冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
入門機でもチャンスあり!?デジタル一眼カメラでの天の川の撮り方と設定
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
夏になるとSNS上でも頻繁に目にするようになる天の川。デジタル一眼カメラで星の写真を撮ったことがある人なら、一度は撮影してみたいと思う被写体ですよね。
ただ天の川を撮影するとなると、カメラ初心者の方や普段入門機で撮影している方には、撮るのが難しいと思う方が多いかと思います。
この記事では、そんな天の川を撮影してみたいけどまだチャレンジしたことがない方、または天の川を狙っているけど上手く撮影できないという方のために、天の川の撮り方を詳しく解説していきます。
- 天の川の撮影が入門機でも可能な理由
- 天の川を撮影するための下準備
- 天の川の撮り方
カメラ初心者や入門機での撮影では難しいと諦めていた方は、この記事を参考にして天の川の撮影をしてみましょう。
カメラやレンズにこだわるほど綺麗な写真になりますが、入門機でもこのレベルの天の川は撮影することが可能になりますよ。
天の川を撮るのに1番大切なのはロケーション
まず大前提として、天の川を撮るためには街明かりなどの光害が少ない、暗い場所を選んで撮影することが大切です。
同じカメラとレンズ、同じ設定で似たような時間帯に撮影していますが、街明かり(光害)の多い場所で撮影した写真は、天の川が街明かりで見えなくなっています。
この比較写真を見て分かるように、天の川の撮影にはとても暗い場所に行く必要があるので、開放F値が4.0やF4.5のような入門機のレンズでも、撮影するチャンスがあるのです。
また実際の撮影では、天の川がどの方向に現れるかを正確に知る必要があるので、撮影前の準備段階が1番大事になってきます。
- 光害のない暗い撮影場所を探す
- 天の川の出る時間を確認
- 月明かりの有無を確認
光害のない暗い撮影場所を探す
まずは天の川の撮影では天敵となる、街明かり(光害)の少ない撮影場所を探します。
肉眼でも天の川を見れる場所を知っていれば、その場所に行くのが1番ですが、もしもそのような場所を知らないという場合には、無料で使える『光害マップ』を参考にして、天の川の撮影に適した暗い場所を探しましょう。
天の川を撮るにはClass4以下の場所が最適
光害マップ上で気になる場所をクリック、またはタップ&ホールドすると、その場所の光害レベルが確認できます。
天の川のある方角によっては、class4から肉眼でも薄らと天の川を見ることができるので、天の川の撮影に適した環境になります。
ちなみに入門機のレンズのように、開放F値が4.5以上のレンズを使う場合には、class3以下の場所での撮影をおすすめします。
天の川の出る時間を確認
天の川はどの時期・時間帯でも空に現れますが、場所によって天の川の明るさや太さはさまざまです。
このように撮影する季節や時間帯によっては、味気のない天の川しか撮れないので、天体アプリを使って天の川の最も太く明るく太い場所が撮れる時期と時間を確認します。
時期や時間帯での天の川の見え方の違い
天体アプリでは下部にあるタイムラインを使って、細かな日時を指定してその時の天の川の位置を確認することが可能です。
同じ時間帯ですが、冬には天の川の細い部分しか空に出ていないことがよくわかります。
これが天の川が夏の風物詩と言われる所以です。季節によって天の川の見える位置は変わってくるのです。
こちらは同じ日の違う時間帯を比較したものです。
夜明け前の時間帯よりも、夜がふけた直後の方がより天の川の太い部分が空に出ているのがわかります。
月明かりの有無を確認
どんなに暗い場所を選んで、天の川の見える時期と時間を確認しても、空に明るい月があっては、天の川を撮ることは難しくなってしまいます。
天の川の撮影には、月のない日や時間帯を狙うようにしましょう。
天体アプリでの月の有無の確認方法
天体アプリでは、マップ上に月の軌道を表示してくれるので、天の川の位置を確認する時に併せて月の有無も確認しましょう。
マップ上に月がなければ、その日または時間帯には月がないことを示しています。
おすすめの天体アプリ
さまざまな天体アプリがありますが、この記事ではiPhoneとAndroidのどちらでも使用可能なおすすめの天体アプリを無料版と有料版から1つずつ紹介します。
無料版のおすすめ天体アプリEphemeris
Ephemerisは、無料版でもAR機能が使えるので、撮影現場でスマホのカメラを通して天の川の位置を確認することが可能です。
もちろん事前に天の川の位置や月の有無を、タイムラインを使って確認できるので、まずは無料の天体アプリEphemerisを使ってみると良いでしょう。
有料版のおすすめ天体アプリSun surveyor
有料版では、Google mapのストリート・ビューと連携して、事前に撮影場所での天の川の位置を確認できるSun surveyorがおすすめです。
近くに天の川の撮影に適した場所がり、いつでも撮影するチャンスがある人には必要ありませんが、車で1時間以上離れた場所へ撮影しに行くという方には、とても便利な機能になります。
私も天の川の撮影前には、有料版のSun surveyorを使って、撮影場所での天の川の正確な位置や角度を確認しています。
作例
どちらもSun surveyorのストリート・ビュー機能を使って、天の川と綺麗な景色を一緒に撮影できることを確認してから撮影にのぞみました。
天の川の撮影に必要な機材
天の川の撮影は、基本的に通常の星を撮影するのと同じ機材があれば問題ありません。
- 三脚
- 広角レンズ
- レリーズ(あれば)
- ライト
天の川は空を一周しているので、使用するレンズは広角であるほど天の川を沢山の写真に写すことが可能になります。
また使用するレンズの開放F値は天の川の写真のクオリティに直結します。
まずは入門機でも、天の川が撮影できる楽しみを知ってもらいたいですが、さらにハイクオリティな天の川の写真を撮影したいという方は、星の撮影用に開放F値の明るいレンズを購入するようにしましょう。
どちらも撮って出しですが、明るさに大きな違いがあります。
天の川に限らず、星の写真をノイズの少ないハイクオリティな写真に仕上げるには、開放F値の小さいレンズを使って、撮影段階でどれだけ明るく撮影できるかが重要になるのです。
天の川の撮影におすすめの広角レンズ
中国メーカーのSAMYANGから販売されている超広角レンズで、星景写真では一番コストパフォーマンスの良いレンズとして有名です。
開放F値は星を綺麗に撮影するのには最適なF2.8以下をクリア、また焦点距離は14mmととても広いので、APS-C機に取り付けても約22mmと広角レンズの範囲に収まっています。
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天の川の撮影にライトは必須
天の川を撮影するためには、街明かり(光害)から離れたとても暗い場所に行く必要があるので、ライトを必ず持参しましょう。
移動やカメラの設定の際にライトがないと、ケガやカメラの転倒・破損に繋がります。スマホのライトでも良いですが、両手が空くヘッドライトがあると、さらに便利です。
天の川の撮影方法
実際の撮影現場では次のような手順で撮影を行なっていきます。
- 天の川の位置の確認
- カメラの設定
- 星へのピント合わせ
- 撮影と確認
天の川の位置を確認
撮影現場に着いたら、まずは天の川の位置を確認します。
肉眼でも天の川を確認できる場合は良いですが、肉眼でも天の川の位置がハッキリとしない場合には、天体アプリのAR機能を使って天の川のある位置を確認しましょう。
カメラの設定
天の川を撮影する場合、基本的なカメラの設定は通常の星を撮影する時と変わりません。使用するレンズの開放F値によって、シャッター速度を調整しながら撮影をしましょう。
基本的なカメラの設定 | ||
開放F値2.8以下のレンズ | 開放F値3.5以上のレンズ | |
撮影モード | Mモード | |
絞り | 開放(最小のF値) | |
ISO感度 | ISO6400 | |
シャッター速度 | 5~15秒 | 15~30秒 |
WB(ホワイトバランス) | 自動 | |
フォーカス | MF(マニュアル・フォーカス) | |
高感度撮影時のノイズ低減 | オン | |
手ブレ補正 | オフ | |
ドライブモード | 2秒タイマー(レリーズがない場合のみ) |
星へのピント合わせ
天の川に限らず、星の撮影ではMF(マニュアル・フォーカス)を使用した、手動でのピント合わせが必要になります。画面に写る1番明るい星に、ピント合わせを行いましょう。
使用するレンズの開放F値が暗く、ライブビューモニターで星が確認できない場合には、構図に関係なく空に見える一番明るい星を使ってピント合わせを行いましょう。
撮影と確認
通常の星の撮影と同様に、一度撮影してみてから、写真の明るさを確認します。また写真内の天の川の位置も確認して、必要に応じて構図を変更しましょう。
確認後の調整方法 | |
星のピントがズレている | MFでピント位置を調整 |
写真が暗い | ISO感度を上げる or シャッター速度を遅くする |
写真が明るい | ISO感度を下げる |
画質が粗い(ノイズが目立つ) | ISO感度を下げてシャッター速度を遅くする |
まとめ
スマホの画面で楽しむ程度であれば、入門機のレンズでも天の川を撮影することは可能です。
まずはお手持ちのカメラとレンズを、家から1番近い暗い場所へ持っていき、天の川の撮影をしてみましょう。
もしもそれでも満足できない場合には、星の撮影用にレンズの購入や、星の写真を綺麗に仕上げるためのレタッチ方法を学ぶのがいいでしょう。
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