冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
【マジックアワーとは】風景写真を綺麗に撮れる時間を分かりやすく解説
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
みなさんは普段、風景写真を撮る時にはどんな時間帯を選んでいますか?
みなさん天気の良い日の明るい昼の間に撮影をする方が多いと思いますが、風景写真を撮るのであれば幻想的な写真を撮る事ができるる「マジックアワー」での撮影がオススメです。
- マジックアワーとは
- マジックアワーで撮れる写真
- マジックアワーの撮り方
マジックアワーという言葉を知らない人や、マジックアワーは知ってるけどカメラで見てままの綺麗な景色に撮れないという方は、この記事を読むことで綺麗で幻想的な風景写真を撮ることが可能になりますよ。
マジックアワーとは
マジックアワーは日の出と日の入りの前後の時間帯で、空が朝焼けや夕焼けに染まる時間帯のことを指します。
日差しの強い昼間と違い太陽の光がやわらいで「幻想的」「ドラマチック」な写真が撮りやすく、その日の天候や気温によってさまざまな色に空や景色が染まる時間帯です。
- 黄色(黄金色)
- オレンジ色
- 赤色
- ピンク色
- むらさき色
大まかにはこの5つの色を基準にして、それぞれの一色に染まる日もあれば綺麗なグラデーションに染まる日もあるので、同じ色や空模様の日は2度とないとも言われるほどさまざまな色合いを見せてくれます。
上の参考写真のように様々な色合いに景色が染まるので、誰でも色合いが印象的な写真を撮れることから「マジックアワー」と呼ばれています。
綺麗マジックなマジックアワーになりやすい条件
日の出と日の入りの前後の時間帯に見ることが出来るマジックアワーですが、天候によってその見え方はさまざまで、主に次の2つの要素が関係してその日の色や濃さが決まってくるようです。
その日の気候をチェックすることで、事前にマジックアワーにどんな色や空模様の景色を見ることができるかを判断することも可能です。
雲の位置と量
空に広範囲で雲が広がっている日のマジックアワーでは、朝焼けや夕焼けの色を雲が反射してくれるので空一面を綺麗な赤やオレンジ色、ピンク色などが覆うことになります。
ただし太陽光が雲で遮られてしまうと綺麗な朝焼けや夕焼けの光も届かなくなってしまうので、太陽が沈む西の地平線または水平線付近に分厚い雲が無いことが条件となります。
- 太陽の上空辺りから撮影位置の真上までの間に雲があると太陽光が雲に反射する
- 太陽を遮るように分厚い雲があると太陽光も遮られるので綺麗には染まらない
快晴の日は空一面のグラデーションに
上の参考写真のように雲がない快晴の日のマジックアワーでは、空一面に綺麗な色のグラデーションが現れます。
グラデーションの色は太陽のある位置を基準にしてどの方向を向くかで変わるので、朝焼けや夕焼けを撮影する時には一度360°見渡してみると良いでしょう。
湿度とかすみ
空気中に水蒸気が多くなる雨上がりや湿度の高い夏場はでは、マジックアワーの時間帯に色の濃い単一色に近い空模様を見ることが可能になります。
マジックアワーでなぜ空の色が様々に変化するのか詳しく知りたい方は、こちらの記事がわかりやすく説明しているので、合わせて読むとさらにマジックアワーへの理解が深まります。
マジックアワーで撮れる写真
マジックアワーで見ることができる印象的な風景を、私が実際に撮影した写真を使って色や状態別にご紹介していきます。
撮影をしてみたい空模様があれば、ぜひこの記事を参考にして撮影にのぞんでみて下さい。
オレンジ色のマジックアワー
王道とも言える空全体がオレンジ色に染まるマジックアワーの光景で、日本のように湿度が高い地域や季節、かすみが発生している日などに太陽の方向に目を向けると見ることがでます。
私の住むカナダは湿度が低いのであまり見ることができない光景ですが、比較的に湿度が高い日本や東南アジアの国では頻繁に見ることができる光景かと思います。
- 湿度が高い地域
- 雨上がり
- かすみが発生している日(色は薄め)
真っ赤に燃えるマジックアワー
まるで燃えているかのように雲が赤く染まるマジックアワーの光景で、雨上がりで湿度がとても高い日に上空に雲があると見れる可能性が高くなります。
個人的にはとても稀でほとんど見るチャンスがないようにも思える光景ですが、高条件が揃う時があればぜひカメラを持って撮影に出掛けてみて下さい。
- 雨上がりで湿度がとても高い
- 上空を雲が覆っている
湿度が低い日はピンク色に染まる
同じように上空を雲が覆っている日でも、湿度が低い場合にはピンク色に近い色に染まることが多いので、こちらの色が好みという方は雲が多い日のマジックアワーを狙って撮影に出掛けてみると良いでしょう。
湿度が低い日の作例
上の参考写真はカナダの夏場に山の中で撮影した夕焼けですが、比較的に多くの雲が上空に存在していたにも関わらず、湿度が低かったのでピンク色のマジックアワーの光景となりました。
マジックアワーの色はその日の雲の状況なども関係して一期一会なので、狙っていない色の日でもとりあえず写真を撮っておくことをオススメします。
綺麗なグラデーションが見れるマジックアワー
綺麗なオレンジ色から青色までをグラデーションで見ることができるマジックアワーの光景で、空気が澄んでいる朝焼けや冬場で雲が少ないと見ることができます。
濃い色のグラデーションを撮るには、太陽が地平線や水平線の下にある日の出前と日の入り後を狙って撮影するのがオススメです。
- 空気が澄んでいる朝や冬場
- 上空に雲がほとんどない、または薄い雲の日
- 日の出前と日の入り後は特に色が濃い
幻想的なピンクや紫に染まるマジックアワー
空気が澄んでいて湿度が低い日に、日の出と日の入りの時間帯に太陽とは反対側に目を向けると見ることができるマジックアワーの光景です。
綺麗なオレンジ色に染まる太陽側の空に目を奪われがちですが、後ろを振り返ってみれば幻想的なピンクやむらさき色のマジックアワーを写真に撮ることも可能になりますよ。
- 空気が澄んでいる朝や冬場
- 太陽とは反対側の空
雪に反射するマジックアワー
少し番外編にはなりますが雪が積もる冬には、マジックアワーで見られる朝焼けや夕焼け空の色が雪の上に反射する景色を写真に撮ることができます。
雪国の方やスキー場など雪が積もった場所で撮影をする時には、太陽がある方向に向かって逆光で撮影をすると、上の参考写真のように適度な陰影のついた印象的なマジックアワーの写真を撮ることができますよ。
- 雪が積もっている場所
- 太陽がある逆光の向き
マジックアワーでのカメラの設定
綺麗なマジックアワーを写真に撮る際には、次の3つの設定を意識すると綺麗に写真に撮ることができるようになります。
WBを「くもり」または「日陰」に設定
マジックアワーでオレンジ色や黄金色に染まる景色を撮影する際には、WB(ホワイトバランス)を「くもり」または「日陰」に設定することでより鮮やかな色に仕上げることが可能です。
上の比較は夕焼けの写真のWBを「オート」と「日陰」のそれぞれに設定したものになります。
「オート」を設定した写真に比べて、「日陰」を設定した写真の方がオレンジ色が鮮やかに表現されているのがわかります。
ピンクや紫色の時はWBを「蛍光灯」に設定
同じマジックアワーでも綺麗なピンク色や紫色に染まってる場合は、WBを「蛍光灯」に設定することでそれぞれの色をより鮮やかにすることが可能です。
WBにはそれぞれ強調できる色が異なるので、WBの設定について詳しく知りたい方は「カメラのホワイトバランスで写真の色味を自由にコントロールしよう!」で解説しているのでチェックして下さい。
露出補正をアンダーに設定
マジックアワーの撮影では綺麗に染まっている朝焼けや夕焼け空の明るさに露出を合わせて、必要に応じて露出補正をアンダーにすると色を濃く撮ることが可能になります。
これはマジックアワーに限らないことで、色は明るいほど薄く暗いほど濃くなるの傾向があるので、明暗差が大きくなるマジックアワーでは、綺麗に撮影をしたい空の明るさに露出を合わせるように注意しましょう。
空以外はシルエットとして撮る方法も
基本的にマジックアワーでは太陽に向う逆光での撮影で明暗差が大きいので、空と地面の景色どちらに対しても適切な露出で撮影することができません。
このため空以外の被写体はシルエットとして輪郭だけを撮ることで、空の綺麗な色を表現しつつ全体的にも収まりの良い写真が撮れるはずです。
ホワイトバランス補正で色味を調整
マジックアワーの撮影ではホワイトバランス補正をうまく活用することで、朝焼けや夕焼けの色味を自分好みに調整することができます。
撮影するマジックアワーの色によって、強調したい色にホワイトバランス補正をかけて撮影をしてみましょう。
- 赤やオレンジ色の場合 → A(アンバー)に調整
- ピンクや紫色の場合 → M(マゼンタ)に調整
マジックアワーの撮影には三脚の使用もオススメ
マジックアワーでは空の色や雲の形が刻一刻と変化していくので、三脚でカメラを固定して撮影すると同じ構図でさまざまな空模様を撮影することが可能になります。
時間の経過による比較
タブの切り替えで比較可能
上の写真は日没の瞬間と日没の10分後にそれぞれ撮影した写真の比較ですが、たった10分の違いで空の雲の状態は大きく変わって全く違う日のマジックアワーのようにも見えます。
三脚を持っている方はぜひ三脚を持ち出して、マジックアワーのシャッターチャンスを待って撮影をしてみましょう。
ハーフNDフィルターを使ってマジックアワーをワンランク上の写真に
マジックアワーの撮影では太陽にカメラを向ける逆光での撮影がほとんどで、そのため写真内に明暗差が生まれやすくなります。
そんな時はハーフNDフィルターを使ってその明暗差を少なくすると、空の明るさを維持したまま暗くなりやすい空以外の景色も明るく撮れるので、写真をワンランク上の仕上がりにすることが可能です。
ハーフNDフィルターの使用例
タブの切り替えで比較可能
上の写真は日没の瞬間をNDフィルターなしで撮影した写真と、NDフィルターありで撮影した写真の比較です。
ハーフNDフィルターを使うことで空と地面の明暗差を少なくなり、どちらもちょうど良い明るさで撮影ができています。
撮影の時点でここまで違いが出るので、レタッチではノイズや色の変化なく写真を仕上げることも可能になります。
マジックアワーの写真はノイズに注意
マジックアワーをローキーで撮影する場合にはそこまで心配する必要はありませんが、ハイキーで撮影する場合には写真のノイズに注意しましょう。
マジックアワーをハイキーで撮影する場合、全体的にコントラストの薄い写真となるのでISO感度をISO100~400の低い設定で撮影をしたとしても写真にノイズが入る場合があります。
ノイズが気になる方はレタッチソフトやノイズ除去専用のソフトで処理をすると良いでしょう。
ノイズの有無の比較
上記はノイズ除去に特化したソフトPureRawを使用した作例です。
ノイズ除去を綺麗にできると被写体の輪郭や境界線もハッキリとするようになるので、写真の表現に応じてノイズ除去をしていきましょう。
まとめ
日中とは違い赤やオレンジ色のドラマティックな朝焼けや夕焼けから、ピンク、紫色といった幻想的な朝焼けや夕焼けまで写真に撮ることが出来るのがマジックアワーの魅力です。
この記事では比較的カメラ初心者の方向けに、景色の色や被写体の輪郭にメリハリが出るようなカメラの設定方法などを紹介しましたが、この他にもマジックアワーの撮影方法はたくさんあるので、下記の記事もぜひ参考にしてみて下さい。
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