
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
毎年桜の開花とともに春を迎えると、さまざまな種類の花がいっせいに咲き始めます。
木の高い場所に咲く桜のとは違い、コスモスやバラその他多くの綺麗な花は、基本的には地面に咲いているので、花に近づいて撮影することが可能です。
この記事ではそんな地面に咲く花の写真の、綺麗な撮り方についてご紹介していきます。
花は種類がとても多いぶん、とても身近に存在する被写体の1つでもあります。
この記事では、手持ちのキットレンズでも可能な綺麗な花の写真の撮り方をご紹介しているので、記事を読んだらすぐに実践で試してみると良いでしょう。
花を撮るときには、その花の持つイメージにあった写真に撮れるようにカメラの設定を行っていきます。
一般的に花が持つイメージは大きく2種類に分けることが可能です。
それぞれの花のイメージに合った撮り方ができるようにカメラの設定をおこないます。
ふんわりと暖かなイメージの花の撮り方は、ハイキーで全体が明るく柔らかな印象になるように、カメラの設定をおこないます。
カメラの設定
ふんわりと暖かなイメージがある花の撮り方のポイントは、露出補正をプラスにしたハイキーとピクチャースタイルのポートレートで、コントラストを抑えてふんわり感を出すことです。
またF値を開放気味にすることでピントの合う範囲が狭くなり、前後のボケが写真全体にふんわり感を与えてくれます。
ISO感度は使用するレンズと焦点距離に応じて、手ブレを起こさないシャッター速度になるように調整をおこないましょう。
どうしてもISO感度を800以上に上げないと、手ブレてしまうという場合を除いては、なるべくISO感度を抑えて撮影する方が、ノイズの少ない高画質な写真を撮ることが可能になります。
ふんわりと暖かなイメージでの撮り方には、明るい色や淡い色合いの花や花弁の小さい花がオススメです。
かっちりとクールなイメージのある花の撮り方は、ローキー気味で全体的にコントラストのハッキリとしている、落ち着いた印象になるようにカメラの設定をおこないます。
カメラの設定
かっちりとクールなイメージのある花の撮り方のポイントは、露出補正をマイナスにしたローキーとピクチャースタイルの風景を使って、強めのコントラストで全体にシャープ感をだすことです。
またF値を絞って全体にピントを合わせることで、写真全体が引き締まってクールなイメージになりやすくなります。
ISO感度はふんわりと暖かなイメージのある花の撮り方と同じで、使用するレンズと焦点距離によって手ブレが起きないシャッター速度になるように調整しましょう。
かっちりとクールなイメージでの撮り方には、色のハッキリとした原色や色の濃い花、比較的花弁の大きな花にオススメです。
花はとても沢山の種類があり、1つの花に絞った撮り方を覚えるのはとても大変です。また使用するのレンズの焦点距離や特徴によって、花の写真の撮り方も変わってきます。
この記事では読者の方が、手持ちのキットレンズなどでもすぐに実践できるように、広角レンズ・標準レンズ・望遠レンズ・マクロレンズと、レンズの種類別にオススメの花の撮り方をご紹介していきます。
焦点距離が24-35mmのレンズ
広角レンズでオススメな花の撮り方は、広大な花畑全体を構図に入れた撮影と、花を下から煽るようにしてダイナミックさを演出する撮影です。
ただし広角レンズを使用した花の撮影では、広範囲を構図に入れることができる反面で、周りの木々や人物、建物など余計なモノが写り込むリスクが高くなります。
不必要な被写体の写り込みを気にする方は、広角レンズの使用は控える方が良いでしょう。
ネモフィラや菜の花、ラベンダー、コスモス、チューリップなど数多くの花畑が、各地の名所として存在しています。
広角レンズを使用して、余計なモノが写り込まないように上手く構図を作りながら、広大な花畑を写真に撮ってみましょう。
コスモスやチューリップなど茎の長い花は、広角レンズで下から煽るように撮ることでダイナミックな写真に仕上げることができる。
加えて、逆光で撮影すると花と写真全体に透明感が生まれ、サイド光や順光で撮影すると青空や雲の形をハッキリと表現することができます。
焦点距離が35-70mmのレンズ
標準レンズでオススメの花の撮り方は、花を真上から撮るふかん撮影と目で見るのと同じ綺麗な花の光景を切り取る撮影です。
どちらにも共通することは、目で見ている景色に1番近いイメージで撮影ができる、標準レンズの特徴を活かした撮影方法になっています。
ヒナギクやガーベラなど太陽(真上)に向かって花を咲かせる花は、標準レンズを使って真上から(ふかんで)撮ると、花を真正面から撮影することが可能です。
構図内に余白や余計なモノが写り込まないように、花の密集している部分を撮るようにしましょう。
標準レンズは、人間の目で見ているのと同じ範囲で景色を写真に切り取ることが可能です。花をさまざまな角度から観察して、1番綺麗だと感じる場所をそのまま切り取りましょう。
カメラの設定は、絞りを開放で露出補正をプラス(ハイキー)気味で撮影すると、メインの花以外の被写体を適度にぼかした写真を撮ることが可能になります。
焦点距離が70-300mmのレンズ
望遠レンズでオススメの花の撮り方は、圧縮効果を利用した花畑の密集感をだす撮り方と、望遠レンズならではのボケを利用した撮り方です。
望遠レンズは余計な背景や、周りの被写体を構図から取り除くことができ、デジタル一眼カメラ初級者の多くが利用するキットズームレンズでも、十分にボケを作ることが可能です。
ネモフィラや菜の花、ラベンダー、コスモス、チューリップなど、数多くの花畑が各地の名所として存在しています。
近くでみるとまばらに咲いている花々も、望遠レンズの圧縮効果を利用することで花が密集しているかのような写真を撮ることが可能です。
望遠レンズの圧縮効果は、焦点距離が長くなれば長くなるほど大きくなりますが、その分花畑から離れて撮影する必要があります。撮影する場所や周りの状況に応じて焦点距離を調整して撮影すると良いでしょう。
望遠レンズは焦点距離が長くなるほど、同じレンズの絞り値(F値)を使った撮影でも背景のボケ感が大きくなります。このため一般的なキット望遠レンズでも簡単に背景をボカした花の写真を撮ることができるのです。
望遠レンズは焦点距離が長いために手ブレが起きやすいレンズですが、背景ボケのために絞りを開放にすることで、シャッター速度を稼ぐことが可能です。
◎写真のボケの作り方・望遠レンズを使うと簡単にボケが作れる理由
被写体を等倍(現物と同じ大きさ)で撮影できるレンズ ※焦点距離はマクロレンズの種類によってさまざま
マクロレンズでオススメな花の撮り方は、マクロレンズの等倍撮影の特徴を活かしたクローズアップでの撮り方です。
デジタル一眼カメラを買ったばかりという方は、マクロレンズを持っていないと思いますが、マクロレンズでしか撮れない花の写真があるので、この記事を参考にぜひ検討をしてみるのも良いでしょう。
マクロレンズは被写体を等倍(そのままの大きさ)で写真に撮ることが可能です。このためマクロレンズがあればどの種類の花でも簡単に綺麗に撮ることができます。
またマクロレンズは構造上ボケができやすいので、花をふんわりと柔らかな印象で撮影したい時にはとても相性の良いレンズとなります。
逆にマクロレンズで花をかっちりとクールな印象で撮影する場合は、絞りをF8以上に絞って花全体にピントを合わせる必要があります。
このため手ブレや被写体ブレをしないようにISO感度を上げたり、三脚を使用して手ブレを抑えて被写体ブレのない花を撮影すると良いでしょう。
花はとても多くの種類があり、その花それぞれにも綺麗な撮り方が存在しています。
しかし初めから全ての花にとってベストな撮り方をすることは難しいので、まずは手持ちのキットレンズでも綺麗に花を撮ることができる設定とテクニックを試してみましょう。
身近な花で写真を撮る練習をすることで、少しずつ花の綺麗な撮り方と将来写真のレベルアップに必要な交換レンズが明確になってくるはずです。
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