冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
圧縮効果とは?!望遠レンズが作り出す不思議な世界を写真に撮ろう
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
デジタル一眼カメラの交換レンズの中で、焦点距離が70mmよりも長いものを望遠レンズと呼んでいますが、みなさんはどんな目的でこの望遠レンズを使った撮影をしていますか?
望遠レンズでの撮影では、圧縮効果使った撮影がオススメですよ。
確かに望遠レンズは物理的、状況的に近づく事ができない景色や被写体を大きく撮ることに向いていますが、実はそれ以外にも圧縮効果という望遠レンズならではの表現方法があるのです。
- 望遠レンズの圧縮効果とは
- 圧縮効果を使った写真の撮り方
- 圧縮効果を使った写真にオススメの被写体
望遠レンズの圧縮効果を使うことで、広角レンズや標準レンズでは決して撮ることができない不思議な世界を写真に撮ることができます。
お手持ちのキット望遠ズームレンズでも十分に圧縮効果は期待できるので、この記事を参考に圧縮効果を使った撮影をおこなってみましょう。
望遠レンズの圧縮効果とは
望遠レンズを使った圧縮効果は、写真に撮る景色の遠近感をなくして被写体同士が密集しているように見える効果です。
花畑や並木道を撮影する場合には、広角レンズを使うよりも望遠レンズを使ったほうが花や木々の密集感を強調することが可能になります。
また手前と奥で異なる被写体(景色)を一緒に撮影することで、上の参考画像のように数km先にあるはずの雪山が、まるですぐ目の前に存在するかのような写真を撮ることができるのです。
圧縮効果を使うと遠近感がなくなって密集感が強調される
圧縮効果は望遠レンズ特有の効果
上の参考画像はどちらも同じ場所で、チューリップの大きさが同じになるように望遠レンズと広角レンズのそれぞれで撮影をしたときの比較です。
1番手前のチューリップを同じ大きさで撮影しているにも関わらず、望遠レンズで撮影した写真の方が周りのチューリップの密集感が強く感じられるのがわかります。
これは望遠レンズは遠近感をなくすことができるレンズで、広角レンズは逆に遠近感を強調することができるレンズという違いがあるからなのです。
望遠レンズ | 広角レンズ | |
---|---|---|
遠近感 | 弱くなる | 強くなる |
密集感 | 強くなる | 弱くなる |
立体感 | 弱くなる | 強くなる |
その他 | 空間を狭く見せる | 空間を広く見せる |
圧縮効果を使った写真の撮り方
- 撮影する景色・被写体から離れる
- ズームレンズの望遠側を使う
圧縮効果を使った写真の撮り方はとても簡単で、撮影をしたい景色や被写体から少し離れて、ズームレンズの望遠側を使って撮影をするだけです。
ちなみに圧縮効果は焦点距離が長くなるほど大きな効果を得られるので、焦点距離250mmや300mmなどを使って撮影をできるくらい景色や被写体から離れてみると良いでしょう。
焦点距離と圧縮効果の違い
このイラストを見てわかるように、景色から離れるほど長い焦点距離で撮影ができるので、奥にある山が大きく写るようになっていきます。
これが焦点距離の長い望遠レンズを使うほど、圧縮効果の影響が強くて手前と奥の景色の遠近感が弱くなり、密集感が強くなるということなのです。
撮影後のトリミングでも圧縮効果と同じ状態が作れる
圧縮効果の原理は、撮影したい景色や被写体から離れて望遠レンズで撮影して遠近感をなくすことなので、すでに撮影をされた写真の中の奥の景色をトリミングすることでも圧縮効果を得ることができます。
上の参考画像のように、広角レンズで撮影した風景の写真から、湖の反対側の景色だけをトリミングすることで、圧縮効果によって背景の山が近くに感じる写真に生まれ変わっています。
レタッチで奥の景色をトリミングすると圧縮効果と同じ状態になる
トリミングは画質の劣化に注意
すでに撮影をした写真であっても、レタッチの段階でトリミングをすることで圧縮効果を得ることは可能ですが、トリミング範囲が大きいほど最終的にな画質は劣化していきます。
どうしてもトリミングで圧縮効果のある写真に仕上げたいという方は、2400万画素を超えるようなん高画素カメラを購入するか、PhotoshopやLuminar Neoで画素数を大きくする調整をすると良いでしょう。
- トリミングするほど画質は劣化する
- 画素数の少ないカメラほどトリミングで画質が劣化する
圧縮効果を使った写真にオススメの被写体
望遠レンズを使った撮影では、上の6つの被写体を狙って撮影をすることで、圧縮効果による密集感やダイナミックさを感じることができる写真に撮ることが可能です。
これまでに私が撮影した写真を作例として紹介していくので、ぜひ参考にして圧縮効果を使った写真撮影を楽しんで下さい。
山と街並み、道路など
大きな被写体の代表格である山と、人間が作り上げた建造物を一緒に望遠レンズで撮影すると、圧縮効果によって山の大きさが強調されるので、ダイナミックさを感じる写真に撮ることができます。
展望台などから遠くの山とその手前の街並みを一緒に撮影したり、や大きな山へと続く道路を一緒に撮影してみると良いでしょう。
山の連なり
登山をする方やロープウェイなどで山の上に行く機会がある方は、周りの山々の連なりを望遠レンズで撮影をすると、圧縮効果によって山の密集感を感じる写真を撮ることができます。
特にかすみで山のシルエットだけが撮影できるような場合には、上の参考画像のような幻想的な印象に撮ることもできるのでオススメです。
\かすみは上手に活かすと幻想的な写真が撮れる/
桜や紅葉の並木道
桜並木や紅葉の並木道などを望遠レンズを使って撮影すると、圧縮効果によって立ち並ぶ木々の密集感を感じる写真を撮ることができます。
この他にも杉並木や、街中のイルミネーションで飾られている並木道なども同じように撮影をすることができるので、季節を問わずに並木道を見つけたら望遠レンズで撮影してみると良いでしょう。
- 春:桜
- 夏:白樺、欅
- 秋:紅葉
- 冬:イルミネーション
撮影の参考になる記事
広い花畑
広大な花畑では望遠レンズを使って一部の景色だけを切り取ると、圧縮効果によって花の密集感が強調されます。
特に人物と一緒に撮影する場合には望遠レンズの圧縮効果を使った方が、より沢山の花に囲まれているような写真を撮ることができるのでオススメです。
月と周りの景色
月が地平線付近にある時は、望遠レンズを使って建物や山と一緒に撮影すると、圧縮効果によってまるでCGのような不思議な写真を撮ることができます。
ただし上の参考画像のような写真を撮るためには、最低でも焦点距離が500mm以上の望遠レンズが必要で、さらには合成の技術も必要な場合があります。
月撮影の合成について
上の参考画像の内「焦点距離600mmで撮影後にトリミング」のような画像は、月の模様が見れる明るさで撮影した写真と、景色が認識できる明るさで撮影した2枚の写真を合成する必要があります。
これは明るい月と暗い夜の景色をカメラが一度に撮影することが出来ないからです。
\今回月の写真に使用したシグマの超望遠レンズは野生動物の撮影にも最適/
まとめ
この記事では望遠レンズでの、圧縮効果という遠近感をなくす効果をご紹介しました。
デジタル一眼カメラは、交換レンズの特性を活かすことでさまざまな表現の写真を撮ることが可能です。
レンズの特性を活かした撮影で、写真の表現を広げてカメラのレベルをさらに上げていきましょう。
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