
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
「三脚ってどれを買ったらいいの?」
「三脚を買うときのポイントがわからない」
デジタル一眼カメラを使用している人の中には、夜景や風景撮影でのスローシャッターや構図を固定して撮影したいブツ撮りに三脚の購入を検討している人も多いかと思います。
しかし数多くの三脚の中から、どれを選んだらいいか分からないという方のために、三脚の選び方とオススメ商品をご紹介します。
三脚はどれを購入しても同じというわけではありません。手ブレをなくすという役割はどの三脚でも果たすことができますが、あなたが撮影に使用するカメラや撮影環境・被写体に合わせて三脚を選ぶことで、よりその効果を得ることが出来ます。
三脚は使用しているカメラのサイズや重さに合ったモノを選ぶようにしましょう。
デジタル一眼といってもコンパクトなマイクロフォーサーズから大きく重いプロ機のデジタル一眼レフカメラまで、サイズや重さはさまざまです。
せっかく高性能なプロ機を使っていても、三脚が小さく耐荷重が低くてはカメラをしっかりと支えることが出来ずに、写真がブレてしまう原因となります。
耐荷重2kgの三脚
カメラ全体1.8kg → カメラ本体 : 1kg + レンズ : 0.5kg + スピードライト : 0.3kg
耐荷重2kgの三脚
カメラ全体2.3kg → カメラ本体 : 1kg + レンズ : 1kg + スピードライト : 0.3kg
高級レンズはレンズだけでも1kgほどの重さがあるモノも多いので、耐荷重を見るときにはレンズの重さにも注意しましょう。
雲台は三脚を構成する部品の中で、カメラを取り付けてその向きや傾斜を調整する役割を持つ部品
この雲台は脚の部分である脚部から取り外せるタイプのモノがあるので、そちらを購入すると必要に応じて雲台だけを交換する事が出来る
※雲台が取り外せない一体型の場合は、用途によって買い替えが必要になる
三脚の中でも1番メジャーな雲台
上下・左右・回転の3方向をそれぞれ細かく調整することが出来るため街並みや自然を撮る風景写真に適している。
その反面でカメラの向きをそれぞれの方向のレバーで調整するので、素早い変更には適していない
街並みや自然の風景写真をじっくりと撮る人にオススメ
カメラの上下・左右・回転に対する向きを、雲台に設置されたボール(球体)一つで調整出来る雲台。
ボールの動きを固定するロック一つを解除するだけでカメラの向きを素早く調整する事が出来る。またカメラの向きを調整するためのレバーもないので、コンパクト・軽量で持ち運びやすい。
その反面でロックを解除すると変更したくない向きもズレてしまうことがあるので、マクロやブツ撮り撮影には適さない
雲台に設置されたボール(球体)一つで調整出来る雲台。
3WAY雲台を自由雲台の他に、三脚の脚部へ後から交換で取り付けることのできる雲台にギア雲台とジンバル雲台があります。ギア雲台とジンバル雲台を使用することで、プロやハイアマチュアの写真家と同じようにワンランク上の写真を撮影することが出来ます。
3WAY雲台と同じでカメラの上下・左右・回転の3方向をそれぞれ細かく調整することが出来るが、1度固定した状態からギア使って微調整が可能な雲台
向きの固定を解除して、必要以上にカメラの向きが変わるという心配がないので、細かい構図の調整が必要となるマクロやブツ撮り撮影に適している。
その反面で、構造上重く衝撃に弱いので屋外での使用には注意が必要
マクロやブツ撮りの撮影で、シビアな構図の調整を必要とする人にオススメ
主に動画撮影で手ブレを抑えるために使用されているジンバルですが、同じようにジンバルのスムーズな動きを使ってカメラの向きを変えることが出来る雲台。
素早くスムーズにカメラの向きをかることが出来るので、超望遠レンズを使った野鳥や飛行機などの撮影に適している
その反面で大きくて嵩張り、重くなるので持ち運びが大変になる
超望遠レンズを使って動く被写体を撮りたい人にオススメ
三脚の脚は3~5本の棒が連結されいて、それぞれを伸び縮みさせる事で三脚の高さを調整します。この棒は3本よりも5本の方が高さが出るというわけではなく、安定性と持ち運びやすさに影響を及ぼします。
棒が太く安定感がある
3つの棒で構成される3段の三脚は5段の三脚よりも棒を太くする事が出来るため、安定感が強くなります。
これはそれぞれの段を構成する棒が、大きい棒の中に収納される構造のため、段数が少ない方が1番下の棒が太くなります。
しかし三脚の最高長を3段で収納するため、5段の三脚に比べると嵩張ってしまいます。
コンパクトで持ち運びやすい
三脚の最高長を4本の棒に分けて収納するため、3段の三脚に比べてコンパクトに収納する事が出来る。
しかし1番下の棒は細くなるので、最高長まで伸ばすと安定感に欠けるデメリットがある
カメラを三脚の雲台に固定する方法は大まかに2つに分かれます。
ネジ式はカメラの底面にあるネジ穴にカメラ台のネジを直接差し込む方式です。
カメラの付け外しには手間がかかりますが、この後で紹介するクイックシューを忘れて三脚がただのお荷物になる事がないメリットがあります。
シューと呼ばれるプレートをネジをあらかじめカメラに取り付け、そのシューをレバーを使って雲台に取り付ける方式
ネジを毎回操作することなく、カメラを雲台に脱着する事が可能なため、セッティングを素早くする事が出来ます。
しかしこのシューを忘れるとカメラを雲台に取り付ける事が出来なくなり、三脚がただのお荷物となってしまうので、常にカメラか三脚に付けて置くようにしましょう。
2台以上のカメラを持っている場合は家に置いてきたカメラの方にシューが付きっぱなしということもよくあるので注意しましょう。
クイックシュー式と似た方式にアルカスイス互換があり、このアルカスイス互換では雲台側のレールにシューをスライド式に差し込んで、レールでシューを抑える仕組みとなっています。
構造上レールとシューそれぞれの面がしっかりと固定されることから、通常のクイックシューで起こる微振動を抑えることができるため、プロカメラや写真家の多くがこのアルカスイス互換を使用しています。
雲台には360°のメモリが付いているので、複数の写真を組み合わせて作るパノラマの撮影も、カメラを動かす量をメモリで確認できるので簡単に可能。また脚部は取り外すことができるので、一脚としての利用も可能なオールインワンの三脚。
コストパフォーマンスがとても良いので、三脚を初めて購入するという人にオススメ。
雲台 | 自由雲台 |
カメラ取り付け | アルカスイス互換 |
耐荷重 | 10kg |
全高 | 1710mm |
最低高 | 520mm |
本体重量 | 2kg |
脚部段数 | 5段 |
センターポールが取り外せるので、脚部を最大限まで広げたローポジションでの撮影が可能で、地面付近から煽るような構図やマクロレンズでの撮影にオススメ。
またカメラの向きを調整するためのハンドルを脚部に沿って折りたためるので、3WAY雲台のかではコンパクトに収納だできる三脚
耐荷重は2kgと少ないので、マイクロフォーサーズやエントリー機の一眼レフカメラに標準レンズの装備が対象となる。
雲台 | 3WAY雲台 |
カメラ取り付け | クイックシュー式 |
耐荷重 | 2kg |
全高 | 1650mm |
最低高 | 242mm |
本体重量 | 1.62kg |
脚部段数 | 3段 |
90°センターポール機構の採用によって、通常上下の縦方向に伸ばすセンターポールを左右の横方向に伸ばすことが出来る。
センターポールを横に伸ばせるので、三脚をセットできない位置にもカメラを近づけることと、地面スレスレのポジションを撮ることが可能。
カメラの位置を自由に変更することが出来るので、ブツ撮りから風景撮影まで幅広く撮影したい方にオススメ。
雲台 | 3WAY雲台 |
カメラ取り付け | クイックシュー式 |
耐荷重 | 4kg |
全高 | 1730mm |
最低高 | 55mm |
本体重量 | 2.59kg |
脚部段数 | 3段 |
本体重量が1kgを切っており、三脚を折りたたんだ時の長さも29.5cmとコンパクトなので、旅行など移動の多い場面で持ち運びやすい三脚。
コンパクトで軽量な反面耐荷重は1.5kgと少ないので、マイクロフォーサーズやエントリー機の一眼レフカメラに標準レンズの装備が対象となる。
旅先でも三脚を使用した撮影を行いたい人にオススメ
雲台 | 自由雲台 |
カメラ取り付け | アルカスイス互換 |
耐荷重 | 1.5kg |
全高 | 1182mm |
最低高 | 446mm |
本体重量 | 0.79kg |
脚部段数 | 5段 |
トラベル三脚として軽量(1.05kg)でコンパクト(収納時32cm)ながらもカーボンを素材に使用することで耐荷重4kg実現している。ハイエンド機や高級レンズの使用に耐えることができる。
旅先でもハイエンド機や高級レンズを使ってクォリティの高い写真を三脚を使って撮りたい方にオススメ。
雲台 | 自由雲台 |
カメラ取り付け | アルカスイス互換 |
耐荷重 | 4kg |
全高 | 1430mm |
最低高 | 360mm |
本体重量 | 1.05kg |
脚部段数 | 5段 |
三脚を使用する事でスローシャッターでの撮影や同じ構図を違う露出で撮るブラケット撮影など、写真の表現の幅が広げることが可能になります。自分自身の用途にあった三脚を正しく選んで、カメラのスキルを上達させていきましょう。
ただし単に三脚を使っているからといって、写真の手ブレを抑えることができるわけではありません。三脚を正しく使用することができなければ、三脚の設置が不安定になり撮影した写真がブレてしまうことがあります。また最悪三脚が転倒して三脚だけでなくカメラも破損するということもあり得ます。
三脚の購入後は正しい使用法を理解して、安全に三脚を使用するようにしていきましょう。
次の記事→「【三脚の正しい使い方】知れば写真がもっと上手くなる!」
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