冬にしか撮れない、雪景色のカメラでの綺麗な撮り方を学びましょう!
太陽の光の種類を知ろう!風景写真を上手く撮るための光の扱い方とは
こんにちは、カナダ在住の風景写真家Tomo(@Tomo|カナダの風景写真)です。
みなさんは普段写真を撮るときに、太陽の向きや太陽の光の性質といった種類を意識して撮影をしていますか?
太陽の光の種類は、どんなジャンルの写真でも大切な要素ですが、風景写真での撮影でも写真の印象や雰囲気を決定するとても重要な要素の1つとなっています。
太陽の光の種類での写真の雰囲気の違い
太陽の光の種類を意識していると、色鮮やかな写真も幻想的な写真も思い通りに撮ることができるようになりますよ。
- 太陽の光の種類(向きと性質)
- 順光、サイド光、逆光それぞれの光の向きの特徴
- 強い光、弱い光、柔らかい光それぞれの光の性質
この記事で太陽の光の種類と、それぞれの太陽の光で撮ることができる写真の特徴を知ることで、晴れの日の日中以外の朝夕や曇りの日など、どんな天気や時間帯でも素敵な写真を撮ることができるようもなれますよ。
太陽の光の種類(向きと性質)
太陽の光には、太陽の光の向きと太陽の光の性質という、主に2つの種類が存在していて、これら2つの種類をさらに細かく知ることで、それぞれの太陽の光を活かした写真を撮ることが出来ようになります。
- 太陽の光の向き → 太陽の光が被写体・景色に当たる向き
- 太陽の光の性質 → 太陽の光の強弱や色味
太陽の光の向きと性質の2つは、とても密接に関係して風景写真の印象や雰囲気を決定します。
その日その場の太陽の光の種類を判断して、その太陽の光で撮れる最高の1枚が撮影できるようになっていきましょう。
基本の3つの太陽の光の向きとその他
太陽の光の向きは、基本となる「順光」「サイド光」「逆光」の3つに加えて、基本の3つの中間に位置する「半順光(斜光)」「反逆光(斜光)」と特殊な「トップ光」の3つをあわせた6つが存在しています。
太陽の光の向き
基本となる「順光」「サイド光」「逆光」の3つの光を特徴を知ることで、その中間に位置する「半順光(斜光)」「反逆光(斜光)」の特徴や効果的な写真の撮り方も知ることができるので、順を追ってそれぞれの光の向きを理解していきましょう。
順光の特徴
順光は景色に対して正面から太陽の光が当たる向きで、主に「影ができづらい」「色が濃く出る」といった特徴があります。
夏の綺麗な青空や木々の緑色、花の色鮮やかな色彩を撮るのに適しているのが、順光の大きなメリットですが、その反面で影がなく立体感に欠ける観光写真のような印象になるデメリットがあります。
順光で撮る写真
上の写真は順光を使って撮影した写真で、景色の正面から当たる光の影響で、青空や木々の緑色、湖の青色が綺麗に表現されているのが分かります。
ただしその反面で、影が少ないことが原因で観光ガイドやポストカードのような印象の写真に、仕上がっているのがわかるかと思います。
- 青空を綺麗に撮れる
- 景色の色彩がハッキリと濃く撮れる
- 陰影がない平坦な写真になりやすい
- 観光写真やポストカードのような写真になりやすい
サイド光の特徴
サイド光は、景色に対して横から太陽の光が当たる向きで、主に「陰影ができる」「コントラストが強い」といった特徴があります。
景色の左右どちらかから当たる太陽の光の影響で、景色にハッキリとした陰影ができるので、立体感やメリハリのある写真を撮ることができるメリットがありますが、その反面で細かい陰影が多くできると、見ていて疲れる写真になるデメリットがあります。
サイド光で撮る写真
上の写真は、それぞれサイド光を使って撮影した写真で、「サイド光の良い例」の方では、景色の横から当たる光が作る陰影によって、岩山の立体感が表現された写真に仕上がっているのがわかります。
ただし「サイド光の残念な例」のように、多くの木々の細かい陰影が目立つと、陰影で目がチカチカして見ていて疲れる写真になってしまうことがあります。
- 景色に陰影ができる
- 景色に立体感やメリハリが生まれる
- 細かい陰影が多いと目が疲れる写真になる
逆光の特徴
逆光は、景色の後ろから太陽の光が当たる向きで、主に「柔らかな印象になる」「幻想的なイメージになる」「透明感が出る」という特徴があります。
景色の後ろから当たる太陽の光の影響で、景色は影となりその周辺に漏れる光が幻想的なイメージを作り上げたり、影となってしまう景色を明るくなるように露出補正することで、全体的に明るくコントラストの弱い、柔らかな印象の写真に撮ることができるメリットがあります。
ただしその反面で、写真の明るさを調整するのが最も難しく、白とびや黒つぶれのある失敗写真になるリスクがあるというデメリットがあります。
逆光で撮る写真
上の写真は、それぞれ逆光を使って撮影した写真で、「柔らかく透明感がある写真」は花に露出を合わせることで全体的に柔らかな印象で、太陽の光が花びらを透過した透明感が加わった写真に仕上がっているのがわかります。
また「幻想的なイメージの写真」の方では、景色の後ろから当たる光が砂埃に反射して、現像的なイメージの写真に撮れています。
- 幻想的なイメージになる
- 柔らかな印象になる
- 透明感が出る
- 白とびや黒つぶれのリスクがある
半順光(斜光)の特徴
半順光(斜光)は、景色に対して斜め前から太陽の光が当たる向きで、「色が濃く出る」「適度な陰影ができる」といった特徴があります。
色が濃く出る順光と、陰影をつくるサイド光の良いところだけをかけ合わせたのが半順光(斜光)なので、色彩豊かな景色を撮影するのに最も適していると言えます。
半順光(斜光)で撮る写真
上の写真は半順光(斜光)を使って撮影した写真で、景色の斜め前から当たる太陽の光の影響で、青空と木々の緑色が濃くハッキリと写し出されて、さらに適度な陰影が景色の立体感を再現してくれているのがわかります。
- 色が濃くハッキリとする
- 陰影ができて立体感が生まれる
半逆光(斜光)の特徴
半逆光(斜光)は、景色の斜め後ろから太陽の光が当たる向きで、「柔らかな印象になる」「幻想的なイメージになる」「透明感が出る」「立体感が生まれる」といった特徴があります。
陰影によって立体感を生むサイド光と、幻想的・柔らか・透明感といった効果を生む逆光の良いところをかけ合わせたのが半逆光(斜光)なので、立体感のある幻想的な写真や、立体感と透明感のある写真など印象的な写真を撮るのに適しています。
半逆光(斜光)で撮る写真
上の写真は半逆光(斜光)を使って撮影した写真で、景色の斜め後ろから当たる太陽の光の影響で、適度な陰影が生む立体感と、差し込む光がつくる幻想的なイメージが上手く合わさった写真になっています。
- 幻想的なイメージになる
- 柔らかな印象になる
- 透明感が出る
- 景色に立体感やメリハリが生まれる
トップ光の特徴
トップ光は、景色の上から太陽の光が当たる向きで、「影ができにくい」「海や湖の色が綺麗になる」「水中が見える」といった特徴があります。
景色の上から太陽の光が当たるので、基本的には陰影がなく立体感のない写真になりやすいデメリットがありますが、その反面で海や湖など水のある景色では、水中にも十分に太陽の光が差し込むので、水の色が濃くハッキリとでたり、水中の景色が見えるというメリットがあります。
トップ光で撮る写真
上の写真はトップ光を使って撮影したビーチの写真で、景色の上から差し込む太陽の光によって、海水は綺麗なエメラルドに写し出されて、ビーチから水中に伸びているヤシの木の影をハッキリと写し出しています。
- 海や湖の色が綺麗に出る
- 水中の景色が撮れる
- 陰性ができにくい
太陽の光の性質
太陽の光には、天候や季節によって変わる太陽の光の強弱と、時間帯によって変化する太陽の光の色の3つの性質があります。
- 強い光
- 弱い光
- 柔らかい色の光
これら3つの太陽の光の性質は、太陽の光の向きと合わせて意識することで、より印象的な写真を撮ることができるようになっていきます。
強い光の性質
強い光は、日中で雲がない天候で使うことができる光で、季節では特に夏場が強い光になりやすく、「色を濃くする」「コントラストを強くする」といった特徴があります。
- 斜光
- トップ光
景色の色を濃くハッキリと撮影したり、陰影による強いコントラストを活かした写真を撮るのに向いていますが、PLフィルターを使用しないと光の反射で色が白っぽくなるというデメリットもあります。
強い光を活かした写真
上の写真は、夏場で天気の良い日の日中に撮影した写真で、PLフィルターを使用して光の反射を抑えることで、木々の緑色とエメラルド色の湖の色を綺麗にハッキリと写真に撮ることができています。
PLフィルターの使い方は、下記のリンクで詳しく解説しているので、興味がある方はチェックしておきましょう。
- 色を濃くハッキリ撮れる
- 陰影による強いコントラストができる
- 光の反射で色が白っぽくなる(PLフィルターで解決)
強い光はモノクロ写真にも最適
強い光を使った撮影は、ハッキリとした陰影や強いコントラストを活かすことができるモノクロ写真とも相性が良いので、夏場や日中の強い光で撮影する時にはモノクロ写真にもチャレンジしてみると良いでしょう。
弱い光の性質
弱い光は、曇りや雨の日に直射日光がない時に使える光で、「柔らかな印象になる」「コントラストが弱い」といった特徴があります。
- 順光
- トップ光
雲の中で拡散された弱い光が、景色全体に満遍なく降り注ぐので、陰影がなく平坦な写真になりやすいですが、カメラの露出補正や彩度の調整を上手くおこなうことで、森の中や花を綺麗に撮ることができるようになります。
弱い光でを活かした写真
上の2枚は、どちらも雨と曇りの日の弱い光を使って撮影した写真で、どちらの写真も柔らかな光が満遍なく花や森全体に注いでいるので、桜は柔らかな印象に、森は静けさと幻想的な印象が写し出せています。
曇りの日には、意外にも撮影できる被写体や景色がたくさんあるので、下記のリンクを参考に弱い光を活かした写真を撮れるようになて見ましょう。
- 柔らかな印象になる
- 花や森を綺麗に撮れる
- 陰影がつきにくい
柔らかい色の光
柔らかな色の光は、マジックアワーとも呼ばれる、朝夕の太陽が地平線に近い位置にある時間帯に、使うことができる光で、「幻想的なイメージになる」「ドラマティックな印象になる」「オレンジ色に染まる」といった特徴があります。
- 逆光
- 半逆光(斜光)
太陽の光がオレンジ色に変化した状態で、ほぼ真横から差し込むことで、景色全体を柔らかな色合いに変えてくれたり、幻想的やドラマティックな印象の写真に撮ることができるようになります。
ただし、朝日や夕日を構図に入れる場合は完全な逆光での撮影になるので、ハーフNDフィルターを使って白とびや黒つぶれを抑えたり、レタッチで明暗差の調整をおこなう必要があります。
柔らかい色の光を活かした写真
上の2枚は、どちらも朝焼けの時間帯の柔らかな色の光を使って撮影した写真で、朝日の光が当たる場所は綺麗なオレンジ色やそれに伴うグラデーションに色づいていて、逆光や反逆光と合わせることでドラマティックや幻想的な写真に撮っています。
また右側の写真では、空の綺麗な色を撮るためにハーNDフィルターを空全体に使用して、空の白とびを抑えて撮影をしました。
- 幻想的なイメージになる
- ドラマティックな印象になる
- オレンジ色に染まる
- 白とびや黒つぶれのリスクがある
ハーフNDで白とびを抑える
柔らかい色の光が使えるマジックアワーの撮影では、ハーフNDフィルターを使用することで綺麗に染まる空と地面の景色をどちらもしっかりと撮影することができますよ。
まとめ
風景写真での、太陽の光の種類(向きと性質)の特徴と、それぞれの光で撮ることができる写真や注意点をご紹介しました。
季節や天候によって、使用できる太陽の光の向きや性質が変わるのが、風景写真の弱点であり、逆にその時にしか現れない太陽の光を活かした素敵な写真が撮れるのが、風景写真の最大の強みでもあり楽しさでもあります。
この記事を参考に、太陽の光の向きや性質を意識した素敵な写真を撮影していきましょう。
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