
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
デジタル一眼カメラやスマホで撮影をしている方には関連が深いのがレタッチ。
誰もが一度は聞いたことがあるレタッチですが、その意味や実際にどんなことをおこなうかまでは、わからない方も多いかと思います。
これからレタッチを始めてみたい、レタッチで何ができるのかを知りたいという方は、この記事を参考にすることで基本的なレタッチができるようになりますよ。
レタッチができるようになるとこれまで撮影した写真をさらに綺麗にすることも、これから撮影する写真を上手く撮ることができようにもなるので、ぜひ一度目を通しておきましょう。
レタッチとは、写真に修正や加工を加える編集のことを呼びます。
修正では主に明るさや色合いの調整を、加工では主に空の入れ替えや太陽光などの追加をすることになります。
このためレタッチでの修正は「写真の中に存在する情報」を変化せる作業で、加工は「写真の中に存在しないもの」を付け足す作業を指すことが一般的となっています。
レタッチでの修正
レタッチで写真の「明るさ」「色合い」「彩度」を修正して、撮影の時に目に見ていた景色を再現しました。
このように元々写真の中にある「明るさ」や「色合い」といった情報を調整するのが、レタッチでの修正になります。
レタッチの加工
何もなく殺風景だった空に雲に切れ間のある空を加工(追加)して、ドラマティックな写真に変えました。
このように元々写真の中には存在しない空や人物などを、写真に追加することがレタッチの加工となります。
レタッチの種類 | |
修正 | 写真の中に存在する情報(明るさや色合いなど)の調整 |
加工 | 写真の中に存在しない情報(別の空や人物など)の追加 |
レタッチは写真のような画像であればおこなうことが可能ですが、データのファイル形式によって仕上がりに大きな差が出ます。
一般的な写真のファイル形式はJPEGですが、写真のレタッチにはRAW形式で保存されたデータを使用する方が、修正と加工どちらも細かな調整が可能で仕上がりも綺麗になります。
写真のレタッチをする場合には、デジタル一眼カメラで撮影する段階で写真をRaw形式で保存するように設定しておきましょう。
≫ Rawデータと一般的な写真データJPEGの違い
レタッチの修正と加工で、一般的によくおこなわれる内容を紹介していきます。
よくおこなわれるレタッチ、特に修正はレタッチの基本ともいえる内容なのでしっかりを把握しておきましょう。
※レタッチはJPEGよりもRAWデータの方が細かな調整が可能で、仕上がりも綺麗
レタッチの修正では、主に次の内容を調整して写真を仕上げていきます。
実際にはさらに細かな調整項目がありますが、初心者の方は上記の6つを理解するだけでも、十分に写真のレタッチを楽しむことが可能です。
明るさのレタッチ | ||
内容 | 詳細 | 使用例 |
露出 | 写真全体の明るさの調整 | 全体的に暗い写真を明るくする |
コントラスト | 写真の明暗差の調整 | 明暗差のあるクッキリとした写真にする |
ハイライト | 写真の明るい部分だけの明るさの調整 | 白っぽい空の色を濃くする |
シャドー | 写真の暗い部分だけの明るさの調整 | 暗い人の顔を明るくする |
写真の明るさに関する修正では、写真全体の明るさはもちろんですが写真の暗い部分だけを明るくしたり、逆に写真の明るい部分だけを暗くすることが可能です。
関係する4つのレタッチ項目を、それぞれ比較画像を使って分かりやすく解説していきます。
露出
露出は写真全体の明るさを「+3」から「−3」の範囲で調整することができます。
上の比較画像のように撮影をしたままの状態であるオリジナルを基準に、露出を「+」と「ー」に調整することで、写真全体の明るさを調整することが可能になります。
露出は微調整で使うのがオススメ
上の比較画像を見てわかるように、±1.5調整するだけでも写真の明るさが大きく変化しています。
撮影の段階である程度露出を意識して撮影をしておき、レタッチの段階で露出を使って微調整すると良いでしょう。
コントラスト
コントラストは写真の明暗差を「+100」から「ー100」の範囲で調整することができます。
上の比較画像のように撮影をしたままの状態であるオリジナルを基準に、コントラストを「+」と「ー」に調整することで、写真の明暗差を調整することが可能になります。
透明感やソフト感を演出できる
コントラストは「+」に調整することで、明暗差が強くなり写真に透明感を出すことが可能になります。
逆に「ー」に調整をすると明暗差が弱くなって、写真全体がソフトな印象に仕上がります。
ハイライト
ハイライトは写真内の明るい部分だけを「+100」から「ー100」の範囲で調整することができます。
上の比較画像のように撮影をしたままの状態であるオリジナルを基準に、ハイライトを「+」と「ー」に調整することで、写真内の明るい部分だけ(この写真では空)を調整することが可能になります。
逆光で撮影した写真にオススメ
朝焼けや夕焼けなど明暗差が大きくなる逆光での撮影は、空が明るくなり過ぎて綺麗な色や空模様が撮りにくいので、撮影後にハイライトを「ー」に調整して綺麗な色や空模様を取り戻してあげると良いでしょう。
シャドー
シャドーは写真内の暗い部分だけを「+100」から「ー100」の範囲で調整することができます。
上の比較画像のように撮影をしたままの状態であるオリジナルを基準に、シャドーを「+」と「ー」に調整することで、写真内の暗い部分だけ(この写真では山並み)を調整することが可能になります。
逆光で撮影した写真にオススメ
朝焼けや夕焼けなど明暗差が大きくなる逆光での撮影は、地面の部分が過ぎて目で見ている様な景色を撮ることが難しいです。
撮影後にシャドーを「+」に調整して、目で見ていた景色と同じになるように地面部分の明るさを取り戻してあげると良いでしょう。
写真の色合いに関する修正では写真全体の色をオレンジ色や青色に変えたり、全体の色の濃さを調整することができます。
ホワイトバランス
ホワイトバランスでは色の温度を調整することで写真の色を変化させることができます。
色の温度は手動で細かな調整をすることもできますが、まずはカメラ内の機能と同じホワイトバランスの中から、自分好みの色になるものを選んでみると良いでしょう。
ただし上の比較画像のように、選択するホワイトバランスによって写真全体の色に大きな違いが出るので、ホワイトバランスは適切なものを選択するように注意しましょう。
ホワイトバランスの種類
Lightroomの場合
・撮影時の設定 | ・自動 | ・昼光 | ||
・曇天 | ・日陰 | ・白熱球 | ||
・蛍光灯 | ・フラッシュ | ・カスタム |
ホワイトバランスを変更できるのはRAWだけ
カメラ内の機能と同じように「ホワイトバランス」をレタッチで変更できるのは、RAW形式で保存をしたデータのみです。
JPEG形式で保存をした画像は、色の温度を手動で調整することしかできないので、レタッチでホワイトバランスの変更を考えている方は、必ずRAW形式で保存をするように注意しましょう。
彩度
彩度では写真全体の色の濃さを、「+100」から「ー100」の範囲で調整することができます。
上の比較画像のように撮影をしたままの状態であるオリジナルを基準に、彩度を「+」と「ー」に調整することで、写真全体の色の濃さを調整することが可能になります。
彩度は微調整で使うのがオススメ
上の比較画像を見てわかるように、彩度を±50に調整するだけでとても不自然な色の濃さになってしまします。
撮影の段階である程度色の濃さを意識して撮影をしておき、レタッチの段階で彩度を使って微調整すると良いでしょう。
基本的なレタッチ機能である「明るさ」や「彩度」の調整に関係するツールの他にも、写真の質感を調整するためのツールも存在します。
テクスチャは写真の中に存在する被写体のディテールを強調したり弱くすることが可能で、明瞭度は写真全体の明暗差を強調したり弱くすることが可能になります。
この2つを上手に使いこなすことでカリッとした質感のある写真に仕上げたり、ふんわりと柔らかな印象の写真に仕上げることが可能になります。
テクスチャを使った作例
上の写真は、Lightroomのレタッチでテクスチャを+100に上げた写真との比較です。
テクスチャの調整をするだけで、猿の毛並みが強調されて1本1本をハッキリと認識できるようになり、リアル感のある写真に仕上げることができています。
Lightroomでの基本的なレタッチに慣れてきたら、写真の質感を調整するテクスチャや明瞭度を使ったレタッチにも挑戦してみましょう。
レタッチの加工では、元々写真の中に存在しない被写体(モノ)を追加していきます。
写真の中に新たに被写体を追加する加工にはこれといった決まりがなく、人それぞれ好きな被写体を自然な仕上がりになるように調整をしながら追加していきます。
追加される被写体には次のようなものがあります。
加工での被写体の追加
このようにオリジナルの写真には存在しなかった鳥や山、月やオーロラなどもレタッチの加工で写真に追加することが可能になります。
この他にもレタッチの加工では、元々写真の中に存在する邪魔な被写体を、写真から削除することもできるので、無人の状態で風景写真を仕上げたい時などに利用するといいでしょう。
スマホが普及したきた現在では、スマホでも簡単な写真の修正をすることができますが、Rawデータで撮影した写真を綺麗に仕上げたいという方は、写真のレタッチ専用ソフトを使用するのがオススメです。
まずはスマホのレタッチ機能では満足できない方は、この際にレタッチソフトを使用して、満足のいくレタッチをしていきましょう。
レタッチで、元々写真の中に存在する情報だけを修正して、自然で綺麗な仕上がりに写真を仕上げたいという方は、AdobeのLightroomの使用オススメします。
AdobeのLightroomは、プロのカメラマンや写真家の殆どが利用いている、写真のレタッチに特化したソフトで、これまでの長い歴史で蓄積された、AdobeのLightroomでのさまざまなレタッチ技術や方法が、ネット上に情報として出回っています。
Lightroomの基本的な使い方
AdobeのLightroomは月990円(税別)の月額制サブスクリプションですが、7日間の無料お試し期間があるので、まずは気軽に試してみるといいでしょう。
≫ AdobeのLightroomを7日間無料で使う方法
レタッチで修正の他に、加工による被写体の追加も楽しみたいという方にはLuminar Neo (ルミナーNeo)購入をオススメします。
Luminar Neoでは、空の入れ替えとそれに伴う写真全体の明るさや色味の調整を、人工知能 -AI- が自動的におこなってくれるので、初心者の方でも簡単に自然な見た目の写真加工することが可能です。
Luminar Neoでの加工
Luminar Neoではプリセット機能を使うことで、上の比較のような画像をボタン1回のクリックだけで完了させることもできます。
通常写真の加工には、AdobeのPhotoshopを使ったとても複雑な作業と時間を必要としますが、Luminar Neoでは人工知能 -AI- のサポートがあるので、誰でも簡単に短時間で複雑な加工をおこなうことができるのです。
Luminar NeoIは1回買い切りでも購入が可能なレタッチソフトなので、長く使用する分にはLightroomよりもお得なソフトになります。
Luminar Neoにも7日間の無料お試し期間があるので、まずはお使いのパソコンにインストールして気軽に加工を楽しんでみるのも良いでしょう。
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