冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
カメラの絞りとは?初心者が覚えておくべき基礎をわかりやすく解説 ~その1~
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
デジタル一眼カメラで写真を撮り始めると、必ずといって良いほど目にする絞り、みなさんは絞りについてどのくらい理解できていますか?
カメラの絞りは、写真を撮る上で明るさや表現方法などに大きく関わってくる、とても重要な設定項目なので、初心者の方も今のうちから絞りの正しい使い方を知っておく方が良いですよ。
- カメラの絞りとは
- 絞りによるピントの変化
- 絞りの主な使い方
カメラの絞りとは
カメラの絞りとは、簡単に言ってしまうとピントが合う範囲を決めるための設定です。
このピントが合う範囲を決める絞りは、カメラの設定で言うとF値というものにあたり、カメラ上では「F5.6」「F8」「F11」といった数値で表記されて、絞り(F値)の変化によって、ピントが合う範囲が変わってきます。
カメラでの絞りの表記
上のイラストは、キャノンカメラでの絞りの表示のされ方を表したものですが、「F5.6」となっている部分(F値)がカメラでの絞りということになり、この「F〇〇」の数値を変化させることで、写真のピントの合う範囲を決めることができるのです。
主にピントの合う範囲を決める絞りですが、絞りの変化はピントの合う範囲を含めた、主に次の3つに影響があります。
- ピントが合う範囲
- シャッター速度
- 写真の明るさ
絞り(F値)の変化は、この3つに影響を与えますが、カメラ初心者が使用するPモードやAvモードいった撮影モードでの撮影に影響のある、「ピントが合う範囲」を中心にこの記事では解説していきます。
≫ カメラの撮影モードの違いはこちら
絞りを開ける=F値が小さい|絞りを絞る=F値が大きい
絞りはレンズの部品の1つで、絞り羽根という部品を操作して光が通るレンズの穴の大きさを大きくしたり、逆に小さくして調整しています。
レンズの絞り羽根
上の写真はレンズを真正面から見たもので、レンズの内側に何枚もの羽のような板が、重なり合って見えるのがレンズの絞り羽根です。
この絞り羽根の重なり具合を変化させることで、レンズを通る光の量を調整することができ、「絞りを開ける=F値が小さい」「絞りを絞る=F値が大きい」というように表現されます。
絞りとF値の関係
上のイラストは絞りとF値の関係を表したもので、絞りを開けるほどF値は小さくなり、逆に絞りを絞るほどF値が大きくなっているのがわかります。
また絞りを開けるほど光が通れる穴が大きくなり、逆に絞りを絞るほど光が通る穴が小さくなっているので、この光の通る穴の大きさの違いが、写真のピントの合う範囲や明るさに大きく関わってくるのです。
ここまでのおさらい
ここまで学習したことをおさらいしましょう。それぞれの問題をクリックすると答え合わせができます。
Q1. 絞りはカメラの画面上で何と表記されている?
- F値で表記されている
絞りはカメラの画面上で「F5.6」「F8」「F11」といった数値で表記されています。
Q2. 絞りを開けるとF値の数値どうなる?
- F値の数値は小さくなる
絞りを開けるとF値は小さくなり、逆に絞りを絞るほどF値が大きくなります。
Q3. 絞りはどの部品を操作している?
- レンズの絞り羽根
絞りはカメラレンズに付いている絞り羽根という部品を操作していて、光が通る範囲を調整している。
Q4. F2.8とF11はどちらの方が光を通す?
- F2.8
F値は数値が小さいほど、光を通す穴が大きくなるので、それだけ光を通すことになります。
絞りを開けるほどピントの合う範囲が狭い
絞りを開ける(F値を小さくする)ほど、ピントの合う範囲が狭くなり背景や手前がボケるようになります。
逆に絞りを絞るほど、ピントの合う範囲は広くなるのでボケ感が弱くなり、最終的にはボケのない完全にピントの合った写真を撮ることができるようにもなります。
絞りとボケの関係
上のイラストは、絞り(F値)とボケの関係を表したもので、絞りを開ける(F値が小さい)ほど、ピントの合う範囲が狭くなり、背景が強くボケています。
逆に絞りを絞るほどピントの合う範囲が広くなり、背景までしっかりとピントの合った写真が撮れるようになるのです。
ここまでのおさらい
ここまで学習したことをおさらいしましょう。それぞれの問題をクリックすると答え合わせができます。
Q1. 絞りを開ける(F値が小さい)とピントの合う範囲はどうなる?
- ピントの合う範囲が狭くなる
絞りは開ける(F値を小さくする)ほどピントの合う範囲が狭くなり、逆に絞りを絞るほど、ピントの合う範囲は広くなります。
Q2. F2.8とF22ではどちらがピントが合う範囲が広い?
- F22
絞りは絞るほどピントの合う範囲は広くなります。
Q3. 背景をボカしたい 時は絞りをどうする?
- 絞りを開ける
絞りは開ける(F値を小さくする)ほどピントの合う範囲が狭くなるので、背景をボカすことができます。
絞りの主な使い方
カメラの絞りは、主に写真のボケ感を調整するために使用するので、カメラで撮影する被写体やシーンによって、絞りを開けて撮影したり、逆に絞りを絞って撮影する必要があります。
- 絞りを開ける(小さいF値)→ ポートレート、花、料理、雑貨など
- 絞りを絞る(大きなF値)→ 風景、長時間露光撮影など
写真の表現は人それぞれ自由ですが、一般的には上のように絞りを使い分けて撮影することが可能です。
絞りを開けて(小さいF値で)撮る写真
絞りを開けて(小さいF値で)撮ることで、主題となる被写体の背景をボカした写真を撮影することが可能になります。
上の写真はどちらも絞りを開けた「F2.8」で撮影した写真ですが、ピントが合う範囲が狭いので、どちらも主題となる花とケーキの背景がボケているのがわかります。
子供や人を撮るときは絞りを開ける
子供や恋人、友人などをメイン(主題)として撮影する場合には、絞りを開けて(小さいF値で)撮影すると、背景がボケてふんわりとした柔らかな印象の写真を撮ることが可能になります。
また絞りを開けて(小さいF値で)撮影することで、レンズを通る光の量を増やすことができるので、結果的にシャッター速度が速くなり、動く子供でも被写体ブレをせずに撮影することができますよ。
≫ 被写体ブレと手ブレの違いはこちら
絞りを絞って(大きなF値で)撮る写真
絞りを絞って(大きなF値で)撮ることで、写真の手前から奥まで全ての被写体や景色にピントを合わせることができるようになります。
上の写真はどちらも絞りを絞った「F11」で撮影した写真ですが、写真に写る全ての景色にピントが合っているのがよくわかります。
風景写真と大きなF値は相性が良い
風景写真は、基本的に景色全体にピントが合っている方が、ハッキリと見やすくなるので写真の印象も良くなります。
また風景写真の撮影でよく使用される広角レンズは、標準レンズや望遠レンズと比べると被写界深度が深いので、低いF値でも全体にピントを合わせやすいので相性はピッタリです。
日中におこなう長時間露光にも
カメラの初心者にとっては少し高度な撮影になりますが、明るい日中に、シャッター速度を1秒前後よりも遅くして撮影する長時間露光では、シャッター速度を遅くする目的で絞りを絞る(F値を大きく)することがあります。
絞りを絞ることで、シャッター速度を遅くすることはできますが、日影などの日中でも薄暗いところを除いては、シャッター速度を1秒前後よりも遅くすることは難しいので、NDフィルターという特殊なフィルターを使って撮影をすることがほとんどです。
≫ NDフィルターの使い方はこちら
ここまでのおさらい
ここまで学習したことをおさらいしましょう。それぞれの問題をクリックすると答え合わせができます。
Q1. 子供や花を撮るのに絞りはどうするのがオススメ?
- 絞りを開ける
絞りは開ける(F値を小さくする)ほど背景をボカすことができるので、ふんわりとした印象の写真が撮れます。
Q2. 風景を撮るのに絞りはどうするのがオススメ?
- 絞りを絞る
絞りは絞る(F値を大きくする)ほど全体にピントが合うようになるので、景色全体をハッキリと写真に撮ることができます。
絞りとシャッター速度・明るさの関係
この記事ではザックリとだけ触れますが、ピントの合う範囲を決める以外にもシャッター速度と写真の明るさにも、絞りの変化は影響を与えます。
ただしカメラ初心者の方が主に使用する撮影モードの、Pモード(プログラムオート)や Avモード(絞り優先)では、基本的に写真のシャッター速度と写真の明るさは、毎回同じになるようにカメラが自動的に調整してくれるので、初めのうちは詳しく理解していなくても問題ありません。
※ISO感度が初期設定のオートになっている場合のみ
絞りとシャッター速度
上のイラストは、絞りとシャッター速度の関係を表したもので、絞りを開ける(小さいF値)ほどシャッター速度は速くなるので、動いている被写体でも止まっているかのように、写真に撮ることも可能になります。
逆に絞りを絞る(大きいF値)ほどシャッター速度は遅くなるので、動いている被写体はブレて写真に写ることになります。
絞りと写真の明るさ
上のイラストは、絞りと写真の明るさの関係を表したもので、絞りを開ける(小さいF値)ほどレンズを通る光の量は増えるので、明るい写真を撮ることができるようになります。
逆に絞りを絞る(大きいF値)ほどレンズを通る光の量は減るので、撮れる写真は暗くなっていきます。
まとめ
初心者がまずは覚えるべき、カメラ用語の絞り(F値)について、わかりやすく解説をしました。
絞りの変化が与えるのは「ピントが合う範囲」「シャッター速度」「写真の明るさ」の3つですが、まずは「ピントが合う範囲」についてシッカリと理解をしていきましょう。
絞りだけがピントの合う範囲を決める要素ではありませんが、ボケを作ったり全体にピントを合わせるためには重要な要素の1つであることは間違いないので、下記の表を参考にして思い通りの写真を撮れるようになっていきましょう。
絞りとピントが合う範囲の関係 | ||
絞りを開ける | 絞りを絞る | |
ピントの合う範囲 | 狭い(ボケる) | 広い(ボケない) |
相性が良い被写体 | 子供、花、料理、雑貨など | 風景、長時間露光 |
設定するF値の目安 | F2〜F4 | F8〜F16 |
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