冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
風景写真がかすむのは何故?かすみの正体がわかれば透明感のある綺麗な写真が撮れる!
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
せっかく綺麗な景色を見にきても、空がかすんでいて遠くの景色がボヤけていることがあります。
こんな日はカメラで写真を撮っても、かすみのせいで青空や木々の緑色までもかすんで写ってしまいますよね。
かすみのある景色
風景写真を撮っている多くの人が悩む風景写真のかすみ。
今回は綺麗な風景をかすみのない透明感のある写真に撮るための、対策や方法と逆にかすみのある景色を活かした印象的な写真の撮り方をご紹介していきます。
- かすみの正体
- かすみのない写真の撮り方
- かすみを活かした写真の撮り方
これまで風景の撮影でかすみに頭を悩ませていたという方は、この記事を参考に透明感のある綺麗な写真やかすみを活かした写真を撮っていってください。
かすみの正体
空のかすみの正体は、主に空気中の水蒸気やチリ・ホコリが原因となっています。
太陽光が空気中の水蒸気やチリ・ホコリに当たると、太陽光の中の白い光だけを散乱させてかすみとして私たちの目に見えています。
また遠くの景色になるほど私たちと景色の間に水蒸気やチリ・ホコリが多くなるので、近くの景色よりも遠くの景色ほどかすんで見えるようになります。
かすみについて
- 空気中に水蒸気やチリ・ホコリが多いと発生
- 近くよりも遠くの景色ほどかすみが濃くなる
かすみが出やすい季節や時間
季節・時間帯 | 原因 | 理由 |
---|---|---|
春 | 水蒸気 | 植物が出す水蒸気 |
夏 | 水蒸気 | 高い気温による水分の蒸発 |
日中〜夜 | チリ・ホコリ | 人間の活動 |
かすみは、空気中に水蒸気が多くなりやすい春から夏の間に発生しやすくなります。
また人間が活動をおこなう日中から深夜までの間も、空気中にチリやホコリが舞っているのでかすみが発生しやすい時間帯となります。
この他に日本の春先によく出る中国からの黄砂も、かすみがでる原因のひとつになります。
かすみのない写真の撮り方
自然現象が相手のかすみですが、かすみのない透明感のある風景写真を撮るためにはこの7つの対策と方法があります。
それぞれ撮影したい景色や表現によって取れる対策と方法が違うので、自分自身にあった対策と方法を選んで撮影していきましょう。
近くの景色だけを撮る
空がかすんでいる日には、かすみの影響が少ない近くの景色だけを切り取った風景写真を撮影するのがオススメです。
上の2枚の写真を比較するとわかりやすいのですが、右側の参考写真のように近くから遠くの景色を撮影した場合には遠くの景色になるほどかすみが濃くなっています。
かすみがで遠景をぼやかすのはOK
ちなみにこちらの参考写真のように副題である遠景(山並み)がかすんでいると、広大な山岳景色を撮影しながらも主題である近景色(カラ松の紅葉)に上手く視線を誘導する写真に仕上げることも可能です。
秋か冬に撮影
空気が乾燥する秋と冬は空気中の水蒸気が少なくなるので、かすみが発生しにくく比較的に透明感のある写真を撮りやすいです。
特に冬場は朝夕と日中の気温差が少なく気温も低いため、日中に蒸発する水分が少なく一年の中で1番空地が澄んでいる季節になります。
秋・冬でも日中は遠景がかすむことも
いくら空気が澄んでいる秋・冬と言っても、天気が良い日中には太陽光で温められて発生する水蒸気や人間の活動によるチリやホコリが中に舞うので、かすみが発生して遠くの景色ほど透明感がなくなります。
日の出直後に撮影
人間の活動が活発になる前である日の出直後は、空気中にもまだチリやホコリが少なく比較的かすみ少ない澄んだ写真が撮れます。
深夜から日の出までの間に空気中のチリやホコリが地面に落ちるので、人間が活動を続けている夕焼けよりも朝焼けの方が澄んだ写真が撮れるのです。
早朝は霧や雲海のチャンス
季節にもよりますが前日に雨が降っていて、当日の天気が良い日には比較的に高い確率で霧や雲海が発生することがあります。
ちなみに上の参考写真はNDフィルターを使って雲海の動きを撮影したもので、早朝を選んで風景の撮影をするとこのような絶景にも出会えるのでぜひ朝早くからカメラを持って出かけてみて下さい。
撮影の参考になる記事
順光で撮影
日中の撮影では太陽を背にする順光で撮影すると、比較的かすみの少ない澄んだ写真を撮ることが可能になります。
上の2枚はどちらも同じ時間の同じ山頂から撮影した写真ですが、太陽のある方向(逆光)よりも太陽のない反対側(順光)の方が空気が澄んで見えます。
どうしても日中に風景撮影をしたい時には、太陽の位置を意識して撮影してみるといいでしょう。
撮影の参考になる記事
C-PLフィルターを使って撮影
C-PLフィルターを使うと、空のかすみを軽減して写真を撮ることが可能になります。
C-PLフィルターには光の乱反射を減らす効果があるので、季節や時間帯に関係なくいつでもかすみの少ない写真を撮ることができます。
ただし太陽の位置はとても重要でサイド光での撮影になるほどその効果は強くなり、順光と逆光ではC-PLフィルターは効果を発揮できません。
- サイド光 → かすみを多く軽減できる
- 順光、逆光 → かすみをほとんど軽減できない
曇りの日に撮影
そもそも曇りの日には太陽光が弱くて、空気中の水蒸気やチリ・ホコリによる光の散乱が起きにくいので、比較的にかすみの少ない写真を撮ることが可能です。
また曇りの日だからこそ綺麗に撮ることができる景色や被写体も存在するので、晴れの日ばかりに撮影に出かけるのではなく、曇りの日にもカメラを持って出かけてみましょう。
撮影の参考になる記事
レタッチソフトでかすみの除去
上の比較は撮影の段階でかすみが残った写真を、Lightroomのかすみの除去機能を使って仕上げた写真との比較になります。
撮影の段階でどうしてもかすみが残ってしまうという場合は、撮影後のレタッチでかすみの除去をおこないましょう。
一般的な写真レタッチソフトのLightroomにもかすみを除去する機能が付いているので、ぜひ使用してみてください。
かすみを活かした写真の撮り方
かすみのある風景は透明感のないボヤけた写真になりやすいですが、撮り方次第では幻想的な雰囲気の写真に撮ることも可能です。
特に太陽光の色が黄色やオレンジ色になる夕方に逆光で撮影をすると、なんとも言えない幻想的な雰囲気の写真に撮ることができるので、かすみを活かした写真の撮り方も覚えておくといいですよ。
かすみを活かした写真が撮れるシチュエーション
かすみが出ている場合でも、次のようなシチュエーションでは、かすみを活かした綺麗な写真を撮ることが可能です。
この2つの条件を意識することで、かすみを活かした幻想的で綺麗な写真を撮ることができるようになります。
逆光や半逆光での撮影になる風景
かすみのある日は逆光や半逆光を利用して撮影をすると、かすみを活かした幻想的な雰囲気の写真を撮ることができます。
かすみが発生している箇所は白くぼやけて景色や被写体がぼんやりとした印象になるので、近景に主題となる景色を持ってくると上手く視線誘導のできる印象的な写真に仕上がります。
半逆光での作例
上の写真はマジックアワーよりも少し前の夕暮れ時に撮影したもので、遠景の山々がかすみで適度にぼやけていることで、主題となる崖っぷちに立つ人に視線を誘導しやすくなっています。
日中よりも夕暮れ時の撮影がオススメ
仮にこの写真がかすみのないカリッとした仕上がりの場合には、遠景である山々の存在感が強くなるので、どこに注目するべきか迷う作品になりけかねません。
山並みなどのレイヤーがある風景
かすみが発生している日は山並みなどたくさんのレイヤーがある風景を狙うと、山並みの輪郭をシルエットとして切り撮ることが可能になります。
特に逆光や半逆光を利用するとより印象的なシルエット風の写真を撮影できるので、かすみが濃い日には山並みを探して撮影をしてみましょう。
レイヤーのたくさんある作例
上の写真はかすみが発生してる山のレイヤーとかすみのない近景を一緒に撮影した写真です。
写真の中にレイヤーがあることで、写真の奥にいくに従って徐々にかすみが濃くなっていくのがよくわかる写真になっています。
レイヤーによるかすみの濃淡も写真表現の1つ
朝焼けや夕焼けの時間は黒つぶれに注意
太陽の位置が低く構図の中に太陽が入り込んでくるマジックアワー(朝焼けや夕焼け)での撮影は、シャドー部分が黒つぶれしないように気をつけましょう。
明るい空とは反対に地面の景色はとても暗くなるので、露出補正をプラスに設定してハイキー気味で撮影するか、ハーフNDフィルターを使って構図の中の明暗差を少なくしてあげると良いでしょう。
撮影の参考になる記事
かすみを活かした写真を撮るポイント
この2つがポイントを意識してカメラの設定やレンズ選びをすることで、より印象的なかすみを活かした写真を撮ることが可能になります。
強いコントラストで輪郭と濃淡を強調
かすみを活かして山並みのレイヤーを撮影する際には、ピクチャースタイルでコントラストを上げて(強くして)撮影すると山の輪郭を強調することができます。
またコントラストを強くすることで写真内の明暗差も強くなるので、かすみ具合の濃淡もハッキリとしてくるのでオススメです。
ピクチャースタイルはCanonでの名称
カメラ内での簡易的なレタッチ(編集)機能を、Canonのデジタルカメラでは「ピクチャースタイル」と呼んでいますが、カメラメーカー毎でその名称は異なります。
各メーカーで呼び方は変わりますが、機能しとて出来ることは基本的にどのメーカーでも同じです。
- キャノン:ピクチャースタイル
- ニコン : ピクチャーコントロール
- ソニー : クリエイティブスタイル
- オリンパス : 仕上がりモード
望遠レンズで遠景を切り取る
かすみは近くよりも遠くの景色の方が濃くなるので、望遠レンズを使ってかすみが濃い遠景を狙いましょう。
かすみの濃い遠景を切り取ることで、景色や被写体の輪郭を活かしたシルエット風の写真を簡単に撮ることが可能になります。
仮にかすみの薄い近景だけを切り取ってしまうと、中途半端に景色や被写体のディテールが保たれた、ただぼんやりとした雰囲気の写真になりやすいので注意しましょう。
かすみのある写真はざらつき感に注意
かすみの正体は空気中の水蒸気やチリ・ホコリに反射して散乱した太陽光なので、基本的には太陽光に反射した空気中の水蒸気やチリ・ホコリがノイズのようにざらつき感として写真に写ります。
このざらつきは自然風景そのものを撮影しているので厳密にはノイズと違いますが、ざらつき感がノイズのようで気になるという方は撮影後にノイズ除去ソフトなどを使用すると良いでしょう。
オススメはPureRaw
私のオススメは普段から使用している「DxO PureRaw」というノイズ除去専用のソフトで、特に専門的な知識も必要なく誰でもボタン操作数回で綺麗にノイズ・ざらつき感を除去することが可能です。
使用方法や実際にノイズ除去した時の違いなどは、「DxO PureRawで綺麗に写真のノイズ除去!その効果と使い方を作例と共にご紹介」で解説しているので一度チェックしてみてください。
まとめ
- かすみの正体は空気中の水蒸気やチリ・ホコリ
- かすみのない写真を撮るためには秋や冬を選ぶ
- かすみを抑えて撮影するためには日の出直後を狙う
- かすみのある日でも順光で撮ると少しマシになる
- C-PLフィルターでかすみを抑えることが可能
- かすみを活かした撮影方法がある
写真全体が白っぽくなってしまい、風景写真にとっては大敵とも思える空のかすみ。
かすみが発生する原因を知ることで、透明感のある風景や限りなくかすみを抑えた写真を撮ることが可能になります。
またかすみをうまく活かした写真の表現もあるので、かすみがあるからと諦めるのではなく事前の準備やその場での対策を上手くおこなって、素敵な風景写真を撮影していきましょう。
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