冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
朝日や夕日を目で見た通り綺麗に撮りたい!そんな時に試したい2つの設定とおまけ
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
綺麗な朝日や夕日を見ることができるマジックアワーは、普段見ている景色でさえも幻想的に変えるとても魅力のある時間帯です。
しかしそんな綺麗な朝日や夕日もいざデジタル一眼カメラで撮ってみると、大きな明暗差のせいで「空以外は暗く写ってしまう」なんてことがほとんどではないでしょうか。
よくある残念な写真
私たち目には空も地面も綺麗に見えているのに、なぜかカメラでは同じように写真に撮ることができないという方は、この記事で紹介する2つの設定で撮影をおこなってみましょう。
- 朝日や夕日の撮影が難しい理由
- 朝日や夕日でのカメラの設定
- 上級者向けの撮影アイテムと合成アイディア
パソコンを使ったレタッチができないという方や、jpeg撮って出しにこだわっている方でも、目で見ている光景に近い写真を撮ることができるようになりますよ。
朝日や夕日の撮影が難しい理由
朝日や夕日の撮影で空以外が暗くなってしまうのには、カメラのダイナミックレンジが関係しています。
ダイナミックレンジとは、私たち人間の目やカメラが一度に写し出すことができる明るさの範囲を示していて、このダイナミックレンジは範囲が広いほど暗い場所から明るい場所までを一度に写し出すことが可能になります。
このため朝日や夕日を撮影するような、空と地面の明るさに大きな違い(明暗差)がある撮影シーンでは、広い範囲のダイナミックレンジが無いと地面が暗く写真に写ってしまうのです。
狭いダイナミックレンジの場合
カメラのダイナミックレンジは範囲が狭いので、上の写真のように綺麗な空に明るさを合わせると、どうしても地面が暗く写ってしますのです。
ちなみに私たち人間の目はカメラよりも遥かに広範囲のダイナミックレンジを持っているので、カメラで目で見たままの光景に写そうとすると、どうしても難しく感じてしまうのです。
カメラのダイナミックレンジを理解する
実際に明暗差が大きい朝日や夕日を撮影する環境では、目で見ている景色とカメラで撮れる写真にこのような違いが現れています。
目とカメラで写る夕日の違い
上の2枚の比較のように朝日や夕日が見れる景色では、誰もが目で見でみている光景とカメラに写る光景に大きな違いがあるという経験をしていると思います。
これはまさにカメラのダイナミックレンジが人間の目よりも遥かに狭いことを示して、明暗差の大きな環境で撮影をする際には、明るい空か暗い地面のどちらかにしか露出を合わせることができない事がわかります。
通常のカメラの設定では、暗い地面の景色か明るい空の色のどちらかを犠牲にして撮影することになる
地面に明るさを合わせると空が白っぽくなる
ちなみに暗い地面に明るさを合わせて撮影すると、もともと明るい空がさらに明るくなるので、朝焼けや夕焼けの色は薄くなり全体的に白っぽい空に写ってしまいます。
地面に明るさを合わせた場合
このように通常のカメラの設定では、ダイナミックレンジの関係で人間の目で見ているような綺麗な夕日をカメラで撮ることが難しいのです。
そんな撮影が難しい朝日や夕日ですが、デジタル一眼カメラの設定を正しくおこなうことで、明暗差が大きい朝日や夕日の撮影でも目で見ている光景に近い写真を撮る撮ることも可能になります。
朝日や夕日を綺麗に撮る2つのカメラの設定
明暗差が大きい朝日や夕日を目で見ているような光景で写真に撮るためには、撮影の段階で次の2つの設定をおこなう必要があります。
たったこの2つの設定をおこなうことで、撮影後のレタッチに頼ることなく目で見ている光景に近い朝日や夕日の写真を撮ることも可能になります。
ピクチャースタイルでコントラストと彩度を調整
ピクチャースタイルは、撮影する写真に対してカメラ内で簡易的に編集を加えるための設定で、この設定内で「コントラスト」と「彩度」の2つを調整することで、写真内の明暗差を小さくすることが可能になります。
- コントラスト → 下げる
- 彩度 → 上げる
「コントラスト」を下げることで写真の明暗差は小さくなりますが、その分写真の色が薄くなってしまうので、「彩度」を上げて写真の色を見た目通りに戻してあげましょう。
ピクチャースタイルの効果
上の2枚は、ピクチャースタイルで「コントラスト」と「彩度」をそれぞれ調整した写真と、ピクチャースタイルを何も調整していない写真の比較です。
ピクチャースタイルの調整ひとつで、暗くなり過ぎていた地面の景色が認識できるようになっているのがわかります。
ピクチャースタイルはキャノンでの名称
ちなみにピクチャースタイルとはキャノンのカメラでの名称であり、他の各メーカーでは違う名称で呼ばれているので、お持ちのカメラでピクチャースタイルに相当する機能を調整していきましょう。
- キャノン → ピクチャースタイル
- ニコン → ピクチャーコントロール
- ソニー → クリエイティブスタイル
- オリンパス → 仕上がりモード
明暗差とコントラストの関係性
コントラストとは明るさや色の対比を意味しているので、写真内の明暗差はそのままコントラストとして置き換えることもできるのです。
このためピクチャースタイルを使ってコントラストを下げる(弱める)ことで、写真内の明暗差を少なくすることができるのです。
コントラストを上げるとシルエット撮影が可能
朝日や夕日の撮影では、大きな明暗差を活かしてシルエット撮影をおこなうのもオススメです。
目で見ている光景をそのまま撮る以外にも、カメラの狭いダイナミックだからこそ撮ることができる、明暗差を活かしたシルエット撮影を試してみると良いでしょう。
そして写真の明暗差が足りない時には、ピクチャースタイルでコントラスト上げるといいでしょう。
- コントラスト → 上げる
- 彩度 → 下げる
ちなみにコントラストを上げると写真の色は濃くなるので、その場合は彩度を下げて色の濃さを調整してあげましょう。
- 特徴的な形の被写体がある
- 被写体の背景が明るい空また水面など
高輝度側・階調優先をオンにする
高輝度側・階調優先は、撮影する写真の高輝度側(明るい部分)の階調(色のグラデーション)を豊かにする機能です。
少し難しい言葉に聞こえますが簡単に言い換えると、写真内の明るすぎる部分を真っ白ではなく景色として写すことができる機能なので、地面に明るさを合わせても空部分を見た目に近い状態で撮ることが可能になるのです。
高輝度側・階調優先の作例
タブの切り替えで比較可能
上の2枚は、地面に明るさを合わせた状態で「高輝度側・階調優先」をオンにした写真と、オフにした写真の比較になります。
「高輝度側・階調優先」をオンにして撮影することで、高輝度側(この写真では明るい空)を少し暗く調整して綺麗な夕焼けを撮ることができています。
高輝度側・階調優先はキャノンでの名称
ちなみに高輝度側・階調優先とはキャノンのカメラでの名称であり、他の各メーカーでは違う名称で呼ばれているので、お持ちのカメラで高輝度側・階調優先に相当する機能を調整していきましょう。
- キャノン → 高輝度側・階調優先
- ニコン → アクティブD-ライティング
- ソニー → Dレンジオプティマイザー
- オリンパス → 階調
上級者向けの撮影アイテムと合成アイディア
Raw現像で普段からレタッチをおこなっている方、またはより綺麗に見た目通りの朝日や夕日の写真を撮りたいという方は、次の2つを試してみると良いでしょう。
朝日や夕日のように明暗差が大きな環境での撮影または撮影した写真のレタッチには、「ハーフNDフィルター」や「HDR合成」を使用することで、より綺麗な仕上がりの写真を撮ることが可能になります。
ハーフNDフィルターを使った撮影
ハーフNDフィルターは、フィルターの半分だけに減光効果のあるNDフィルター加工がされているフィルターです。
写真の一部分だけを減光(暗く)することができるので、明るい空と暗い地面の明暗差を少なくした状態で撮影が可能になるのです。
ハーフNDフィルターの作例
タブの切り替えで比較可能
上の比較のように明るい空の部分に合わせてハーフNDフィルターを使用することで、地面の明るさを保ったまま夕焼け空を綺麗な明るさで撮影することが可能になるのです。
ハーフNDフィルターは夕日や夕焼けの撮影以外でも、明暗差の大きな景色の撮影でとても大きな効果を発揮してくれるとても便利なフィルターです。
この機会にハーフNDフィルターの購入を検討してみたいという方は、『ハーフNDフィルターとは?!風景写真をより綺麗に撮れるハーフNDフィルターの基礎知識!!』を読んで自分に合ったハーフNDフィルターを選んでみると良いでしょう。
長時間露光もするならStandard setがオススメ
私が愛用しているStandard setには、NDフィルターのND64とND1000に加えてCPLフィルターも付属しているので、逆光での撮影以外にも滝や波打ち際の撮影から、日中の長時間露光撮影もおこなうことができるようになります。
HDR合成でのレタッチ
HDR合成とは「ハイダイナミックレンジ合成」のことで、明るさの違う複数の写真を合成して人間の目で見た光景に近い写真を作り出す技術です。
ダイナミックレンジが狭いカメラでも、「地面の明るさに合わせた写真」「空の明るさに合わせた写真」「地面と空の中間の明るさに合わせた写真」といったそれぞれの明るさに合わせた写真を1枚に合成することで、明暗差の少ない写真を作り出すことが可能になるのです。
HDR合成の作例
タブの切り替えで比較可能
上の2枚の比較のように、HDR合成をすることで明るい空から暗い地面までを最適な明るさにすることが可能になります。
ただし一般的なソフトを使ったHDR合成では全く同じ画角で撮影した写真が複数必要になるので、三脚などにカメラを固定して撮影する必要があり、すでに1枚だけで撮影してしまった写真や構図がズレた写真は HDR合成をすることができません。
これまでに撮影した写真など1枚しかない写真からでもHDR合成をおこないたいという方は、Luminar Neoの拡張機能である「HDRマージ」を検討してみると良いでしょう。
まとめ
綺麗な朝日や夕日を見ることができるマジックアワーは、写真を撮っている全ての方にとって魅力的な写真を撮る絶好の時間帯です。
しかしカメラで写真を撮るには、ダイナミックレンジの関係でどうしても写真に大きな明暗差が生まれてしまうので、「ピクチャーコントロール」や「高輝度側・階調優先」機能を上手く使いこなして撮影していきましょう。
- ピクチャースタイルでコントラストを下げる
- ピクチャースタイルで彩度を上げる
- 高輝度側・階調優先をオン
撮影した写真を現像ソフトでレタッチすることもできますが、カメラで撮る段階で綺麗に仕上げられるようになると、レタッチをより綺麗におこなうことが可能になりますよ。
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