
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
プロの写真家やハイアマチュアな写真家の撮る風景写真は、全体にバランスが取れていてとても綺麗ですよね。
実はこれらの綺麗な写真は、日中の撮影であっても三脚を使用して撮影しているからこそ撮れる写真なんです。
「夜景や星の撮影じゃないのに三脚?」
と疑問に感じる方もいるかも知れませんが、風景写真において三脚はとても重要なアイテムなので、風景写真の撮影おける三脚使用のメリットを紹介していきます。
私自身、風景写真の撮影に三脚を使用する様になってからは、写真のレベルが大きく上がったので、この記事を通して風景写真の撮影での三脚の重要性をお伝えしていきます。
目に写る全てのモノが被写体になり得る風景写真は、気軽に写真を撮りに行くことができるので、デジタル一眼カメラ初心者の方にも人気のジャンルです。
そんな気軽に撮影出来る風景写真も、三脚を使用して撮影することで風景写真をさらに綺麗に撮ることができるようになります。
三脚の使用で絞りがF8-16での撮影でも手ブレを抑えられる
風景写真の撮影では、画面全体にピントを合わせるパンフォーカスでの撮影が基本となります。
このため風景写真の撮影では絞りをF8-16、またはそれ以上に絞っての撮影になり、どうしてもシャッター速度が遅くなってしまうので、三脚を使用することで風景写真の撮影時の手ブレを抑えることができます。
風景写真の撮影では、しっかりとピントが合って手ブレのないことが求められるので、手ブレを抑えることができる三脚は必須のアイテムとなってきます。
一般的に手ブレがおきづらいシャッター速度は、1/レンズの焦点距離秒よりも早いシャッター速度となっています。
このため焦点距離の短い広角レンズよりも焦点距離が長い望遠レンズの方が、同じシャッター速度では手ブレが起きやすくなるので、特に望遠レンズを使用した風景写真の撮影では三脚が必須となってきます。
三脚を使用すると手ブレの心配がないので、ISO感度を下げた高画質での撮影が可能
手ブレをしないシャッター速度を稼ぐ方法としてISO感度を上げることがありますが、ISO感度を上げるほど写真にノイズが出るので、画質を犠牲にしてしまいます。
しかし三脚を使用することで手ブレの心配はなくなるので、シャッター速度を気にすることなく、高画質で撮影可能なISO100-400での風景写真の撮影が可能になります。
三脚を使用するとカメラの位置を固定できるので、微調整がし易く構図にこだわった風景写真の撮影ができる
手持ちでの撮影ではカメラを固定することができないので、被写体を正確に構図内の特定の位置においたり、水平や垂直を正確に合わせることが難しくなります。しかし三脚を使用することで、カメラの位置を固定出来るので、そこから細かな調整が可能になるのです。
風景写真では、水平がズレてしまうと全体のバランスが悪くなってしまうので、水平線や地平線を入れる風景写真の撮影に、三脚は必須のアイテムと言える
三脚を使用してカメラの位置を固定すると、同じ構図で日中と夕景といった違う時間の風景写真を撮影できる
風景写真において1番幻想的な写真が撮れる朝夕のマジックアワーでは、刻一刻と空模様や色が変化していきます。
三脚を使用してカメラの位置を固定すると、同じ構図でも全く違う空の景色を撮影することができるので、朝夕のマジックアワーに風景写真を撮るという方は三脚を使用してみるといいでしょう。
三脚を使用して手ブレを抑えると日中でもスローシャッターでの撮影が可能になる
明るい時間や表現によってはNDフィルターを使用する必要があるが、三脚を使ってカメラを固定することで、スローシャターによる滝の撮影や波打ち際のビーチの撮影などで様々な表現が可能になる。
風景写真の撮影には三脚の使用をおすすめしていますが、三脚の使用にはいくつかの注意点があります。
撮影マナーやカメラの上達に直接関わることなので、風景写真の撮影で三脚を使用する時には注意するようにしましょう。
三脚の使用が禁止されている場所ではもちろんですが、人通りの多い歩道や道路上など周りの人の迷惑になる場所では、三脚を使用しないようにしましょう。
無理矢理に三脚を使用することで、その場所での撮影自体が禁止になったり、周りの人に危害を与える原因となることがあるので、マナーを守って使用するようにしましょう。
観光地では、日中になると多くの人で溢れかえるので、三脚を使用して撮影をしたい時には、観光客の邪魔にならない早朝や深夜を狙うといいかもしれません。
三脚は設置の方法を間違えると、カメラとレンズの重さで転倒することがあります。三脚の転倒を防ぐためには、三脚の足の長さや開く角度を調整して、カメラをのせる前に三脚自体の水平をしっかりと取るようにしましょう。
事前に三脚自体の水平を取ることで、カメラの重心がしっかりと三脚の真ん中にきて、安定するようになります。
三脚の脚の長さを調節して水平を取っているので、カメラを載せた時の重心が安定する
雲台の角度でカメラの水平を取っているので、重心がズレていて三脚自体が転倒するリスクがある
手持ちでの撮影には便利な手ブレ補正機能ですが、三脚に固定した撮影では誤作動によって逆にブレが起きてしまうので、三脚を使っての撮影では必ず手ブレ補正機能をオフにするようにしましょう。
風景写真の撮影において、三脚の使用目的ははあくまでも手ブレの防止や構図の微調整です。
大まかな構図位置は自分の足で動いて、カメラのファインダーを覗きながら決めるようにしましょう。
三脚は一度設置すると場所の移動がしづらくなる
目で見たままを撮影する風景写真もいいですが、三脚を使うことでカメラの機能を活かした、普段目にしているのとはまた違った風景写真を撮影することが可能になります。
カメラを三脚に固定すると手ブレの心配がなくなるので、シャッター速度を遅くする長時間露光での撮影が可能になる
風景写真の撮影で三脚を使用すると、滝の水の流れや海岸に打ち寄せる波を長時間露光でなだらかに表現した撮影が出来るので、水際で風景を撮ることが多い人は三脚を使って風景写真の表現を増やしていきましょう。
風景写真の撮影で三脚を使うと、手ブレを気にすることなく露出補正をプラスに調整できるので、ふんわりと柔らかなイメージのハイキーで撮影することができる
特に雪景色での風景写真では、露出補正をプラスにする必要が出てくるので、明るく真っ白な雪景色を撮影したい方は、三脚を使用することをおすすめします。
雪景色の白さを表現するためには、カメラの設定からさらにプラスの露出補正が必要です。その時に三脚があることで、手持ちでは手ブレをしてしまうシャッター速度でも、手ブレを気にする事なく風景写真を撮影することが可能になります。
レンズに入る光の量を減らすNDフィルターと三脚を一緒に使用する事で、日中でも夜景撮影のように1~30秒、またはそれ以上の長時間露光での写真撮影が可能
特に1分以上の長時間露光では、雲や水の流れがフラットになりやすく、歩行者は写真に写らなくなるので、とても印象的な風景写真を撮影することが可能になります。
気軽に撮影ができる風景写真は、デジタル一眼カメラ1つでも様々な写真を撮ることが可能です。しかし今よりもさらにカメラを上達させたい、これまでとは違う写真が撮ってみたいという方は、ぜひ三脚を使ってワンランク上の風景写真の撮影をしてみてはいかがでしょうか。
三脚を使用した風景写真の撮影に興味が湧いたという方は、「【三脚の正しい使い方】知れば写真がもっと上手くなる」「【初心者必見】三脚の選び方と人気のオススメ5選」を合わせて読んでおきましょう。
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