
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
豊富な種類のレンズが各メーカーから販売されていて、撮影するシーンによってレンズを交換できるのがデジタル一眼カメラの楽しみの1つですよね。
しかしメーカーが違えばもちろんですが、同じメーカーでもカメラの機種が違えば付けられるレンズは違います。
このためカメラ初心者の方だけでなく、まだ交換レンズを購入したことがないという方にも分かりづらいのが、カメラの「レンズマウント」です。
交換レンズを購入してから、「カメラにレンズが付けられない!!」なんて事にならないためにも、デジタル一眼カメラのレンズマウントの種類とカメラとの組み合わせを把握しておきましょう。
デジタル一眼カメラに限らず、フィルムカメラも含めたレンズ交換が可能なカメラとレンズには、それぞれの接続部分であるレンズマウントが存在しています。
このレンズマウントの規格には、単純にレンズマウントの直径の違いや電子接点の有無、取り付けるカメラ本体のタイプなどに違いがあり、それぞれの違いが理由でレンズとカメラ本体を接続・撮影することができない場合があるのです。
こんな理由で使えない
レンズマウントは円形をしているのですが、レンズマウントの種類によってその直径にも違いがあります。
このため直径の違うレンズマウント同士は、接続することができないので、当然撮影をすることができないのです。
そもそも直径の違うレンズマウント同士は接続できない
Canon | |
RFマウント | 54mm |
EF / EF-Sマウント | 54mm |
EF-Mマウント | 47mm |
Nikon | |
Zマウント | 55mm |
Fマウント | 47mm |
Sony | |
Eマウント | 46mm |
Aマウント | 50mm |
レンズマウントには電子接点という部品があるタイプと、ないタイプが存在しています。
このため電子接点の有無によっては、レンズとカメラが接続ができたとしてもレンズ本来の性能を使えない場合があります。
接続、撮影ができる場合もあるが、AFなどが使用できない
電子接点があるタイプ | 電子接点がないタイプ |
---|---|
AFが使える 絞りをカメラ本体側で変更できる 絞りの情報がカメラに記録される | AFが使えない 絞りをカメラ本体側で変更できない 絞りの情報がカメラに記録されない |
デジタル一眼カメラには一眼レフ機とミラーレス機という、内部構造が違う2つのカメラタイプが存在していて、それぞれのカメラタイプ用のレンズマウントが製造されています。
この内部構造の違いで同じ直径のレンズマウントであっても、レンズとカメラ本体を接続できな場合があるのです。
カメラタイプが違うと同じ直径・メーカーのレンズマウントでも接続ができない
CanonやNikon、SONYなど各カメラメーカー全てで、レンズのマウントが統一されれば交換レンズの購入が簡単になりますが、現時点ではそのようにはなっていません。
ではなぜ各カメラメーカーのレンズマウントは統一されていないのでしょうか?
これには2つの理由があると考えられています。
レンズのマウントが統一されると、カメラを所有する私たち消費者にはとても良いことにも思えますが、カメラメーカーとしては他のメーカーのレンズを購入されてしまうというデメリットが発生します。
またレンズのマウントが統一されるということは、どのメーカーも同じ規格の中でレンズの開発をする必要がでくるので、レンズの性能が向上しなくなる可能性があるのです。
例えば、これまでA社がAF性能の開発しやすい規格のレンズマウント採用した場合…
この場合もしもA社が使用していない規格にレンズマウントが統一されると、A社の持つAFの技術は「統一されたレンズマウント」の規格に合わせてゼロから開発をやり直すことになります。
こうなると最悪の場合、A社はこれまで持っていた高いAF性能を持つレンズを販売できなくなる可能性もあるのです。
同じメーカーのカメラでもレンズマウントに違いがあるのには、各カメラの種類によってカメラ内の構造に違いがあることが原因となっています。
デジタル一眼カメラには一眼レフ機と呼ばれるカメラ内に「ミラー」が存在する機種と、ミラーレス機と呼ばれる「ミラー」が存在しない機種の2種類が存在します。
この2種類は「ミラー」の有無によってカメラ本体の大きさが違うので、当然レンズから入る光を結合するイメージセンサーとレンズマウントの距離も変わってきます。
センサーまでの距離の比較
上のイラストは一眼レフ機とミラーレス機の、レンズマウントからイメージセンサーまでの距離を比較したもので、一眼レフ機とミラーレス機でそれぞれ距離が違うことがわかります。
各レンズは同じ規格のレンズマウントに取り付けた時に、カメラのイメージセンサーの位置で光を画像として結像するように設計がされているのです。
もしも規格の違うレンズとカメラで撮影をしたら?
仮に規格の違うレンズマウントのカメラ本体とレンズを接続すると、レンズを通る光が正しい位置(イメージセンサーの位置)で画像として結像しなくなるので、正しく写真を撮れなくなってしまいます。
これは上の参考イラストのように規格が違うレンズマウント同士では、イメージセンサーから漏れる光が出てくるため正しく写真が撮れないのです。
交換レンズの購入には、自身が持っているカメラのメーカーと同じメーカーのレンズを購入すれば良いことがわかりました。
それでは各メーカーごとで、一眼レフカメラとミラーレスカメラでどんなレンズマウントの種類があるのか、カメラ本体との組み合わせはどうかを早見表で確認しましょう。
レンズマウント | 対応カメラタイプ | 主な対応カメラ |
---|---|---|
RFマウント | ミラーレス機 [フルサイズ] | EOS R / EOS RP / EOS R6 / EOS R5 |
EFマウント | 一眼レフ機 [フルサイズ/APS-C] | EOS 5D Mark Ⅳ / EOS 5Ds / EOS 6D Mark Ⅱ / EOS 90D / EOS Kiss X10i / EOS Kiss X9i |
EF-Sマウント | 一眼レフ機 [APS-C] | EOS 90D / EOS Kiss X10i / EOS Kiss X9i |
EF-Mマウント | ミラーレス機 [APS-C] | EOS M6 Mark Ⅱ / EOS Kiss M2 / EOS Kiss M |
Canonでは一眼レフ機とミラーレス機の違いに加えて、それぞれのセンサーサイズの違いを含めた合計4種類のレンズマウントが存在しています。
基本的にそれぞれのレンズマウントに互換性はありませんが、EFマウントのレンズのみフルサイズ機(EFマウント)とAPS-C機(EF-Sマウント)のどちらでも使用することが可能となっています。
レンズマウント | 対応カメラタイプ | 主な対応カメラ |
---|---|---|
Zマウント | ミラーレス機 [フルサイズ/APS-C] | Z 7Ⅱ / Z 6Ⅱ / Z6 / Z5 / Z50 |
Fマウント | 一眼レフ機 [フルサイズ/APS-C] | D850 / D780 / D500 / D7500 |
Nikonでは一眼レフ機とミラーレス機の違いで、2種類のレンズマウントが存在しています。
同じ一眼レフまたはミラーレス機であれば、センサーのサイズに関係なく同じレンズを使用することが可能です。
レンズマウント | 対応カメラタイプ | 主な対応カメラ |
---|---|---|
Eマウント | ミラーレス機 [フルサイズ/APS-C] | α 7R Ⅳ / α 7R Ⅲ / α 6600 / α 6400 |
Aマウント | 一眼レフ機 [フルサイズ/APS-C] | α 99Ⅱ / α 99 / α 77Ⅱ / α 77 / α 65 |
SONYでは一眼レフ機とミラーレス機の違いで、2種類のレンズマウントが存在しています。
同じ一眼レフまたはミラーレス機であれば、センサーのサイズに関係なく同じレンズを使用することが可能です。
マイクロフォーサーズは、OLYMPUSとPanasonicの2社のミラーレス機で互換性のあるレンズマウント規格です。
このためOLYMPUS社のレンズをPanasonic社のカメラで使用したり、その逆でPanasonic社のレンズをOLYMPUS社のカメラで使用することが可能です。
ミラーレス機のみで一眼レフ機は存在しない
フォーサーズというAPS-C機よりもイメージセンサーが小さいカメラ規格に採用されているシステムで、Panasonicから販売されているフルサイズミラーレス機専用のLマウントを除いて、全てのミラーレスカメラで使用が可能となっています。
メーカー | 主な対応カメラ |
---|---|
OLYMPUS | E-M1 Mark Ⅲ / E-M5 Mark Ⅲ / E-M10 Mark Ⅳ / E-P7 / E-PL10 |
Panasonic | DC-GH5M2 / DC-GH5M / DC-GH5S / DC-G9 / DC-GF10 |
カメラメーカーとは別に、レンズをメインに製造しているいわゆるサードパーティのレンズメーカーが存在します。
これらのメーカーからは、各カメラメーカーのレンズマウントの規格に合わせたレンズが販売されているので、購入の際はご自身が使用しているレンズマウントと同じ規格のレンズを選びましょう。
同じ種類のレンズを純正品よりも安価で販売しているメーカーや、星景写真に使えるコストパフォーマンスの良いレンズを販売しているメーカーなど、サードパーティメーカーによって特徴はさまざまです。
純正の交換レンズはどうしても高価な買い物になってしまうので、まずは一度サードパーティメーカーのレンズもチェックしてみると良いでしょう。
基本的にカメラの種類によって使用が制限される交換レンズですが、同じメーカーであればマウントアダプターを使うことで、一眼レフ機用のレンズをミラーレス機に取り付けて使用することが可能になります。
メーカーの違う他社のレンズを使用したいという方は、メーカーの違うレンズでも取り付けて使用することが可能なサードパーティー製のマウントアダプターを使用しましょう。
一眼レフ機用のレンズをミラーレス機で使用可能
Canonでは一眼レフ機用のレンズをミラーレス機で使うための、2種類のマウントアダプターが販売されています。
Canonのミラーレス機はフルサイズ用の「RFマウント」と、APS-Cサイズ用の「EF-Mマウント」の2種類あるので、マウントアダプターもそれぞれのレンズマウント用に2種類が存在しているのです。
EF / EF-Sマウントレンズ
⇩
EF-Mマウントのカメラで使用可能
EF / EF-Sマウントレンズ
⇩
RFマウントのカメラで使用可能
Canonの中でもっとも種類が豊富で高性能なレンズが揃っている、EF / EF-Sマウントのレンズ約60種類を、APS-Cサイズミラーレス機のEF-Mマウントで使用できるマウントアダプターです。
EOS M6 Mark Ⅱ / EOS Kiss M2 / EOS Kiss M
Canonの中でもっとも種類が豊富で、これまでに買い揃えてきた方も多いEF / EF-Sマウントのレンズを、Canonのフルサイズミラーレス機のRFマウントで使用できるマウントアダプターです。
EOS R / EOS RP / EOS R6 / EOS R5
一眼レフ機のレンズをミラーレス機で使用可能
NikonのFマウントレンズ約360種類を、ミラーレス機のZマウントで使用できるマウントアダプターです。
ただしモーター内蔵のAF-P、AF-S、AF-Iレンズ以外では、AF機能が使えないのでピント合わせにはMFでの調整が必要になります。
≫ マウントアダプターFTZの詳細な使用を確認
Z 7Ⅱ / Z 6Ⅱ / Z6 / Z5 / Z50
Aマウントの古いレンズをEマウントのカメラで使用可能
ソニーのAマウントレンズを、ミラーレス機のEマウントで使用できるマウントアダプターです。
α7R IVとα6600であればミラーレス機のカメラ本体が持つ、「AF/AE追随機能」と「最高10コマ/秒以上の高速連写」をAマウントのレンズでも使用可能になります。
その他にもモーター(SSM/SAM)を搭載しているAマウントのレンズとの組み合わせであれば、α7 II、α7R II、α6300、α6500、α7 III、α7R III、α6100、α6400、α9、α9 II、α7S III、α7Cでも「AF/AE追随機能」が使用可能となります。
α 7R Ⅳ / α 7R Ⅲ / α 6600 / α 6400
各メーカーにはそれぞれのカメラやレンズに対する信念と理念があり、そのため各メーカーによって撮れる写真の色味や表現に違いが生まれるのです。
カメラの本体と同じで、レンズにも各メーカーの特徴が反映されているので、マウントアダプターも上手く使いながら交換レンズで撮影を楽しんでいきましょう。
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質問・コメント
コメント一覧 (1件)
よく調べられたなと思います。
ただ、メーカー製のアダプターは、限界があり、装着レンズも限りが有り、制限が多いです。
サードパーティ製は、旧FDマウントをAFカプラー経由で、NikonFマウントDタイプや、AFニッコール並みに使える物も有ります。
アダプター2枚掛けなんて方も居たりして、日本では、メカニックなコアなファンが数多く研究されて居ます。
一度そちらのサイトをご覧になるとワクワクします。
ミラーレスのマイクロフォーサーズが火付け役でライカLマウントが発展型に変身です。
モンスターアダプターは、ミノルタのVマウントをサポートしましたね!APS一眼には、朗報でした!
ますます楽しくなりそうですね!
しかし、フィルムが値上がり、コダックとフジには頑張ってほしい。1奥画素でも、アナログでしか表現できない世界があります。これが120年の歴史ですね。四の五の風景や、トライXのドキュメンタリー性は、現在です。ミニコピーフィルムを減感現像した無粒子表現の滑り感は、プリターでは無理です。 35mmて数億の銀塩を超えるデバイスは、これからの楽しみですね。
ただ心配は、AIが進化して誰でも同じ様な写真だけは、撮りたくないですね。デジタルの素晴らしさ、アナログの奥深さ、たしかCDが出た頃の不毛な論争にならない様に楽しみたいものです。
かしこ