
デジタルカメラマガジン 2022年4月号[雑誌]
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
夜空を彩る数々の天体の中でも、ひときわ存在感があるのが月です。
満月や三日月など、月は普段からよく目にしているにも関わらず、飽きる事なく見続けられる美しさがあり、デジタル一眼カメラで写真に撮りたいと思う人も多いでしょう。
デジタル一眼カメラで、月を綺麗に撮りたいと考えている方のために、初心者が使っている入門機とキットズームレンズでの月の撮り方をご紹介していきます。
月を綺麗に撮るときにはこの2つのポイントに注意する必要があります。
まず大前提として、夜空に輝く星とは違い月はとても明るく常に動く被写体なので、夜の撮影だからといって夜景や星空を撮影する時の設定では、綺麗に月を撮ることができません。
同じ夜空に輝く星と違って、月は大きくとても明るい被写体なので、明るくなりすぎて白とびをしないように露出を調整する必要があります。
デジタルカメラで月を撮影したことがある人の中には、月がとても明るく写ってしまい、クレーターや月の輪郭が綺麗に見れない、といった経験がある人も多いのではないでしょうか?
よくある残念な写真
どんなに月にピントを合わせても、月が明るくボヤけてしまえば、綺麗な月の写真を撮ることができません。
月のクレーターや輪郭を綺麗に写真に撮るためには、夜景や星空の撮影とは違って、月が明るくなりすぎないカメラの設定が必要なのです。
月は明るい被写体なので白とびに注意
月は常に動いている被写体なので、被写体ブレをしないシャッター速度で撮影する必要があります。
人の目には止まっているように見える月ですが、星と同じように少しずつ夜空を移動しているので、被写体ブレが起こらないようにシャッター速度には注意しましょう。
月は常に動いているので被写体ブレに注意
デジタル一眼カメラで月を綺麗に撮るためには、カメラ機材の準備と撮影でのカメラの設定がポイントになります。
カメラの機材と撮影でのカメラの設定は、どちらもカメラ初心者の方が普段から使っている入門機と、キットズームレンズでも十分なので新しく何かを購入する必要はありません。
月の撮影で最も重要な機材は望遠レンズで、焦点距離が35mm換算で400mm以上の望遠レンズであれば、月を綺麗に撮ることが可能になります。
35mm換算の方法
入門機(ASP-C機)のキットレンズとして付いてくる望遠ズームレンズの焦点距離は、最大焦点距離が250mm以上のレンズが多いので、35mm換算で400mm以上の焦点距離のレンズということになるのです。
今回の撮影に使用した機材
月のクレーターや輪郭を綺麗に撮るために、カメラのMモード(マニュアルモード)を使って撮影をしましょう。
Mモード(マニュアルモード)と聞くと、カメラを始めたばかりの人にとってはハードルが高く感じますが、暗い夜空の中の月を綺麗に撮るためにはMモードでの撮影が1番簡単です。
月はとても遠くに存在しているので、絞りは最大でもF8で十分に全体にピントを合わせることが可能な上に、シャッター速度を速く設定することが可能になります。
シャッター速度は望遠レンズを使った手持ち撮影でも手ブレをしないように、1/800秒前後の速いシャッター速度に設定します。
シャッター速度の目安
手ブレをしないシャッター速度 = 1/〇〇(レンズの焦点距離)秒
電子ファインダー化、カメラのモニターで拡大表示をしながら月にマニュアルでピントを合わせます。
マニュアルでピントを合わせておくと、手持ちでも毎回ピントがあった状態で撮影できる
まずはStep1で設定した内容で一度撮影をして、実際に撮影できる写真を確認しましょう。
この時ちょうど良い明るさで撮影ができていればそのままで良いですが、月が暗く写ったり明るく写っている場合には露出の調整が必要です。
明るさがちょうど良く月のクレーターも確認できるので、この設定のまま撮影を続けていきましょう。
状況によってWB(ホワイトバランス)を変更すると、黄色や青色など月の写真も撮ることが可能なので、いろいろと試してみると良いでしょう。
上の画像のように、撮影した月の写真が暗くなってしまい場合には、明るく撮影できるように露出の調整が必要です。
明るく撮る方法
ISO感度をISO400⇨ISO800前後に調整
現在の設定で月が暗く写る場合には、ISO感度を上げることで撮影する写真を明るくすることができます。
ただしISO感度は上げすぎるとノイズが目立つようになるので、ISO感度を挙げられない場合にはシャッター速度を1/400秒以下にならない程度まで調整してみましょう。
上の画像のように、撮影した月の写真が暗くなってしまい場合には、明るく撮影できるように露出の調整が必要です。
暗く撮る方法
ISO感度をISO400⇨ISO200前後に調整
現在の設定で月が明るく写る場合には、ISO感度を下げることで撮影する写真を暗くすることができます。
ただし通常はISO100かISO200までしか下げることができないので、それでもsつきが明るい場合には、絞りをF11~16の間で調整してみましょう。
月が暗い場合 | 月が明るい場合 | |
---|---|---|
明るさの調整 | ISO感度を高くする [ISO800~1600の間] | ISO感度を低くする [ISO100~200の間] |
ISO感度を調整しても足りない場合 | シャッター速度を遅くする [1/400秒以上をキープ] | 絞りをしぼる [F11~16の間] |
使用しているレンズに手ぶれ補正機能が付いている場合には、三脚を使用しない手持ちでの撮影と、三脚を使用しての撮影では、ONとOFFを切り替える必要があります。
三脚を使用しての撮影では、手ブレ補正をONにしていることで、逆にブレた写真になることがあるので設定には注意をしましょう。
どんなに焦点距離の長い望遠レンズを使用しても、月をカメラの画面いっぱいに撮影することはできないので、撮影した月の写真はスマホや編集ソフトを使ってトリミングをする必要があります。
スマホに限らず編集ソフトでも、トリミングは全て写真を拡大・引き延ばしているだけに過ぎません。
このためどんなに高解像度のレンズやカメラで撮影をした写真でも、トリミングで大きく拡大・引き延ばしをしするほど画質は劣化していくので、画質が劣化し過ぎないギリギリのところを見極めてトリミングをするようにしましょう。
画質が劣化し過ぎないギリギリのところまでトリミングをおこないました。
画面に対して十分な大きさになるまで拡大・引き延ばししましたが、月のクレーターや輪郭がハッキリと確認できる画質を保っています。
月の綺麗な撮り方では、満月をホワイトバランス自動で撮影しましたが、ホワイトバランスを変えたり、満月以外の月を狙うことで、さまざまな表現の月を撮影することが可能です。
ホワイトバランスを変更することで、同じ月でも全く違う印象を与えることが出来ます。
暖かみのある色(暖色系)から哀愁漂う(寒色系)まで自由に色合いを変えることが出来るので、自分にあった色合いを見つけてみるといいでしょう。
撮影後にホワイトバランスを変更したい場合にはRAW形式で写真を撮影。
クレーターがハッキリと見える満月も良いのですが、三日月や半月など満ち欠けのある月を撮ると一味違う雰囲気のある写真が撮れます。
満月と比べると月自体の明るさは暗くなるので、絞りやシャッター速度、ISO感度を変えて明るさの調整が必要です。どうしてもシャッター速度が稼げない場合には三脚を使用すると良いでしょう。
今回撮影したように、三脚も使用すれば標準のキットズームレンズでも十分に月の撮影は可能ですが、解像度が高く焦点距離が長い望遠レンズを紹介します。
キットレンズと比べると最大望遠で焦点距離が250mm→300mmと50mmしか変わらないようにも見えますが、センサーサイズの小さいAPS-C機で使用する場合には400mm→480mmと大きな違いとなります。
焦点距離が約100mm違う上に、キャノンの高級レンズであるLシリーズにも引けを取らないほどのAFの速さと画質の良さ、それに加えて強力な手ブレ補正も付いています。
AFがとても速いので、月の写真だけでなく子供の運動会や野鳥の撮影など幅広いシーンで活躍ができるレンズなので、望遠レンズの交換を考えている人はリストに加えておきましょう。
新月から満月まで様々な顔を月は私たちに見せてくれ、時には皆既月食などの天体ショーなどもあります。
星の撮影とは違って周りの光源を心配する必要もなく、手持ちでも十分に綺麗な写真を撮ることが出来るので、気軽にカメラと望遠レンズを持ち出して、撮影に出掛けてみましょう。
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