
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
キャノンユーザーであれば、1本は持っておきたい高級レンズのLシリーズ。
解像度や逆光耐性・防塵防滴などで、通常のレンズよりも高いパフォーマンスを発揮してくれるのがLシリーズレンズの特徴です。
ただし種類は多いうえに同じ焦点距離で安価なレンズも販売されているので、購入を悩む方も多いのではないでしょうか?
今回は私も普段から自然風景の撮影に愛用している、「RF24-105mm F4 L IS USM」(フルサイズミラーレス機用)をご紹介していきます。
同じフルサイズミラーレス機用の通常レンズシリーズ「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」との比較もご紹介しているので、どちらを購入するべきか悩んでいるという方にも参考になるかと思います。
私は登山をメインに自然風景写真を撮っているのですが、1日に150〜200枚を撮影する中で75%以上は「RF24-105mm F4 L IS USM」で撮影をした写真になります。
私が実際に撮影した写真と一緒にレビューをするので、キャノンのフルサイズミラーレス機を持っている方や、これから購入を考えているという方はぜひ購入の参考にしてください。
キャノンは広角から望遠までを1本で撮影できる、焦点距離が24-105mmのズームレンズを数多く販売しています。
そんな24-105mmズームレンズのノウハウの全てが詰まっているとも言える、RF24-105mm F4 L IS USMのスペックを見ていきましょう。(2021年 7月時点)
スペックの比較
RF24-105mm F4 L IS USM | RF24-105mm F4-7.1 IS STM | |
---|---|---|
長さ | 107.3mm | 88.8 mm |
重さ | 700g | 約395g |
開放絞り値 | F4 | F4-7.1 |
最短焦点距離 | 0.45m | AF:0.2m MF:0.13m |
最大等倍率 | 0.24倍 | AF:0.4 倍 MF:0.5 倍 |
手ブレ補正 | 5段分 | 5段分 |
AF機構 | ナノUSM | STM |
コーティング | フッ素 コーティング | |
防塵・防滴 | ||
絞り羽根 | 9枚 [円形絞り] | 7枚 [円形絞り] |
フィルター径 | 77mm | 67mm |
同じ焦点距離のレンズと比較すると、スペック上では大きさや重量で「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」に引けを取っていますが、風景写真を撮る上で「コーティング」や「防塵・防滴」でのメリットが見てとれます。
スペックの比較だけでは分かりにくいですが、RF24-105mm F4 L IS USMは風景写真を撮る上で上記のようなメリットがあるレンズとなっています。
通常ズームレンズの場合は使用する焦点距離によって開放F値が変化しますが、キャノンのLシリーズズームレンズはこの開放F値が固定で焦点距離の違いで変化することがありません。
このためRF24-105mm F4 L IS USMを使った撮影では、広角の24mmから望遠の105mmのどの焦点距離で撮影をしても絞りをF4で撮影することも可能なのです。
作例
上の参考写真は絞りをF4、焦点距離を105mmにして撮影したもので、F4という比較的小さな絞り値を支えていることで、背景が綺麗にボケて主題である綿毛が引き立った写真になっています。
このように風景写真の中でも主題となる被写体を大きく切り取るような撮影では、開放F値がF4というメリットが大きな意味を持ってくるのです。
ペットや子供の撮影にも効果的
ちなみに動きの速くて行動の予想がつかない子供やペット、動物の写真を撮る際にはどうしても速いシャッター速度で撮影する必要があります。
このような場合でも開放F値のF4を使うことで、ISO感度に頼ることなく被写体ブレのない写真を撮影することが可能になので、高ISO感度によるノイズが発生するリスクもなくなりますよ。
RF24-105mm F4 L IS USMは、キャノンならではの綺麗な色味・彩度とコントラストのある写真を撮影することが可能です。
カメラのレンズは同じメーカーのものであっても写しだす色には違いがあるのですが、RF24-105mm F4 L IS USMでは人間が本能的に綺麗だと感じる色を出してくれるのが大きな特徴です。
作例
上の2枚の写真はどちらも撮影後のレタッチをしていない、またカメラ内の編集機能(ピクチャースタイル)の影響を受けていないレンズ本体の純粋な色彩とコントラストを表したものです。
どちらの写真も私ちが何気なく認識している青空や紅葉の赤色にとても近い色彩が出ているので、自然風景を目で見ているままに写真に撮りたいという方にはとてもピッタたりなレンズと言えます。
キャノンレンズの中でも1番の速度をもつUSMが採用されているRF24-105mm F4 L IS USMは、日中であればシャッターを半押しにするとほぼ同時に正確なピントが完了できます。
三脚を立ててじっくりと撮影をする際にはあまり必要性を感じませんが、動きのある野生動物や子供・ペットの撮影も楽しみたい方にとっては高速なAFはとても大きなメリットになります。
暗い場所でもピント合わせができる
RF24-105mm F4 L IS USMは暗所でのピント合わせにも強くて、朝夕の薄暗い環境でのピント合わせはもちろん可能で、夜には明るい1等星以上の星にもAFでピントを合わせることが可能です。
上の作例のように冬を代表するオリオン座で1番明るいベテルギウス(左のオレンジ色の星)などであれば、MFに頼ることなくAFを使ってのピント合わせができるのです。
RF24-105mm F4 L IS USMは防塵・防滴仕様になっているので、砂埃のまう自然の中や水飛沫のまう滝や海辺での撮影でも安心して撮影が可能になります。
ただし防塵・防滴だからといってもそのままにしていては壊れてしまうので、撮影が終わったらホコリや水滴を綺麗に拭き取るなどメンテナンスはしっかりとおこないましょう。
ズームレンズでよくある写真の周辺(四隅)の解像度が落ちる現象も、RF24-105mm F4 L IS USMではほとんどありません。
全体にピントを合わせるパンフォーカスでの撮影が多い風景写真では、構図の隅々まで同じような解像度で撮影ができるRF24-105mm F4 L IS USMがとても大きな効果を発揮してくれます。
上の比較画像は湖面にできたアイスバブルを撮影した写真の、構図中央と端の拡大画像で解像度を比較したものです。
レンズの構造上構図の中央が最も解像度が高く、端にいくほど解像度が悪くなるのですが、RF24-105mm F4 L IS USMで撮影した写真では中央と端の解像度に大きな違いがないことが分かります。
RF24-105mm F4 L IS USMのズーム機構はある一定のトルク感があるので、レンズを上下に傾けても撮影をするような場面でもレンズが自重で伸び縮みして焦点距離が変わることがありません。
これまで使用していた一眼レフ機用のEF 24-105mm F4 Lレンズでは、レンズを上下に向けると自重で勝手にレンズが伸び縮みしていたので個人的には1番嬉しい違いでした。
高画質で高性能なRF24-105mm F4 L IS USMですが、次のようなデメリットもあるので気になる方は他のレンズの購入も検討すると良いでしょう。
高級レンズのLシリーズの中では安価でコストパフォーマンスがとても良いRF24-105mm F4 L IS USMですが、非Lレンズの24-105mmズームレンズと比べると価格は3倍近くもあるのでとても高額です。
これまでの24-105mm F4 Lのレンズシリーズと比べるとわずかに軽量になったRF24-105mm F4 L IS USMですが、非Lレンズの24-105mmズームレンズと比べると約2倍なので持ち運びには影響があります。
高級レンズシリーズであるにも関わらず、太陽や明るい光源が入ったり近くにある時の撮影ではゴーストやフレアが高確率で発生します。
特に真逆光で撮影をする際には必ずゴーストが発生するので、朝焼けや夕焼けの撮影ではゴーストの発生に注意が必要です。
ただゴーストやフレアを写真の表現として取り入れることもあるので、気になる方は撮影時に対処したりレタッチで修正するなどの対応というのもありだと思います。
RF24-105mm F4 L IS USMには、非Lレンズの24-105mm F4-7.1 IS STMのようなマクロ撮影機能がないので被写体にグッとよるようなダイナミックな写真を撮ることはできません。
写真の解像度をとるか写真表現の幅の広さをとるか、自分の撮影スタイルに合っているかを考える必要がありそうです。
マクロ機能付きのレンズ
広角から望遠までを1本で撮影したいけどマクロ機能も楽しみたいという方には、通常レンズシリーズの「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」がオススメです。
マクロ機能付き
軽量・コンパクト
新品価格が¥50,000以下
私がRF24-105mm F4 L IS USMの購入をオススメするのは、ハイキングや登山でも高画質な写真撮影を楽しみたい人です。
ハイキングや登山での撮影は風に舞う砂埃や突然の雨など悪環境の中での撮影も想定されるので、防塵・防滴が備わっているレンズの方が安心して撮影を楽しめます。
また移動しながらの撮影でも広角から望遠までを1本で撮ることが可能なので、テンポ良く撮影をできる上に、レンズ交換でセンサーに埃がついたり誤ってレンズを落とすなどのリスクがなくなります。
私が実際にハイキングやバックカントリーキャンプ中に、RF24-105mm F4 L IS USMを使って撮影した写真を焦点距離や撮影シーン別にご紹介していきます。
私と同じようにハイキングや登山に使用できるレンズを探している方は、ぜひ購入の判断材料として参考にしてみてください。
ちなみに今回紹介する作例の中で「雪山で撮影した写真」以外は、すべて1度のバックカントリー(1泊2日)の中で撮影をしたものになります。
実際にこの「RF24-105mm F4 L IS USM」レンズを持っていくことで、1度の登山やバックカントリーキャンプにこれだけ多様な写真を撮れるということが伝わると嬉しいです。
風景写真ではお馴染みの焦点距離24-35mmの広角側を使用することで、上の作例のような構図の写真を撮ることが可能になります。
前景と後景を構図の中に配置しながら広角レンズの特徴を上手く活かすことで、奥行きの感のある写真を撮ることができるでしょう。
また広角レンズには狭い空間を広く見せる効果もあるので、足元の草花を見下ろす形で撮影するのも良いでしょう。
私たち人間が見ている光景に近い印象で撮影が可能な35-70mmの標準域を使うと、上の作例のような構図の写真を撮ることが可能です。
普段私たちが何気なく見ている(ピントが合っている)光景を見ているのと同じような写真が撮れるので、親しみやすく見ていて1番違和感がない写真を撮れるのが特徴です。
登山やハイキング中に何気なく目に止まった光景や、印象に残る光景をそのまま写真に切り取ると良いでしょう。
私が普段から風景写真の撮影でオススメしている、焦点距離70-105mmの望遠域を使用して撮影をすると上の作例のような写真を撮ることが可能です。
遠くにある景色や動物などをそのまま大きく切り取ることや、望遠レンズが持つ圧縮効果を使って山並みのレイヤー感を写真に撮ることができるでしょう。
開放F値がF4なので星景写真にオススメできるレンズとは言えませんが、人工的な灯りから遠く離れた田舎や自然の中であれば上の作例のように綺麗な星景写真を撮ることも可能です。
自然の中でキャンプをしながら見る星空はとても綺麗なので、RF24-105mm F4 L IS USMで写真に撮ることオススメします。
星景写真にはノイズ除去ソフトが必須
ちなみにこの作例と同じレベルの星景写真に仕上げるには、レタッチ前にノイズの除去をおこなった綺麗な画像データを作成する必要があります。
今回の作例を仕上げる時にも使っているノイズ除去ソフト「DxO PureRaw」について、使用方法やノイズ除去の効果の比較を記事にして紹介しているので、気になる方はそちらもチェックしてみましょう。
高価で明るい(F2以下)レンズがないと、撮ることが難しかったノイズの無い綺麗な星景写真も、強力なノイズ除去ソフト「PureRaw」があれば、F4のズームレンズでも可能になります。
\30日間無料でお試しが可能/
RF24-105mm F4 L IS USMは防塵・防滴が備わっているので、晴れていても溶けた雪で濡れやすい雪山の中での撮影も安心しておこなうことが可能です。
この他にも水飛沫が舞っている滝や海辺での撮影でも、この防塵・防滴が備わっていることでレンズをあまり気にすることなく撮影に集中することができるでしょう。
風景写真といってもさまざまですが、今回は私も普段から愛用している、山の頂上や森の中など長距離を移動しながら写真を撮っている人にオススメの、キャノンのレンズRF24-105mm F4 L IS USMをご紹介しました。
とはいえRF24-105mm F4 L IS USMは高い買い物なので、購入前に実際の重さや使用感を、お持ちのカメラ持ち込みでお店で試してみると良いでしょう。
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