)の2枚を使ってカメラ内で処理をしている
レタッチソフトでスポット修正
Lightroomをはじめ、PhotoshopやNik collectionといったレタッチソフトの、「スポット修正機能」を使うことで長秒時ノイズを除去することも可能です。
本来は写真内の被写体や写り込みを除去する「スポット修正機能」ですが、比較的ノイズの発生が少ない長秒時ノイズであれば、手作業で除去することができるでしょう。
長秒時ノイズが多い場合は作業が大変
スポット修正機能を使う方法は、基本的にノイズを1つずつ処理していく必要があるので、長秒時ノイズが多くなるほど作業が大変で時間もかかるというデメリットがあります。
ノイズが多い時には、1枚の写真から長秒時ノイズを除去するだけで10分以上もかかることもあるので、効率よく長秒時ノイズを除去したい場合にはオススメしません。
ノイズ除去ソフトを使用
高感度ノイズと同様にノイズ除去ソフトのPureRawを使用することで、高感度ノイズと同時に長秒時ノイズをいっぺんに写真から除去することが可能です。
レタッチソフトの「スポット修正機能」を使うのとは違い、ボタンの処理数回で写真内の全てのノイズを除去することができるので、効率よく長秒時ノイズを除去したい方にもオススメです。
PureRawでは複数の写真を1度にノイズ除去することも可能
上の画像は、PureRawで長秒時ノイズを除去する前と除去した後の比較ですが、空の部分に出ていたノイズが綺麗に除去された上に、シャープネスも向上してカリッとした写真に仕上がっているのがわかります。
\長秒時ノイズを一度に除去/
まとめ
カメラで写真を撮るときに発生するノイズの種類と原因、ノイズの軽減や除去方法をご紹介しました。
高感度ノイズと長秒時ノイズは、それぞれカメラの設定で低減することが可能です。
ただし撮影のジャンルや環境によっては、写真を撮影してからレタッチソフトやノイズ除去ソフトを使っての作業が必要になるので、自分に合った方法でノイズのない綺麗な写真に仕上げていきましょう。
高感度ノイズ | 長秒時ノイズ |
---|---|
ISO感度を上げすぎない | |
高感度撮影時のノイズ低減を使用 | 長秒時露光のノイズ低減を使用 |
レタッチソフトの ノイズ軽減機能を使用 | レタッチソフトの スポット修正機能を使用 |
センサーサイズが大きいカメラを使う | |
PureRawを使う | PureRawを使う |
基本的に高感度ノイズと長秒時ノイズではノイズの軽減や除去方法が異なるので、高感度ノイズと長秒時ノイズのどちらも発生する写真を撮影するといいう方は、作業の手間がかかります。
星景写真を撮影する方やノイズ除去の作業効率を上げたいという方は、高感度ノイズと長秒時ノイズのどちらも複数枚をまとめて1度にノイズ除去が可能な、PureRawの導入を考えてみると良いでしょう。
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