冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
なぜ2種類?デジタル一眼カメラのメカシャッターと電子シャッターの使い分け方
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
デジタル一眼カメラには、メカシャッターと電子シャッターの2種類があることを知っていますか?
デジタル一眼カメラの2種類のシャッター機構には、それぞれ得意とする撮影シーンがあります。
これまでメカシャッターと電子シャッターを知らなかった方や、違いがわからずに取り敢えず初期設定のまま使っていた方も、違いを理解することでこれまでは原因不明だった失敗写真をなくすことができるようになりますよ。
- メカシャッターと電子シャッターの仕組み
- メカシャッターと電子シャッターのメリット・デメリット
メカシャッターと電子シャッターの仕組み
メカシャッターと電子シャッターの大きな違いは、カメラのシャッターを機械的に切るか電子的に切るかの違いです。
メカシャッターには我々が想像するような物理的なシャッターがイメージセンサーの前で稼働しますが、電子シャッターはイメージセンサー自体で光を受信する時間を制御しています。
上の2つの動画はメカシャッターと電子シャッターのそれぞれを使って、シャッターを切った時の様子を写したものです。
メカシャッターではシャッターを切るとイメージセンサーの前に物理的にシャッターが降りますが、電子シャッターの方ではイメージセンサーが僅かに動くだけとなっているのがわかります。
メカシャッターの仕組み
メカシャッターでは先幕と後幕と呼ばれる2つの幕を使って、イメージセンサーに当たる光の量を調整しています。
シャッター動作の流れ
- ❶ シャッターを切る前
-
先幕・後幕は共に開いた状態で、イメージセンサーが露出しているので、電子ファインダーやモニターで構図を確認できる
- ❷ シャッター直後
-
先幕が上がって(閉じて)イメージセンサーへの光を遮断
- ❸ 露光(撮影)中
-
一度閉じた先幕が降りて(開いて)イメージセンサーでの露光を開始
- ❹ 露光(撮影)終了
-
設定されたシャッター速度で後幕が降りて(閉じて)、イメージセンサーへの光を遮断→露光したデータの読み込みが開始
電子シャッターの仕組み
電子シャッターでは、メカシャッターのように先幕・後幕は使わずにイメージセンサーが上から順に露光
→読み込み
をおこなっていきます。
シャッター動作の流れ
- ❶ シャッターを切る前
-
メカシャッターと同様イメージセンサーが露出しているので、電子ファインダーやモニターで構図を確認できる
- ❷ シャッター直後
-
いくつかに区切られたイメージセンサーが、上から順番に露光を開始
- ❸ 露光(撮影)中
-
残りの部分も順番に露光開始 → 露光が完了した部分は順番に読み込みを開始
- ❹ 露光(撮影)終了
-
上から順にイメージセンサー全ての部分が、読み込みが完了
メカシャッターと電子シャッターのメリット・デメリット
メカシャッターと電子シャッターには、「露光」と「読み込み」の方法に違いがることで、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
メリットとデメリットを把握して、さまざまな撮影シーンで有効的に使い分けていきましょう。
メカシャッター | 電子シャッター | |
メリット |
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デメリット |
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メカシャッターと電子シャッタでは、それぞれに相反したメリットとデメリットが存在しています。
それぞれのメリットデメリットを理解して、撮影シーンによって使い分けができるようになると良いでしょう。
無音シャッター
メカシャッターは、先幕・後幕という物理的なシャッター機構を使うため、先幕・後幕の開閉時に「カシャッ」というシャッター音が発生します。
しかし先幕・後幕を使わない電子シャッターでは、物理的に開閉するものがないので「カシャッ」っというシャッター音なしに無音でシャッターを切ることが可能になります。
- メカシャッター → 無音シャッターが使えない
- 電子シャッター → 無音シャッターが使える
高速連写
物理的なシャッターを開閉する必要があるメカシャッターに比べて、物理的なシャッターがない電子シャッターではシャッター速度を速くすることが可能なので、メカシャッターよりも高速連写が可能になります。
一般的な機種の高速連写比較 | |
メカシャッター | 最高10コマ/秒 |
電子シャッター | 最高20コマ/秒 |
秒間20コマ近くで連写が可能な電子シャッターですが、高速連写が可能な代わりに動体歪みというデメリットも存在しているので、全ての撮影シーンにおいて有効的に高速連写を使用できるというわけではありません。
シャッターの振動
メカシャッターは、先幕・後幕という物理的なシャッター機構を使うため、先幕・後幕の開閉時に私たちには感じることができないレベルの微振動が発生します。
しかし先幕・後幕を使わない電子シャッターでは、物理的に開閉するものがないので全く振動することなくシャッターを切ることが可能になります。
このため微振動の起きない電子シャッターを使うことで、朝焼けや夕焼けを三脚なしで撮影する場合や長時間露光をおこなう夜景や星景写真の撮影でも、ブレのない写真を撮影することが可能になります。
- メカシャッター → シャッターの振動がある
- 電子シャッター → シャッターの振動がない
シャッターの耐久性
先幕・後幕という物理的なシャッター機構を使うメカシャッターには、そのシャッターを開閉する回数に使用限度存在します。
デジカメのシャッター耐久回数の目安 | |
エントリー機 | 約5万回 |
ミドル機 | 約10~20万回 |
プロ機 | 約40万回 |
あくまでも目安ですが、メカシャッターにはそれぞれシャッターの耐久回数が存在するので、物理的なシャッター機構を必要としない電子シャッターを使うことで、この耐久回数を温存することが可能になります。
- メカシャッター → 物理シャッターの耐久制限がある
- 電子シャッター → 物理シャッターの耐久制限がない
動体歪み(ローリングシャッター歪み)
イメージセンサーで露光と読み込みを一斉におこなうことができるメカシャッターに比べて、露光と読み込みをイメージセンサーの各部分ごとで順番にしか行うことができない電子シャッターでは、動体歪みが発生するリスクがあります。
高速で移動する新幹線を電子シャッターで撮影する場合、上記の参考画像のように高速で移動する新幹線が歪んで写真に記録されます。
しかし動体歪みは高速で動くどんな動体でも発生するというモノではないので、撮影する被写体によっては電子シャッターを使用した撮影でも歪みのない写真を撮ることも可能です。
動体歪みが起きやすい被写体 | 動体歪みが起きにくい被写体 |
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- メカシャッター → 動体歪みが発生しない
- 電子シャッター → 動体歪みが発生する
フリッカー現象
人の目にではわかりませんが、蛍光灯やLED電気などは超高速で光の点滅を繰り返しています。
このため蛍光灯の光の下で高速シャッターが切れる電子シャッターで撮影をすると、光の点滅を捉えた縞々の影のようなモノ(フリッカー現象)が写真に映り込んでしまいます。
フリッカー現象が気になる場合は、メカシャッターを使って撮影をすると解決できます。
- メカシャッター → フリッカー現象が発生しない
- 電子シャッター → フリッカー現象が発生する
フラッシュ
カメラ内臓か外付けに限らず、一般的に電子シャッターを使用中はフラッシュを使うことができません。
これはフラッシュとカメラシャッターの同調速度というものが関係していて、電子シャッターではフラッシュと同調速度が合わないので、現在のところフラッシュを使う場合にはメカシャッターを使用するしかありません。
- メカシャッター → フラッシュが使用できる
- 電子シャッター → フラッシュが使用できない
まとめ
オススメの撮影シーン
- 高速で横切る電車や車(動体歪みの回避)
- フラッシュを使ったポートレート
- 蛍光灯やLEDライトの下での撮影(フリッカー現象の回避)
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