冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
知れば納得、適正露出と標準露出の違い!!
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
みなさんは写真の明るさを表現する「標準露出」と「適正露出」、この2つの用語を聞いたことはありますか?
「標準露出」と「適正露出」はどちらも写真を撮る時の露出(明るさ)を表す言葉ですが、それぞれに違った意味が存在しています。
- 標準露出と適正露出の違い
- 標準露出で撮る写真
- 適正露出で撮る写真
どちらの用語も知らなくても撮影をすることは可能ですが、このブログを始め多くのカメラについての記事や動画では「適正露出」という単語が出てくるので、カメラをもっと上手くなりたい方は2つの意味の違いを把握しておきましょう。
標準露出と適正露出の違い
- 標準露出 → カメラが自動で決める明るさ
- 適正露出 → 撮影者本人が最適だと感じる明るさ
デジタルカメラで写真を撮る時には、自分で特に意識をしていなくても目の前の光景と同じような明るさで写真を撮ることが可能です。
これはマニュアル以外の撮影モードを使用している場合に、「測光」という機能がレンズから入ってくる光の量を測定して、カメラが自動的に標準露出(周りの環境と同じような明るさ)になるように露出を設定しているからなんです。
露出は3つの要素のバランスで決まる
露出とはイメージセンサーに取り込む光の量を示す言葉で、そのまま写真の明るさに影響します。
この露出(明るさ)は「絞り」「シャッター速度」「ISO感度」の3つの要素のバランスで決定しているのですが、この仕組みを知らなくても撮影ができるのはデジタル一眼カメラが自動的にバランスを調整してくれているからなのです。
標準露出=適正露出ではない
上の比較は同じ景色をカメラが自動で決めた露出の「標準露出」と、撮影者(私)が最適だと感じた露出「適正露出」で撮影した写真の比較になります。
このように「標準露出」と「適正露出」ではそれぞれに写真の明るさに違いが出るのですが、これは「標準露出」がある一定の基準で機械的にカメラが決定する露出(明るさ)と、「適正露出」が撮影者の感性によって決定する露出(明るさ)という違いがあるからです。
露出決定の違い
- 標準露出 → 環境の明るさに近づくようにカメラが露出を決定
- 適正露出 → 撮影者個人の感性によって自分で露出を決定
上のイラストは「標準露出」と「適正露出」それぞれで露出を決めるときの判断基準をイメージ化したものです。
このようにカメラが自動で決める露出が「標準露出」であり、この標準露出は撮影者が最終的に「適正露出」を決定する時の判断材料となるのです。
このためカメラが自動で決めた「標準露出」がそのまま撮影者にとっての「適正露出」になることもあれば、撮影者によって最適だと感じる明るさ(適正露出)に調整してから撮影をすることもあります。
標準露出と適正露出それぞれの撮影方法
カメラが自動で決める「標準露出」と撮影者が自分で決める「適正露出」は、それぞれ次のような方法で撮影をすることが可能です。
- 標準露出 → 全自動または半自動の撮影モードを使用
- 適正露出 → 半自動の撮影モード+露出補正または手動の撮影モードを使用
露出の決め方 | 対象の撮影モード [カメラ上での表記] |
全自動 | フルオート [ A / Auto / i / AUTO ] |
半自動 |
プログラムオート 絞り優先 シャッター優先 |
手動 | マニュアル [ M ] |
それぞれで撮影できる写真の特徴も解説していくので、撮影シーンや自分のレベルにあった方法で撮影をしていきましょう。
標準露出での撮影方法
標準露出での撮影には「測光」という機能が働く全自動または半自動で露出の決定が可能な撮影モードを使用します。
これら4つの撮影モードのどれか1つを使って撮影をすると、シャッターを半押しにするだけで自動的に、カメラが目の前の光景と同じような明るさの「標準露出」になるように露出を決定してくれます。
標準露出で撮るメリット・デメリット
- 初心者にとっては写真の明るさの基準がわかる
- 失敗写真を減らすことができる
- 撮影者が最適だと思う明るさで撮れない
- 印象的な写真になりづらい
- カメラが上達しない
カメラが自動的に決める標準露出での撮影でもそれなりに適切な明るさの写真を撮ることが可能なので、カメラを始めたばかりの方にとっては写真を撮る時の露出をどのくらいの明るさにするべきかの基準がわかるようになります。
また真っ白な部分や真っ暗な部分もなく撮影ができるので、旅行中などでとりあえず観光写真を撮りたい時などには、たくさん撮影をしていても失敗写真を少なくできるメリットがあります。
ただし標準露出はあくまでもカメラ(正確には各カメラメーカー)の基準で明るさで撮影するため、いつまでも頼り切っているとカメラが上達することはないので、少しずつ撮影者が最適だと感じる明るさの適正露出で撮影ができるようになっていくと良いでしょう。
測光モードで標準露出の精度を上げよう
標準露出で撮影をする時には、露出を決定する際に機能する「測光モード」を撮影する環境に最適な設定にすることで、より正確な明るさで撮影をすることが可能になります。
特に被写体や景色の後ろから太陽の光やライトがあたる逆光の撮影では、この測光モードの選択がとても重要になるので、下のリンク記事から測光モードの使い方と選び方を確認しておきましょう。
適正露出での撮影方法
適正露出での撮影にはカメラ自動で決めた「標準露出」を後から露出補正という機能で調整が可能な撮影モードか、初めからカメラに頼らず自分で露出を決定できるマニュアルモードを使用します。
プログラムオート、絞り優先、シャッター優先モードのどれか1つを使って撮影をする際には、シャッタ半押しで1度カメラが標準露出を決定するので、「露出補正」機能を使って自分が感じる適正露出になるように調整をしましょう。
マニュアルモードで撮影をする際には、撮影者であるあなた自身が「絞り」「シャッター速度」「ISO感度」の3つの要素をバランスよく組み合わせて適正露出を決定していきます。
初めのうちは難しく感じますが、慣れてくると適正露出での撮影が1番簡単なのがこのマニュアルモードなので、カメラをもっと上手くなりたい方はぜひマニュアルモードでの撮影に少しずつ挑戦していきましょう。
適正露出で撮るメリット
- 写真の印象を明るさでコントロールできる
- 写真でしか撮れない表現ができる
適正露出で撮影をするということは、撮影者であるあなた自身が綺麗だと感じる明るさで目の前の景色や被写体を撮れるということです。
このため実際の明るさよりもさらに明るく撮影して写真に「柔らかさ」や「幻想的」な印象を与えることも、逆に暗めに撮影をして「重厚感」や「静けさ」を表現することも可能になります。
明るめの適正露出
上の2枚はどちらも実際よりも明るめに適正露出を決定して撮影した写真で、それぞれの写真で「霧の出ている森の神秘さ」と「ひよこの柔らかさ」を写真に表現することができています。
暖かい、明るい、ふんわり、柔らか、幻想的、さわやか
暗めの適正露出
上の2枚はどちらも実際よりも暗めに適正露出を決定して撮影した写真で、それぞれの写真で「空を覆う雲の重厚感」と「苔むす庭園の静けさ」を写真に表現することができています。
冷たい、暗い、重厚的、硬い、厳か、静か、かっこいい、渋い
適正露出で撮るデメリット
- 初めのうちは露出の調整が難しい
露出補正やマニュアルモードでの撮影で自由に露出を調整できるまでは、どれが最適な露出なのか判断が難しく、結果的には標準露出で撮影する方が良い写真になることもります。
ですが写真の感性はこういった自分のイメージと実際に撮れる写真の違いを把握することで、少しずつ磨かれていくものなので諦めずに何度も挑戦を続けていくと良いでしょう。
カメラは人間の目には勝てない
どんなに適正露出での撮影に慣れていても、朝焼けや夕焼けなど明暗差がとても大きな環境では実際の明るさで撮影をすることが困難になります。
これはカメラと私たち人間の目が1度に把握できる明るさの範囲(ダイナミックレンジ)の違いが原因で、簡単にいってしまうと人間の目はカメラよりも広い範囲で明るさを認識できるということです。
ダイナミックレンジの比較
タブの切り替えで比較可能
上の比較はカメラと人間の目のダイナミックレンジを画像として比較したもので、このような夕焼けで景色の中に大きな明暗差が存在する場合、カメラでは人間の目で見ているような明るさでは撮影ができないのです。
HDR合成で目で見ている明るさに近づける
ちなみに比較写真(人間の目の場合)用の写真は、HDR合成という技術を使って限りなく私たちが見ているのと同じ明るさになるように仕上げた写真になります。
ただし一般的なソフトを使ったHDR合成では全く同じ画角で撮影した写真が複数必要になるので、三脚などにカメラを固定して撮影する必要があり、すでに1枚だけで撮影してしまった写真や構図がズレた写真は HDR合成をすることができません。
これまでに撮影した写真など1枚しかない写真からでもHDR合成をおこないたいという方は、Luminar Neoの拡張機能である「HDRマージ」を検討してみると良いでしょう。
まとめ
最近のデジカメは細かい設定をしなくても綺麗な写真を撮れるようになっていますが、カメラ任せで撮る「標準露出」の写真は、あくまでもカメラ(各カメラメーカー)が判断する明るさでしか撮影ができません。
標準露出で撮る写真が自分の撮りたいイメージと違う場合には、自分のイメージにあう「適性露出」になるように露出補正をするか、マニュアルモードでの撮影にチャレンジしていきましょう。
質問・コメント