
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
デジタル一眼カメラの最大の楽しみといえば、交換レンズを使って背景をボカした写真で、特に花の写真を撮る時には、背景をしっかりとボカして撮りたいですよね。
しかし花の写真をどんなに背景をボカして撮影しても、イマイチ納得のいかない写真になることはありませんか?
よくある残念な写真
実はこれら残念な写真には同じ共通点があり、すべて太陽の光が関係しています。
カメラは光を記録する機械とも言われるくらい、太陽光や室内灯など光の影響で写真の印象が大きく変わるのです。
この記事では初心者の方が、入門機とキットズームレンズの組合せでも、可愛い花を簡単にそのイメージ通りのふんわり・柔らかい印象で撮影できる、光の使い方をご紹介していきます。
屋外でデジタル一眼カメラを使って撮影をする場合、基本的には次の3パターンの太陽の位置で撮影をおこなうことになります。
それぞれカメラのレンズの向きと、太陽の位置関係を意味しています。
そしてこのカメラのレンズと太陽の位置関係によって、撮影する写真にそれぞれ次のような特徴が生まれます。
撮影の状態 | 特徴 |
順光 | 被写体本来の色がでやすい / 立体感がなくなりやすい |
サイド光 | 被写体に陰影ができて立体感がでやすい |
逆光 | 色のコントラストの弱い写真 ・ドラマティックな写真になりやすい |
順光では花の撮影する面全体に太陽光が当たるので、花本来の色が出やすくなります。
ただその反面で花自体がとても明るくなるので、カメラに露出(明るさ)の設定を任せると、写真全体を暗く写そうとしてしまいます。
また順光では花の背景が暗くなっている場合、明るい花と暗い背景の明暗差で写真に強いコントラストが生まれやすくなります。
サイド光では花の半分には太陽光があたり、反対側のもう半分は光のあたらない影となり、立体感のある写真を撮ることができます。
また日中の強い太陽光になればなるほど、陰影は強くなり花全体の明暗差と色のコントラストは強くなります。
逆光では太陽を正面にしての撮影になるので、太陽光によって花ビラが少し透ける透明感のある写真を撮ることができます。
また逆光では色のコントラストは弱くなり、背景も明るくなりやすいので全体的に明るい印象の写真になります。
太陽の位置によって撮影する花の印象が大きく変わる晴れの日と比べて、曇りの日には基本的にどの向きから花を撮影しても同じような写真を撮ることが可能です。
曇りの日には太陽光が雲によってあちこちに拡散されるため、花のどこか一方からではなく全方向から万遍なく光があたるようになります。
このため太陽光自体は雲を通って柔らかくなり、柔らかくなった太陽光が花全体に万遍なく行き渡るので、花自体には陰影はなく背景との間にも明暗差の少ない写真に仕上がります。
可愛い花はそのイメージ通り、ふんわり・柔らかい印象で撮影できる逆光か曇りの日に撮るのがベストです。
逆光か曇りの日を選んで次の2つのポイントをしっかり抑えると、入門機とキットズームレンズでも十分に可愛い花の写真を撮ることが可能になります。
キットズームレンズにも含まれる望遠ズームレンズを使うことで、花の背景をより綺麗にボカすことが可能になります。
ふだん広角ズームや標準ズームレンズを使って、頑張って花に近寄って撮影していたという人は、この機会に望遠ズームレンズを使って花を撮影してみましょう。
マクロレンズを購入しなくても、ビックリするくらい綺麗に背景がボケてくれますよ。
花にしっかりと露出(明るさ)を合わせるためにも、露出を決定する測光モードはスポット測光に設定しておきましょう。
初期設定の評価測光(マルチパターン測光)のままでは、写真全体の露出を平気的な明るさに調整してしまうので、花が暗くなってしまう場合があります。
特に逆光での撮影では空や背景との明暗差が大きい分、その影響が大きくなります。
可愛い花をそのイメージ通りにふんわり・柔らかに撮るテクニックは、どれもお手持ちのカメラとレンズ で今すぐに試すことが可能です。
まずは身近に咲くで花でどんどん練習をしていきましょう。
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