冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
【カメラ上達のコツ】風景写真の構図は引き算が基本でときどき足し算
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
風景写真では、「構図の引き算」が大切だという言葉をよく聞きますが、みなさんは実際の撮影でどのように引き算をすれば良いかわかりますか?
「風景写真の構図は引き算が基本」と頭では理解していても、初めのうちは実際に撮影現場に立つと何を基準に引き算をすれば良いかわからないものです。
そんな風景写真での「構図の引き算」の方法と、さらに一歩踏み込んだ「構図の足し算」の方法を詳しくご紹介していきます。
構図の引き算をする目的
風景写真を撮る上で「構図の引き算」をするという行為には、主題を明確にする目的があります。
空や雲、山、湖、海などあらゆる被写体が存在する景色の中で、何を主題として撮影したのかを、写真を見る人に明確に伝えるために「構図の引き算」は必要になってきます。
構図の引き算をしていない例
例えば上のような写真では、赤い点線で囲った「岩山」を主題としているのですが、この写真を見たときに「岩山」に対して、すんなりとに目がいくでしょうか?
このように「構図の引き算」をしていないと、撮影者自身は主題を決めているにも関わらず、構図に余計な被写体を入れてしまったことで、主題であるはずの「岩山」が目立たなくなってしまうのです。
引き算の基準
主題を明確にするために「構図の引き算」をする際には、次の3つの基準を意識して引き算をしていきましょう。
- 主題の存在感を弱めるモノ
- 主題の邪魔になるモノ
- 主題よりも目立つモノ
実際に先ほどの、「構図の引き算をしていない例」で紹介した写真には、この3つの基準となるモノが全て含まれています。
構図から引くべき3つの基準
この写真をよくみると、明るい空が写真の中で1番目立っていて、面積の大きい山の部分が岩山の存在感を弱めています。
また構図の端っこに存在する余計な人工物が、この写真の世界観を邪魔しているのがよくわかります。
主な要素 | |
存在感を弱めるモノ | 面積が大きい被写体、主題と類似している被写体 |
邪魔になるモノ | 人工物、人や枝などの写り込み |
目立つモノ | 明るい被写体、空 |
引き算の方法
構図作りをする際に引き算の対象となる要素が存在する場合は、撮影位置を変更したり焦点距離を変更して、対象となる要素を構図からフレームアウトさせましょう。
構図の引き算をした作例
上の写真では焦点距離を望遠側で撮ることで、1番明るい空と面積が大きかった山の部分、世界観の邪魔になっていた人工物をフレームアウトさせることができています。
また単純に主題である「岩山」そのものを大きく写すことができているので、より主題が明確な写真に生まれ変わっているのがわかります。
フレームアウトが無理な時は?
撮影場所やその他構図の関係で、どうしても構図から引くべき要素をフレームアウトできない場合には、ボケや明暗差を使う引き算の方法もあります。
- 前景や背景をボカして撮る
- 明暗差を活かして撮る
被写体の手前や奥に不要な要素が写り込んでしまう場合には、絞り調整してわざと背景ボケや前ボケにすることで不要な要素の存在を薄めることが可能になります。
背景ボケの作り方はこちら ≫
また明暗差の大きな場所であれば、わざと不要な要素が暗くなるように撮影したりシルエットのようにすることで、主題の存在感を大きくすることができます。
シルエット写真の撮り方はこちら ≫
- 基本はフレームアウト
- 背景ボケや前ボケにする
- シルエットにする
構図の引き算には望遠レンズがオススメ
「構図の引き算」をする際には、撮影できる範囲が広い広角レンズよりも、景色の中の一部分だけを切り取ることができる望遠レンズの使用がオススメです。
今回の作例を振り返ってみても、焦点距離24mmの広角で撮影した作例には、不必要な3つの要素が写り込んでいましたが、焦点距離150mmの望遠に切り替えて撮影した作例では、上手に「構図の引き算」ができていました。
望遠レンズを使用すると撮影できる範囲が限定されるので、初心者の方が無意識に撮影するだけでも、自然とシンプルで主題が明確な写真を撮ることができるようになります。
おすすめの望遠レンズ
構図の足し算をする目的
風景写真を撮る上で「構図の足し算」をするという行為には、主題の魅力を際立たせたり写真にストーリーを生む目的があります。
「構図の引き算」で写真の中の主題を明確にすることに慣れてきたら、そこに要素を1つ加えて写真をより印象的な作品に仕上げてみましょう。
構図の足し算をした作例
上の写真は「構図の引き算」によって主題が明確になった写真に対して、「構図の足し算」をおこなった写真です。
主題である「岩山」の上に人が数人いる瞬間を切り取ったことで、この「岩山」の大きさ(スケール感)をより際立たせた写真に生まれ変わっていることがわかります。
上の写真では「人」という要素を入れてスケール感を出しましたが、この他にも主題との比較対象になる小さな景色や動物などを足すことでも、主題のスケール感を際立たせることが可能です。
まとめ
風景写真で重要とされている、「構図の引き算」をする基準や方法を作例とともにご紹介しました。
「構図の引き算は」構図の中の背景などを上手に整理することで、主題を明確にすることができるのでシンプルで鑑賞用にも適した作品に仕上がることが多いです。
納得のいく写真が撮影できた時には、プリントして部屋に飾ってみるのも良いでしょう。
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